野村総合研究所の調査によると、純金融資産額が5億円以上の「超富裕層」は8万世帯を超えました。富裕層の世帯数は増加を続けており、世界でも同じ動きが見られています。本記事では、そんな「超富裕層」が注目する、マリブ・パームビーチ・カリブ海などの別荘地、サンモリッツ・アスペンといったスキーリゾートを紹介していきます。

売上急上昇のマリブ、パームビーチ、カリブ海の別荘地

世界には、高級住宅地と呼ばれる場所が数多く存在します。そのなかでも、さらに突出して不動産価格が高い地域があります。

 

本記事では、その「超高級住宅」マーケット情報についてお届けします。

 

過去3年間で年間2500万ドル以上の不動産取引が3件以上あったエリアを超高級住宅と定義し、「都市」「別荘地」「スキーリゾート」という3つのカテゴリに分類しました。選定したのは、ロンドン、ニューヨーク、香港、ロサンゼルス、シドニー、シンガポール、マイアミ、パリ、マリブ、パームビーチ、コートダジュール、モナコ、カリブ海、サンモリッツ、グシュタード、クールシュヴェル、アスペンの計17ヵ所です。

 

前回の記事(関連記事『NY、ロンドン、香港…世界各国の「超高級住宅」最新事情』参照)では、「都市」の超高級住宅マーケットとして5ヵ所の地域を紹介しました。本記事では、「別荘地」と「スキーリゾート」の2つのカテゴリから紹介します。

 

●「別荘地」の超高級住宅マーケット

 

「別荘地」の超高級住宅マーケットとなるのは、マリブ、パームビーチ、コートダジュール、モナコ、カリブ海の5ヵ所です。都市のマーケットと同様、この3年間でその売上は上昇しており、とても好調です。

 

このなかから、マリブ、パームビーチ、カリブ海をご紹介します。日本の別荘地というと、軽井沢のような森林に囲まれた避暑地のイメージが強いですが、3ヵ所のどれもがウォーターフロントのエリアです。気候や地形、文化などの違いから、日本と海外では別荘地の捉え方そのものに違いがあります。

 

◆マリブ 

 

マリブは、ロサンゼルスの西部に位置し太平洋に面した高級住宅地です。有名なハリウッド俳優や歌手、アスリートなどのセレブが多く住むエリアとしても有名ですが、もともとはエンターテインメント産業からスタートしています。「マリブ・ムービー・コロニー」として、映画関係者が21マイルあるビーチフロントに住み、世界に向けてアピールをしていたのです。

 

2500万ドル以上の不動産取引件数は年々伸びていて、2015年には2件でしたが、2018年の8月時点の集計ですでに5件まで増えています。このなかには、1億ドルを超える物件も含まれています。1件あたりの平均取引価格においても、2017年には5900万ドルと高額になっていて、「都市」の超高級住宅マーケットでトップの香港をも上回ります。

 

◆パームビーチ

 

 

別荘地の超高級住宅マーケットのなかでも、都市(特にトップ6)に匹敵する不動産取引数を叩き出しているのが、パームビーチ(ブロワード郡含む)です。フロリダ州の南東部に位置するパームビーチは温暖な気候で過ごしやすく、季節限定で住む方もいることから、多いときは普段の3倍の3万人まで人口が増えます。この3年間の2500万ドル以上の不動産取引件数は年間平均5件と多く、これは都市のマーケットでいうとシンガポールやシドニーにも引けをとらない数字です。なおかつ、1件あたりの住宅の広さは平均1400平米(約423坪)以上もあり、一般的な豪邸をはるかに超えています。

 

◆カリブ海

 

カリブ海のなかで、主要な目的地はバハマ、バルバドス、セントバーツ島です。そのなかでも、特に活発な動きを見せているのがバハマです。バハマの魅力は、アクセスのよさにあります。首都ナッソーは他国への入り口であり、アメリカ・マイアミまで約1時間という近さです。

 

またバルバドスの魅力は、その地形やハリケーン帯から外れたロケーション、優遇税制を受けられる点などにあります。セントバーツ島は、世界の大富豪がバカンスを楽しむ魅力的なエリアですが、現在さらなる急成長を遂げている最中です。高級ブランド、レストラン、スーパーマーケットなどが次々とつくられて盛り上がりをみせています。

「超富裕層」増加により、不動産市場への好影響に期待

●「スキーリゾート」の超高級住宅マーケット

 

サンモリッツ、グシュタード、クールシュヴェル、アスペンの4ヵ所が「スキーリゾート」の超高級住宅マーケットです。「別荘地」のエリアよりも、こちらのほうが軽井沢に近いイメージです。冬は白銀の世界でスキーやスノーボードを楽しめ、夏は避暑地として優雅に過ごせます。アクティビティももちろんのこと、景観やショッピングも楽しめるのが魅力です。4ヵ所のなかから、サンモリッツとアスペンを紹介します。

 

サンモリッツ

 

スイスのアルプスに位置するサンモリッツは、ウィンタースポーツが好きな方には完璧なロケーションです。アルペンスキーの国際大会なども開催され、世界中からスキーヤーが集まります。いわゆるスキーリゾートとしての自然の美しさとともに、高級ブティックやアートギャラリーが立ち並んでいたりなど、上品な都会の一面も見られるのが魅力です。またサンモリッツの超高級物件については、1000平米(303坪)を超え、屋内プール、スパ、地下ガレージなどが備わっている巨大豪邸が一般的です。

 

◆アスペン

 

アメリカ西部コロラド州のアスペンは、標高が高く、空気が澄んでいます。最低気温がマイナス10度を下回るため、パウダースノーで雪質がよく、スキーコースも豊富なことからスキーヤーからの評価が高いです。

 

また、音楽やワインのフェスティバルが開催されるなど、文化的な魅力も備えている街です。物件の特徴としては、81万平米(24万坪)を超える土地、そしてほかのエリアよりも住宅が大きく1400平米(423坪)を超えるものがほとんどです。

 

◆今後注目すべき高級住宅マーケット 

 

超富裕層と呼ばれる人口は、2017年までの5年間で18%増えており、2022年までに40%増加すると見られています。つまり、超高級住宅マーケットにおける不動産取引もさらに増えていき、今回挙げていない地域にも拡大していくことが予想されます。「都市」のマーケットにおいては、サンフランシスコ、シカゴ、ダラス、北京、上海などが上位に入ってくる可能性が高いです。「別荘地」「スキーリゾート」のマーケットでは、サルデーニャ島、ポルトフィーノ、アルプスのほかのリゾートなどが注目すべきエリアではないでしょうか。

 

 

呉 純子

WIN/WIN Properties,LLC パートナー(アメリカ代表)

 

 

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