マイホームは時代遅れ?アメリカで「賃貸派」が増加するワケ

成功の証ともいえる「マイホーム」だが、昨今のアメリカでは勝手が違うという。アメリカでは、ライフスタイルにあわせて、家を買い換えていくのが一般的で、もともと賃貸住宅の需要は高い。現在、その需要が更なる高まりをみせているという。本記事では、その理由を住宅所有率のデータから紐解いていく。

「所有する」時代から「リースする」時代へ

かつてのアメリカン・ドリームの定義の1つに、マイホームを持つことがあげられていました。しかし、時代が変わるにつれ、そのトレンドも変わりつつあります。車はリース、社員の雇用も契約社員と、何かを「所有する」時代から「リースする」時代になってきている今日。住宅に関しても、長い年月をかけて賃貸派が増えている傾向がうかがわれます。全米の住宅所有率は、2005年から2015年のたった10年の間に、68.8%の最高水準から62.7%まで急落しました。これは、1985年の63.5%を下回ります。今回は、アメリカ国内での賃貸需要の広がりについて解説します。

 

マイホームは時代遅れ?
マイホームは時代遅れ?

 

◆住宅所有率が低い大都市

 

所有から借家への移行が劇的に変化した都市もありますが、最も革新的でダイナミックな大都市圏は、一貫して最低の住宅所有率を掲げています。


2000年から2015年にかけての国勢調査データを使用した、アメリカ大都市全体における住宅所有率の調査が行われました(これは2008年の経済危機と、その後の回復が期間内に含まれます)。調査によると、この15年の間に、住宅所有率は全米大都市の90%(381都市のうち343都市)、100万人以上の住人を有する大都市の96.2%(53都市のうち51都市)で減少していることが明らかになりました。

 

一般的に物価の高いスーパースター大都市や、人気の高い沿岸都市では最も住宅所有率が低くなっています。住宅所有率は、ロサンゼルスで人口の半分以下、ニューヨークではおよそ半分。サンディエゴでは52%、サンフランシスコでは53.5%、サンノゼで56%、テキサスのオースティンでは57.5%となっています。

 

サブプライム住宅ローン危機後でさえも、住宅所有率はラストベルト大都市のほうが高さをキープしています。グランドラピッズで72%、ピッツバーグ、バーミンガムとミネアポリスで69%。そしてデトロイトとセントルイスの68%。ラストベルトとフロリダのリタイアメント・コミュニティの小さな都市はトップの75、または80%です。

 

持ち家から賃貸への移行の理由は、単なる住宅価格の上昇や都市生活の需要の高まりではなく、経済が古い産業時代から新しい知識の時代へ推移していることにあるといわれています。活気に満ち、革新的である大都市ほど、住宅所有率は低くなっています。これらの大都市の物価が高いというのも事実ですが、彼らのアーバン都市形態が表れます。多くの賃貸住宅(通常は多世帯)を持つことは、今、経済の助けになっている若者とモバイル時代が必要としている柔軟性を提供していることに繋がるのです。

「住宅所有率」が大幅に減少した地域は?

◆サンベルトとラストベルトでの減少

 

スーパースター大都市や沿岸都市の住宅所有率は常時低いのですが、2000年から2015年にかけて、サンベルトとラストベルト地域では、住宅所有率が大きく減少する動きがみられました。地下鉄システムが充実している、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンD.C.の減少は1.5%程度に留まり、ニューヨーク、オースティン、ボストンやハートフォードの減少はほぼ見られていません。

 

その反面、フロリダ州タンパ、ラスベガス、マイアミ、アリゾナ州フェニックスでは7%以上の減少が確認され、アトランタでは5%、デトロイトでは4.5%の減少が発表されました。


2000年から2016年の間では、北サンノゼ、セントルイスのリバービューなどの都市では30%もの減少が確認されています。これらの都市の共通点として、多世帯住宅の増加があげられます。一軒家の需要から開発が進んでいるのです。

 

◆人口統計にみる減少率

 

階級、人種、人口統計、地理の境界によって、減少率は異なります。25歳から34歳までのアメリカ人の住宅所有率は、2005年の50%近くから2015年には35%まで低下しました。35歳から44歳までの間でも、69%から56%に下がりました。学歴が高卒の住宅保持者は68%から60%、それ以下の場合は57%から49%に減少しました。また、この10年間で大卒者の住宅保持率もわずかに低下しましたが、実際には1985年から2015年までの30年間で考慮すると上昇となり、これは前の2つのカテゴリには当てはまりません。別の調査では、今日の住宅購入者は女性、もしくは子供のいないカップルが多くみられるようです。

 

◆所有住宅地から賃貸住宅地へ

 

住宅所有率が低下したため、都市全体で賃貸が大幅に増加しました。2006年から2016年の間に、アメリカの100の大都市のうち22都市では、所有住宅地から賃貸住宅地へと変化し、賃貸都市の数は2倍以上となりました。97都市で、賃貸住宅の伸びは所有住宅の伸びを上回ったともいわれています。

 

同時期に、トレド、メンフィス、タンパ、ハイアリア、ストックトン、ホノルル、アナハイムでは25%以上の賃借者の増加が発表されました。デトロイト、クリーブランド、コロンバス、セントルイス、ボルチモア、ミネアポリスなどの都市では、賃借者の割合が10〜25%増加しました。さらに、同期間に米国へ移民した約2,400万人の新規居住者の97%が賃貸世帯であることも分析により判明しています。アメリカでは、ますます賃貸物件の需要が高まっていくことでしょう。

 

 

呉 純子

WIN/WINProperties,LLCパートナー(アメリカ代表)

 

WIN/WIN Properties,LLC パートナー(アメリカ代表)

不動産開発や都市計画で9年以上の経験がある。
以前は東京で集合住宅の建て替えプロジェクトに関わり、ニューヨーク市政府の住宅保全、開発部門(HPD)、ニューヨーク州エネルギー研究開発局(NYSERDA)によって開発されているグリーンビルディングイニシアティブプログラムにも従事していた経験がある。
ニューヨーク大学にて、都市計画の修士を取得。
持続可能な開発と投資に精を出し、今後も世界中にいるアメリカ不動産投資家のサポートをし続ける計画だ。

WEBサイト http://winwin-pro.com/

著者紹介

連載現地発!本当は教えたくない米国不動産投資の穴場「メンフィス」の最新情報

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