リタイア後の不労収入はきちんと形成されているか?
開業後20年以上となった段階の最大のテーマは、「ファイナンシャルゴールに向けて最後の仕上げ」をすることです。事業承継や相続手続きなど、自身が亡くなったあとも家族が困らないように、様々な作業を片付けていきましょう。
また、リタイア後の不労収入がきちんと形成されているのかを確認する時期でもあります。公的年金などは年数を経過するうちに減額されることがありますし、投資信託や生命保険の運用状況も、その時の金融市場の情勢によって変動します。
その時、あるいはリタイア後に想定される状況に応じて修正しておくのも、この時期のテーマといえます。
誰と、どこで、どのように暮らしたいかを明確にする
たとえば、「海外でロングステイをしたい」という夢を持った開業医は非常に多いようです。ロングステイであれば、移住や永住ではないため、準備もそれほど大変ではありません。
しかし、月々支払われる年金や配当、利子、不動産の収益などをどう海外で受け取るのかなど、生活するにあたっての具体的な計画が必要です。海外の銀行口座、あるいはプライベートバンクに口座を開設しておくといった準備を事前にしておけば安心でしょう。
一方、国内で悠々自適に暮らしたいと希望される開業医も、リタイア後の医院経営について、自分は理事のような形で残るのか、それともすべて後継者に任せてしまうのかなど、税理士や公認会計士、弁護士などの意見を聞きながら決めていく必要があります。
田舎で自分の畑を持ち野菜作りをしながら暮らしたい、という人もいれば、奥様孝行もかねて全国の温泉巡りをしたい、国内外の海でセーリングして魚を釣りたい、大学に戻って講師をしたい、今まで培った技術を後進に伝えたい、もう一度研究室に戻りたい・・・など、リタイア後の夢は様々ですが、実際に現実味をおびてくる時期でもあります。
マネーリッチやタイムリッチだけではなく、マインドリッチの準備もしてリタイアを迎えたいものです。
リタイア後のライフスタイルを豊かなものにするためにも、誰とどこでどんな風に暮らしたいのかを明確にしていくことが、ファイナンシャルゴールの本当の意味での完成形といっても過言ではありません。