本記事では、『正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本』(ぱる出版)より一部を抜粋し、サラリーマンが職場や転職市場で自分を上手くアピールし、評価を上げる方法をレクチャーします。今回は、スキルが秀でていないサラリーマンが、付加価値を上げる方法等について解説します。

「特別な才能のない人」はどうしたらよいのか?

あなたの会社の同僚に「同僚について話してください」と質問をしたときにあなたの名前は、話に挙がるでしょうか。

 

もちろん席が隣であるとか、仕事で頻繁にやりとりをされている方であれば名前を挙げてもらうことができるかもしれません。しかし、多くの場合は「その他、大勢」に分類されてしまい、名前を挙げてもらえません。

 

頻繁に名前を挙げてもらえる方とそうでない方の違いは、それぞれの持つ個性の強さによるものです。

 

小学生時代を思い出してください。かけっこの速い男子は、足が速いというだけで注目されました。頭が良くつねにテストで100点をとっている秀才も、容姿端麗なクラスのアイドル的な存在も、同じく注目されました。

 

多くの場合、クラスメートに比べて発言権を持つようになり、結果としてリーダー的な存在となっていきます。

 

社会に出てもまったく同じです。一芸に秀でた方は社内外での認知度が上がり、人よりも多くのチャンスが回ってきます。しかし、一芸に秀でるには才能が必要です。

 

それでは、特別な才能のない人はどうしたらよいのでしょうか。ヒントは、分数の掛け算にあります。

 

10人に1人が持っているスキルであれば、少し珍しい程度です。しかし、10人に1人が持っている別のスキルを併せ持つ方は、非常に珍しいため付加価値が上がります。

 

計算をすると「10分の1×10分の1=100分の1」となります。つまり100人に1人の存在になることができるのです。

 

たとえば、物流のことに詳しい人はマーケットに大勢います。物流会社やメーカーの物流部に在籍している方などです。しかし、ビジネスレベルで英語を使える人という条件が加わることで、該当する方は大きく絞られることになります。物流業界では、国内を中心とした仕事が多く、英語を積極的に使う機会のある職種は限られるからです。

 

ここにビジネスレベルの中国語を扱える、システム構築ができるなどの条件を加えれば加えるほどレアな人材となり、貴重な人材として会社から重宝されると同時にマーケットでの価値も上がっていきます。

 

良い意味で「目立つこと」を意識する

一つひとつのスキルが特別に秀でているわけではないのに、なぜ会社から重宝されるのでしょうか。それには、二つの理由があります。

 

まず一つ目は、「様々なことに対応できる汎用性の高い人間」だからです。ビジネスが変化するスピードは、過去に比べて圧倒的に速くなりました。企業の合併、倒産、撤退を始め、消費者ニーズやトレンドの変化は、ビジネスの世界にも大きな影響を与えています。そのような状況のなか、変化に伴い役割を柔軟に変えることのできる人材は企業にとって非常にありがたい存在です。

 

営業とシステム構築の両方をできる人間であれば、営業のニーズが高いときには営業として働き、システム構築のニーズが高いときはシステム担当として働くなど柔軟な配置をすることができます。経営側としては、営業だけ、システムだけの社員と比べて圧倒的に魅力的な人材になるのです。

 

二つ目は、「複数のスキルセットが必要な特殊案件に1人で対応できる」ことです。

 

営業経験者とシステム経験者を別々に探すことは決して難しいことではありません。しかし新しい営業システム案件を2人に対応させる場合、人件費が2倍掛かるだけでなくお互いがお互いの領域の内容を理解するために時間を要します。

 

最初から両方のスキルを兼ね備えた方にすべてを任せたほうが会社としても早く、そしてスムーズに対処することができます。加速をし続けているビジネスの変化に素早く対応できなくては、競合他社との競争を勝ち抜くことはできないのです。

 

ここまでは、具体的なスキルセットの組み合わせで希少性の高い人間になり差別化することについて説明してきました。もちろん専門的な知識であるハードスキルだけでなく、ヒューマンスキルであるソフトスキルでも他人と差別化することができます。簡単にいうと良い意味で目立つことを意識することです。

 

たとえば、人より早く出社する、会議で積極的に発言をする、自分から議事録をとる、人が敬遠する仕事をするなどです。上司を連れて取引先を訪問する際に、取引先のキーパーソン、直近の取引内容、関心事などをまとめたA4一枚の資料を渡すなど自発的に行動すれば営業としての株を上げることができます。

 

一方で、営業の成績が期待値を下回っているのであれば意味がありません。重要なのは、必要なことをしっかりとやった上で、他の人と違うことをやるということです。

 

外資系企業では、「エクストラワンマイル」という言葉があります。直訳すると「追加の1マイル」ですが、「ただやるだけではなく、プラスアルファをやる」という意味で使われます。この「エクストラワンマイル」が他人との差別化になるのです。ぜひ、日々の仕事のなかで「エクストラワンマイル」として何を提供できるか考えてみてください。

正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本

正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本

江田 泰高

ぱる出版

誰でもできるただ処理するだけの仕事を、あなたはいつまで続けるのですか?評価されないこの会社に、いつまで耐えられますか? 出世や転職を成功させるための「自分の値段」を上げる技術を伝授します。

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