「評価されない人」は頑張るポイントが間違っている
世の中には、「評価される人」と「評価されない人」がいます。同じように一生懸命仕事しても違いが出るのはなぜでしょう?
会社員は、会社に労働力を提供し見返りとして収入を得ます。この労働力の質(期待される役割)を保証するのが評価であり、評価を下すのが上司の重要な仕事の一つになります。営業組織の場合は、非常にシンプルです。会社や上司が部下に期待する役割は「売上を上げる」ことで、達成の有無がそのまま評価にダイレクトに繋がる形になります。
もし、この営業マンが、営業活動ではなく顧客のクレームを聞くことに時間の大部分を使っていたとしたらどうでしょう? 長期的な視点では会社にとってプラスになるかもしれませんが、売上を達成できない可能性は高まるでしょう。そうした場合、どんなにこの営業マンが頑張っていたとしても評価されません。なぜなら、会社や上司の「期待値」を下回っているからです。
「評価されない人」の多くが、このように本来注力する必要のある部分ではなく違う場所にエネルギーを使ってしまっています。端的にいうと、頑張るポイントが間違っているのです。
「評価される人」が真っ先に意識する必要があるのは、直接的な評価者である上司の「期待値」です。つまり上司が自分に求めているものを理解するところから始めるのです。最近では、評価面談を年に数回する企業も増えてきましたが、その際に確認するのもよいでしょう。
営業マンの「期待値」であれば、自分やチームに求められる売上目標額になります。プロジェクトであれば、予定された納期や予算を満たすことが「期待値」になります。これらの期待値は、実現可能なもので上司と合意しておくとよいでしょう。実現不可能でアグレッシブな内容で期待値を上げてしまうと、失敗した際に評価が下がってしまうリスクがあります。
新しい職場で活用できる「期待値コントロール」とは
なぜ、評価が下がってしまうのでしょうか。それは、上司の上司が大きく関係しています。当然、上司もその上司の期待値を満たす必要があります。上司とあなたが約束した内容も含めて、既に上司とその上司で合意しているかもしれません。期待値を裏切ることは、即ち上司の評価を下げることに繋がるのです。
一方で、期待値を上回った場合はプラスの評価が付きます。だからこそ、しっかりと「期待値のレベルを設定した上でその期待値を超える努力をしてみてください」。
このように、期待値コントロール(Expectation Management)を身に付けることで、あなたの評価はグングンと高まっていきます。上司の期待値をコントロールすることを覚えたら、次は他のステークホルダー(関係者)の期待値を考えてみましょう。たとえば、上司の上司、他のチーム、お客様などのステークホルダーは、あなたやあなたの部署に対して何かしらの期待値を持っているはずです。
その期待値を下回るとマイナスの評価が付き、上回るとプラスの評価が付きます。これらを意識してバランスをとりながらプラスを増やしていく能力が、一般的にはマネージャーに求められます。
ぜひ一度機会があれば、各ステークホルダーから期待値をヒアリングしてみてください。自分やチームが取り組まなければならない課題が見えてくるはずです。
期待値コントロールは、転職や異動した際に真っ先にやるのが効果的です。あらかじめ、周りの方の期待値を知って行動するのと知らないで行動するのでは結果が大きく異なります。転職・異動した直後の仕事の進め方も変わってくると思います。
新しい環境でスタートを切る際には、ぜひ「期待値コントロール」を意識してみてください。最高のスタートが切れるはずです。
低い評価を得る「情報を整理」して喋れない人
「すいません。課長、少し時間よろしいでしょうか。先日のプロジェクトの件なのですけど。営業から〇〇という意見が出ていまして。プロジェクトの進捗も少し遅れ気味で。マーケティングの××さんは、数週間遅れるかもしれないと言っています。私としては間に合うと思うのですが……」
部下が上司にプロジェクトの報告をしています。しかし、最後までこの部下が課長に何をしてほしいのかわかりません。この例は少し極端ですが、日常の会話でも似たケースがあると思います。日々、仕事をしていると色々なことが起こります。様々な関係者が関与して、色々な意見やコメントがあるかもしれません。
思ったことをそのまま口にしていては、相手が混乱するばかりで伝えたいことの10分の1 も伝わりません。なぜなら、ほとんどの場合、情報の整理ができていない状態で喋っているからです。こうした人は、何をしたいのかわからない残念な人として認識され低い評価を得ることになります。
インターネットが発達し、電子メールや携帯電話の登場により情報量は、飛躍的に増えました。近年では、リモートワークを可能とするビデオチャットなども発達したことで、物理的な距離がほとんど障害にならなくなりました。だからこそ、情報をそのまま伝えるだけでなく咀嚼、整理して伝えることが必要となってきています。
仕事で話を伝える必要がある人は誰でしょうか。上司、部下、同僚、協力会社、お客様などが該当します。プライベートで趣味の話をするのとは異なり、仕事での会話は、大きく二つに分類されます。「情報共有」と「アクションを求める会話」です。仕事での会話では、コミュニケーションをとる相手をしっかりと理解する必要があります。
たとえば、コミュニケーションのタイミングです。この情報は、今この瞬間にこの人に伝えるべき情報でしょうか。今、相手に急ぎの要件があるのではないか等を意識できない人は、仕事のできない人のレッテルが貼られてしまいます。一言、「〇〇の件で、5分ほどお時間よろしいでしょうか」と先に確認するだけで相手の優先順位に配慮することができます。
「結論から先に言う癖」をつける
「情報共有」については、留意する点が三つあります。
まず一つ目は、本当に共有すべき内容かを精査する必要があるという点です。大企業の社長が会社で起こるすべての事柄について報告を受けていたらキリがないのと同様です。情報過多の世界だからこそ、本当に必要な情報かをしっかりと見極め取捨選択をした上で整理して伝えることが必要です。
二つ目は、客観的な事実であるファクトと個人的な主観であるオピニオンをしっかりと分けることです。事実と主観が混じってしまうと意思決定の妨げになる恐れがあるので可能な限り回避するべきです。
最後に、情報から示唆を出すことです。これは、コンサルタントがよく言うことです。単なる事実の羅列だと、何のために情報共有をしているのかわかりません。「だから何?/So what?」との問いに答えられるようにしておきましょう。
「アクションを求める会話」については、結論から先に言う癖をつけると良いです。回答する側の立場としては、長い説明の後にアクションを求められるのと比べて、初めに何をしてほしいかを伝えてもらうことで会話の中で必要なポイントを精査することができます。たとえば、「購入するかどうかの判断をいただきたい」と先に言ってもらえたほうが、話を聞くときに確認するポイントが明確になりスムーズに話を進めることができます。
「情報共有」と「アクションを求める会話」いずれの場合であっても、慣れないうちは話す前にメモに箇条書きで書き出す練習をするのが効果的です。書き出すことで自分にとって不明確な部分が明らかになりますし、簡潔に伝えるトレーニングをすることができます。