本記事では、『正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本』(ぱる出版)より一部を抜粋し、サラリーマンが職場や転職市場で自分を上手くアピールし、評価を上げる方法をレクチャーします。今回は、サラリーマンが会社内外に対し、効果的に「自分を売り込む」ための方法について解説します。

「評価をしているのは、誰なのか?」を明確にする

英語で昇進のことをプロモーションといいます。マーケティングで使うプロモーションと同じ単語です。

 

マーケティングにおけるプロモーションとは、消費者に製品、あるいはサービスを意識させ、販売を促進するための活動のことです。

 

マーケティングでの定義を踏まえると、昇進を意味するプロモーションは、単なる昇進を意味するのではなく「自分という商品をプロモートした(売り込んだ)」結果の昇進だと読み解くことができます。実に実力主義が根づいている西洋らしい考え方です。

 

効果的に自分を売り込むためには「評価をしているのは、誰なのか?」を明確にする必要があります。

 

昇進ということであれば、直属の上司、部門長、人事部などが挙げられます。異動であれば、行きたい部署の部門長や人事部がターゲットになります。また転職であれば、採用マネージャーや採用先の人事部などがターゲットになります。

 

売り込み先であるターゲットが明確になったら、次にターゲットから引き出したい行動について考えます。「セルフブランディングの目的」と考え方は、同じです。

 

現在より上の職位に昇格させてほしい、別の部署に異動させてほしい、中途で採用してほしいなど目的は、人によって様々です。目的に合わせて、自分という商品を売り込んでいきます。

 

ライバルよりも魅力的に自分を売るためにはライバルとは違う差別化した要素を中心にアピールするのが効果的です。

 

家電量販店をイメージしてください。新しいスマートフォンを買う際に、アプリや電話が使えますといった当たり前の説明は必要ありません。大抵の場合は、他の機種と比べてカメラの画質が良い、スクリーンの解像度が高い、電池の持ち時間が長いなど優れている点を差別化要素として集中的にアピールしています。

 

売り込み先に、あなたができることと新しいことに対応できるポテンシャルがあることを示せれば、高く買ってもらえる確率は高まります。繰り返しになりますが、マーケティング活動とまったく同じです。

 

購入してもらう消費者(売り込み先)に対して、この商品(自分)は、あれもこれもできるのでお買い得ですよとアピールするのです。具体的な経験を根拠とすることで、説得力のある説明ができます。

 

派遣社員の売り込みを例に考えてみましょう。

 

「彼女は、過去にアパレル業界で営業経験があり、御社と同じシステムを使っていたので即戦力として活躍できると思います」。

 

どうでしょうか。採用側としては、過去の経験をアピールしてもらうことで、実際にこの派遣社員が即戦力として働いている姿を容易にイメージすることができます。

ターゲットに影響を与える「インフルエンサー」を活用

一方で、ポテンシャルに関してはこれまでの経験を直接的な根拠とすることが困難です。そこで、対象業務に関連する要素を因数分解して、それぞれの要素に対して過去の経験を根拠として示すことで、活躍できることをアピールしていきます。

 

マネージャーへの昇格が一番よくある例です。

 

マネージャーに昇格する社員は、それまで一般社員として働いておりマネージャーとしての経験はありません。そのため、マネージャーとしてのポテンシャルを関連する要素ごとに評価することが一般的です。予算管理、労務管理、レポーティング、戦略立案などの経験は、リーダー層やプロジェクトマネージャーであっても経験を積むことができます。また上司が不在の際に、代行として業務をこなす機会もあると思います。

 

これらの経験を根拠とすることでマネージャーとしての資質を示すのです。逆にいえば、予算管理の経験がなければ上司の予算管理をサポートすることを打診してみるなど自発的に動くことで、部分的にマネージャーとしての経験を先に積むことも可能なのです。

 

売り込み先であるターゲットにいくらアピールしてもあなたに対して興味を示さずにいわゆる「暖簾に腕押し」の状態であれば、どうすればいいのでしょう。自分自身と異なり他人を変えることは、決して簡単なことではありません。

 

だからといって、あきらめてしまうのは時期尚早です。特に長く勤めている会社であれば、あなたは関連部署も含めて様々な人的ネットワークを保有しているはずです。

 

会社は、組織で仕事をしているため周りからの意見にも一定の配慮を払う必要があります。そのため、ターゲットに影響を与えてくれるインフルエンサーを活用してロビー活動を行なうことをお勧めします。

 

インフルエンサーとは、影響力が大きい人物を指します。一般的には、企業が有名人、タレントやSNSで多数のフォロワーを持つ一般人に対して商品やサービスを使ってもらい流行を作り出すことを意味しますが、この場合はターゲットに影響を与える社内外の関係者になります。

 

具体的には、ターゲットと横並びの階級にいる実力者、部門長、役員や重要顧客などがインフルエンサーになり得ます。

 

これらのインフルエンサーと接触し、仕事を通じてあなたの優秀さをアピールするだけでいいのです。

 

インフルエンサーとの関係が良好であれば、ターゲットに対して直接的な口添えをお願いしてもいいかもしれません。他部署からの客観的な意見として、ターゲットに伝わればあなたの評価を見直すきっかけになります。効果的に自分を売り込むことで、チャンスを手に入れましょう。

 

正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本

正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本

江田 泰高

ぱる出版

誰でもできるただ処理するだけの仕事を、あなたはいつまで続けるのですか?評価されないこの会社に、いつまで耐えられますか? 出世や転職を成功させるための「自分の値段」を上げる技術を伝授します。

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