スウェーデン中銀、市場の期待との「微妙なズレ」に得た教訓

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

スウェーデン中央銀行(リクスバンク)が金融政策決定会合の結果を公表した直後、市場ではクローナ高が見られました。マイナス金利からの脱却を目指すリクスバンクは、同じ欧州のノルウェー中央銀行と共にタカ派(金融引締めを選好)姿勢と見られています。ただ外部要因の悪化からリクスバンクの姿勢に変化を想定していた市場の思惑とは異なる結果となりました。

スウェーデン中銀:政策金利は市場予想通り据え置き、緩和策縮小ペースの鈍化を示唆

スウェーデン中央銀行(リクスバンク)は2019年9月5日、市場の予想通り主要政策金利をマイナス0.25%に据え置くことを発表しました(図表1参照)。市場関係者の多くが利上げ方針の撤回を見込んでいましたが、リクスバンクは緩和的な金融政策からの出口戦略を堅持する計画を表明しました。

 

日次、期間:2014年9月5日~2019年9月4日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]スウェーデンクローナ(対ドル)と政策金利の推移 日次、期間:2014年9月5日~2019年9月4日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

もっとも、緩和策縮小を進める必要性について、過去に比べトーンが弱まった印象です。海外の低金利とセンチメント悪化は、前回の予測よりも鈍いペースでの利上げになる見通しであることを意味すると述べているからです。

どこに注目すべきか:タカ派、スウェーデン中央銀行、市場予想

スウェーデン中央銀行(リクスバンク)が金融政策決定会合の結果を公表した直後、市場ではクローナ高が見られました。マイナス金利からの脱却を目指すリクスバンクは、同じ欧州のノルウェー中央銀行と共にタカ派(金融引締めを選好)姿勢と見られています。ただ外部要因の悪化からリクスバンクの姿勢に変化を想定していた市場の思惑とは異なる結果となりました。

 

 

まず、スウェーデンの政策金利としてレポレートの動向を簡単に振り返ると、リクスバンクは政策金利を16年2月にマイナス0.5%に引き下げました。その後同水準を維持しましたが、昨年10月の会合で利上げを示唆した後、18年12月の会合で7年ぶりの利上げを実施し、政策金利をマイナス0.25%としました。リクスバンクは今年に入っても声明文に「政策金利は年末もしくは来年の初め頃に引き上げられると見込まれる」などと述べるなど、マイナス金利からの脱却の方針(フォワードガイダンス)を示していました。

 

一方市場は、外部要因(米中貿易戦争)の悪化や、世界的な景気減速懸念と、中央銀行のハト派化を背景に、リクスバンクのフォワードガイダンスで利上げ方針の取り下げを見込んでいましたが、結果は前記の通りです。

 

もっとも、リクスバンクの経済予想をみると、小幅ながら経済成長率やインフレ率を下方修正(失業率は上方修正)しています(図表2参照)。景気減速懸念はスウェーデンも例外というわけではなさそうです。

 

予想時点:2019年7月(前回、左)、2019年9月(今回、右) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]スウェーデン中銀の2020年の主要経済指標予想 予想時点:2019年7月(前回、左)、2019年9月(今回、右)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

それでも、政策金利の動向を示唆するレポレートの予想を見ると来年はゼロと、少なくとも来年後半には)マイナス金利からの脱却を見込んでいます。一方、市場の予想を中央値で見ると来年末、もしくは再来年年初まで現状での推移が想定されており、相違が見られます。リクスバンクが経済予想を下方修正した点では、市場と懸念を共有していますが、政策金利については市場の想定(望み)通りには動かなかったと見られます。

 

来週、欧州中央銀行(ECB)の金融政策理事会が開催され「市場」からは、利下げと債券購入(QE)再開などが期待されています。ECBが市場の期待から外れた政策を決定する可能性は、リクスバンクよりは低いと思います。経済状態の違いに加え、ECBの決定が他の市場に与える影響が、大きいからです。それでもECB内部にさえQE再開やマイナス金利に反対の声もあるなど変化の兆しも見られます。市場予想に満額回答とならないリスクに注意は必要と見ています。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『スウェーデン中銀、市場の期待との「微妙なズレ」に得た教訓』を参照)。

 

 

(2019年9月6日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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