本記事では、『正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本』(ぱる出版)より一部を抜粋し、サラリーマンが職場や転職市場で自分を上手くアピールし、評価を上げる方法をレクチャーします。今回は、マネージャークラスのサラリーマンの「後継者の育成」の重要性について解説します。

ついに「マネージャー職」に…

キャリアを積んでいくと、いつまでも新入社員のときのような一担当者のままではいられません。いつかは、新しいチャレンジをするために現在のポジションから離れる日が必ずやってきます。

 

これは、転職に限った話ではありません。新しい業務や職責を担当するための異動やマネージャーに昇格する際に、現在の仕事をすべて継続することはほとんどあり得ません。そのため、異動やポジションチェンジの多い外資系企業で働く優秀なマネージャーの多くは、マネージャーとして最も大事な仕事は「後継者の育成」だと口をそろえて言います。

 

マネージャーは、企業における実働部隊の要です。ではなぜ、優秀なマネージャーの多くが実務ではなく「後継者の育成」が最も重要だと言うのでしょうか。企業側からすれば、事業を安定的に継続することを一番に重視しています。

 

特定のマネージャーに依存したオペレーションは、そのマネージャーが長期休業、もしくは退職してしまった際に事業が立ち行かなくなってしまうリスクがあります。そのリスクを回避するためにも、No.2としてマネージャーが不在の際にピンチヒッターとしてつねに打席に立てる人間を用意する必要があるのです。

 

同時に後継者候補としてNo.2となる人間を育てることで、会社として次世代を担う人間を1人でも多く増やすことができます。

 

また、あなたが現在の業務から抜け出しやすくなるのも会社としては大きなメリットです。No.2に後継者候補の育成を兼ねて、マネージャーとしての通常業務を任せている間にあなたを新しいプロジェクトにアサインするなど会社としても柔軟な動きをとることができるのです。

 

急遽、欠員が出た際にも大抜擢してもらえるチャンスがあります。そういった意味でも、「候補者の育成」は、会社側だけでなく個人のキャリア開発の側面でも大きな役割を果たすのです。

 

マネージャーが「候補者の育成」を怠っていると、いざというときに業務が回らなくなってしまいます。先ほど述べたとおり、企業側としては事業を安定的に継続することをもっとも重視しています。そのためマネージャーが不在で業務が回らない状況であれば企業側としてもマネージャーに新しいチャンスを与え、抜擢することを躊躇する結果となってしまいます。キャリア的にも決してプラスに働きません。

 

また、「後継者の育成」は、必ずしもマネージャーに限ったことではありません。持っている仕事をすぐに手放せる準備をしておくことは、新しいチャンスを掴みたい一般社員にとっても同様です。

 

いつ異動しても業務に支障を出さないためにマニュアル整備を進め、他のメンバーへの教育をあらかじめ計画しておけば、新しい業務の打診があった際にすぐに動くことができます。会社にとって、本当に優秀な人は、抜けたときに「いなくなって困る」と言われるより「忙しいけど、何とかなるね」と言われる人なのです。

部下をどのように売り込むことができるか?

ここまでは、「後継者の育成」の意義と重要性について説明してきました。ここからは、部下やチームメンバーをどのように売り込むことができるかを考えていきます。

 

手順は、既に説明した「自分の売り込み」と同様です(関連記事『昇進するサラリーマンは「誰に、何を」アピールしているのか?』参照)。唯一異なる点としては、売り込む対象が自分ではないためキャリアの方向性や個人のブランディングについてあらかじめ部下やチームメンバーにアドバイスを与えた上で共通の認識を持つ必要があります。

 

キャリアの方向性を元に差別化できる要素、アピールしたい内容を見極めた上で、身に付けるべきスキルや強化すべきスキルを明確にする手伝いをしていくのが理想です。

 

仮にあなたが、部下にマーケティングの素質があると思いマーケティング部に積極的に売り込みを行ない異動が決まったとしても、部下が実はマーケティングに興味がないのであれば不幸な異動になってしまいます。

 

たとえ、良かれと思って売り込んだとしても、本人からすれば迷惑かもしれないということを念頭に入れておく必要があります。

 

あなたが見定める適性は、部下のキャリアにとって有意義なものである可能性は十分にあります。そのため、個人的な見解を含めて部下に伝えた上で、本人の意思を尊重した形で売り込みを行なうことをお勧めします。

 

「売り込み」は、一種の社内営業です。アピールの資料や実績の準備をするためには、相当の時間を使うことになります。部下の売り込みの場合、上司と部下の両方がある程度の時間を通常業務に加えて投資することが必要となります。

 

たとえば、あなたの部下にチームの成果を代表として発表させる、または、改善活動をリードさせるなどの役割を与えます。部下が不慣れの場合、上司のあなたが一人で対応するのと比べて多くの時間がかかりますが、育成のためと割り切って考える必要があります。

 

しかし、何となく担当させるだけでは良い成果を出すことはできません。そこで、上司としてハッキリとメンバーに言いましょう。

 

「君のことを信頼している。そして頼りにしている。君が社内で更に評価されるようにアピールをしたい。ただ一方で、資料作成や報告など追加の仕事が増えることになる。大変ではあるが、君のことを社内に知ってもらうチャンスなので、受けてほしいと思うが無理強いはしたくない。やるか? やらないか? もしやると決めたら、全力でやり切ってくれ。こちらも全力でサポートする」

 

期待を口にすることは、モチベーションに繋がります。後継者として考えていると本人に伝えるのもよいかもしれません。せっかく、労力を使って売り込みを行なうのであれば、メンバーのモチベーションが上がる形で行ないましょう。そうすることで、予想よりも早く目に見える成果が生まれるはずです。

 

正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本

正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本

江田 泰高

ぱる出版

誰でもできるただ処理するだけの仕事を、あなたはいつまで続けるのですか?評価されないこの会社に、いつまで耐えられますか? 出世や転職を成功させるための「自分の値段」を上げる技術を伝授します。

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