ビットコインは「電子金融取引」の枠組みで規制すべき
マイク・ポンペオ米国務長官は、ビットコインに関しては、電子金融取引に適応されている枠組みと同様の規制を課すべきとの立場を明らかにした。
8月20日、米経済番組CNBC「Squawk Box」に出演したポンペオ国務長官は、規制が難しいとされるビットコインをどのように扱うべきか、質問に答えた。
ポンペオ国務長官は、「今日使われている他のすべての電子金融取引の規制と同じ枠組みを使用する必要がある、というのが私の考えだ」と示し、これらは本質的に電子金融取引に該当するとした。市場または仲介者のない取引において移動する資産である点を根拠として挙げた。
その上で、「SWIFT(国際銀行間通信協会)または金融機関を流れるものに適用される一連の要件が、これらの取引にも適用されるべきだ。確かに難しいことは認めるが、それこそが、我々が適用すべき規制理論だ」と言及し、電子金融取引として規制することの必要性を強調した。
◆安全保障と暗号資産
ビットコインなど、ブロックチェーンの(アドレス保有者がわからない状況下での)秘匿性は、国家安全上の問題が生じる可能性が指摘されるなど、犯罪利用で度々議論されるトピックだ。今回のSquawk Boxでは、テロの観点から見たビットコインを米国務長官がどのように見ているか、貴重なインタビューが行われた。
国家安全上の変化には、2001年に起きたニューヨーク同時多発テロ事件の例を引き合いに出し、「9.11とそれ以前の15年間に起こったテロ活動では、資金がどこに流れているのか、誰が資金を動かしているのかに関して理解する能力を有しておらず、テロ活動の追跡がうまくいっていなかった」と言及。資金追跡による予防措置が効いていなかったという。
現在では、この情報にアクセスできるようになったことで、世界全体を安全に保ち、テロや、その他の非道な活動、犯罪活動との戦いに役立ったことを明かした。そして「情報を守るグローバル金融システムを維持すること」が不可欠だと強調した。
ポンペオ長官は、ビットコインをはじめとする暗号資産とテロとの関連に言及することに対しては、慎重な姿勢を示したものの、マネーロンダリングの追跡が困難な状況は、匿名であろうがなかろうが、「世界の安全保障を不安定化させるだろう」との言及に留まった。
7月24日の同番組のインタビューで「ビットコインは多くの不法行為に使われている」と発言したムニューシン米財務長官とは異なり、具体的な名言は避けた格好だ。
ムニューシン財務長官は、先月開かれた記者会見において、ビットコイン等の暗号資産を利用した、億ドル単位に及ぶ不正行為は「国家安全保障上の問題だ」とも述べている。
なお、ポンペオ、ムニューシン両長官は、アメリカにおける、より徹底した暗号資産規制に対しては意見を同じくしている。ムニューシン財務長官は、すべての暗号資産を対象とした規制を検討中で、国内の関連機関と連携し、統一したアプローチを取ることで、アメリカの金融システムを安全なものとしたいと述べ、これから多くの規制が政府機関から出てくるだろうと述べている。
※本記事は、2019年8月21日に「CoinPost」で公開されたものです。