米国債で「逆イールド」でも暗号資産が上昇しないワケ

景気後退の前兆と見られる逆イールド曲線が再び米国債で確認された。暗号資産市場にどのような影響をもたらす可能性があるのか、有識者が語った。

米国債券の「長短利回り」が逆転

今週水曜日、30年物の米国債利回りが2%を下回り、また10年物の米国債利回りも2年物の利回りを再び下回った。

 

通常、長期金利の利率は短期金利のそれを上回る。投資家は、長期的に資金を動かせなくなるリスクの見返りに、短期債券よりも高い利息を長期債券に期待する。このことは、銀行の定期預金の利息が普通預金よりも高いことからもイメージしやすいだろう。

 

◆逆イールド曲線とは?

 

長短の金利が逆転するこの現象は「逆イールド曲線」と呼ばれており、とりわけ米国債の場合には景気後退を予測する指標ともいわれている。1955年から、米国の景気が後退する数ヵ月~数年前に、長期に渡る「逆イールド曲線」が観測されてきたためだ。

 

サンフランシスコ連邦準備銀行の研究者も昨年発表した論考のなかで、「未来の経済成長を予測するのは困難だが、逆イールド曲線は景気後退を予測するのに非常に有用である」と述べ、ほとんどの局面で出現後に景気後退が起こることが多い指標であると論じていた。

 

今回の「逆イールド曲線」の出現については、米中の貿易戦争の影響や、欧州経済指標が期待を下回ったこと、今週発表された中国とドイツの経済指標の不調など、世界的に経済成長の速度が遅くなっている可能性を人々が懸念していることが、背景にあると考えられている。

 

◆逆イールド曲線と暗号資産市場の関係

 

「逆イールド曲線」は、暗号資産市場とどのような相関関係にあると考えられるだろうか。株式市場に懸念がある状況下では、暗号資産をより安全資産とみなした投資家による資金流入によって、その価格が上昇することも考えられるが、現在そのようなことは起きていないと推測できる。

 

6月や8月のビットコイン上昇相場では、安全資産との相関指数が高まったことで、有事の際の資金逃避先としての注目を集めたが、直近の値動きでは米ドルなどの下落にあわせる形で下落し、安全資産としての見方には陰りが見え始めている。

 

Credits Blockchainの創設者イーゴリ・チュディノフ氏は、そのなかでも、暗号資産を逃避先としていた中国の投資家が、米中貿易戦争の緊張が緩んできたことから、暗号資産から引き上げ始めている可能性はあると明かした。

 

Compliance Advisory Servicesのデビッド・マーチンは「今回株式市場と同時に暗号資産も下落したことから、ビットコインがより安全であるという証拠は見られなかったが、逆イールド曲線がどのように暗号資産市場に影響を与えるか分かるのはまだこれからの話だ」と説明した。外部市場からの資金流入はより中長期の目線で見る必要があるとした。

 

「逆イールド曲線が出現したことは、この先も景気後退への懸念から、ビットコインなどの分散化し独立した資産へと、投資を向ける可能性を示すものである」と述べ、「過去を振り返っても、ビットコイン市場は、長期的な上昇相場のなかで、いくつかの顕著な後退局面を経験してきた」と、今回の価格下落についての見方を示している。

 

「逆イールド曲線」は信頼性の高い指標とされているが、今期のそれに本当に景気後退が続くかは分からない。それは今後のトランプ大統領や連邦準備制度理事会(FRB)の政策にかかっているとする見方もある。

 

※本記事は、2019年8月16日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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