「ETF(上場投資信託)」を知っていますか? ETFを活用することで株式投資にかかる手間を軽減することができます。
株式投資は「3つの行動」の繰り返し
株式投資は3つの行動の繰り返しにより行われています。
(1)投資する銘柄を選ぶ
(2)その銘柄を買う
(3)その銘柄を売る
(3)の買った銘柄を売ることで得た資金で、再び(1)に戻って銘柄を買うという流れです。
デイトレードなど短期売買であれば、この(1)(2)(3)の回転が極めて速くなり、中長期投資であればこの回転が遅くなります。
空売りの場合は(2)と(3)が逆になりますが、キャピタルゲイン(値上がり益)を目指すのであれば、この(1)(2)(3)を繰り返していくことで資金を増やしていくのが株式投資です。
銘柄選びは結構手間がかかる
上記の(1)~(3)のうち、どれが最も難しいと感じていますか?
(2)や(3)の売買タイミングを計るのもそれなりに学習する必要がありますが、それ以上に「どの銘柄を選んだらよいか分からない」という方が多いと思います。
現在、証券取引所に上場している個別銘柄は3,700社以上あります。この中から、自分が投資する候補の銘柄を選ぶのは、結構骨の折れる作業です。
この3,700社の中に、株価が将来大きく上昇するものがあります。宝探し的な感覚でワクワクしながら銘柄選びをできるのであれば、それはとても素晴らしいことです。
でも、投資する銘柄を探すのがつらい、何をどうしたらよいのか見当がつかない……と銘柄選びが高いハードルに感じている方へ、アドバイスがあります。
ETFなら銘柄選びの労力を大きく軽減できる
「ETF(イーティーエフ)」とは、「Exchange Traded Funds」の略で、「上場投資信託」とも呼ばれます。
ETFは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数をはじめ、特定の指数・指標に連動した値動きをする投資信託です。
例えば日経平均株価に連動するタイプのETFであれば、日経平均株価そのものに投資するのとほぼ同じ効果が得られます。
日経平均株価やTOPIXという市場全体に投資できるため、投資対象とする個別銘柄を選ぶための労力を省くことが可能なのです。
また、現在はETFも様々なバリエーションがあり、NYダウやS&P500など海外の株価指数に連動するタイプ、債券の指数に連動するタイプ、特定の業種に特化したタイプ、金・銀・原油・穀物などの商品の指数に連動するタイプなどがあります。
空売りをしなくても空売りと同じ効果が得られる?
また、ETFの中には「レバレッジ(ブル)型」「インバース(ベア)型」と呼ばれるタイプのものがあります。
レバレッジ型とは、例えば日経平均株価の変動率の2倍の値動きをするタイプです。このタイプに投資することで、投資金額の2倍のレバレッジをかけることができますから、信用取引を使って買うのと同じような効果が期待できます。
インバース型とは、指数と逆方向の値動きをするタイプのものを言います。例えば日経平均株価連動型であれば、日経平均株価が1%下落すれば、逆にインバース型ETFの価格は1%上昇します。
通常、株価の値下がりによって利益を得たい場合には空売り(信用売り)を用いることになります。空売りをするには信用口座を開設する必要があり、空売り自体に心理的抵抗を感じる方もいます。
その点、インバース型のETFであれば、それを「買う」ことで、株価指数の下落による利益を得ることができるのです。
なお、インバース型のなかには「ダブルインバース」という、株価指数と逆方向の値動きかつ2倍のレバレッジをかけられるタイプもあります。これを用いれば、2倍のレバレッジをかけて空売りをするのとほぼ同じ効果が得られます。
個別銘柄を選んで投資することで、大きな利益を得ることが可能な一方、失敗すると大きな損失を被ることもあります。
株価指数に連動するタイプのETFであれば、個別銘柄より値動きは小さいですし、銘柄選びの手間も省けます。
個別銘柄への投資にちょっと抵抗を感じる、もしくは信用取引を使わずに同様の効果を得たい、という方はETFへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。
足立 武志
足立公認会計士事務所
※本記事は、2019年8月15日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。