富裕層の子供が世界中から集結「ボーディングスクール」とは? 271万㎡(東京ドーム58個分)もの敷地を誇るPhillips Exeter Academy

キャンパス内に寮を有し、学業だけでなく、共同生活を通じて社会性の育成までをサポートするボーディングスクール。多様性を重要視する富裕層が、我が子を通わせたいと注目しています。本連載では、SAPIX YOZEMI GROUPの海外事業開発部長・髙宮信乃氏が、その実情について解説します。

多国籍・多人種の学習環境が育てる「4つのスキル」

1学年の生徒数が80人の高校と聞いて、多いと感じますか? 少ないと思いますか? 日本の公立高校では、40名学級が標準で、学年6~8学級の学校が多いので、240人~320人が当たり前と感じるのが自然かも知れません。

 

筆者は東京生まれですが、社会人になるまでほとんど日本に住んだことがなく、日本で教育を受けたのは小学4年生の1年間だけです。外交官だった父親の転勤に伴って、幼少期の大半をアメリカ、オーストラリア、パキスタン、香港、インドネシア、スーダン(現・スーダン共和国、通称北スーダン)で過ごし、非英語圏ではインターナショナル・スクールに通いましたが、学年1クラスで十数人という学校も珍しくありませんでした。

 

SAPIX YOZEMI GROUP 海外事業開発部長 髙宮 信乃氏
SAPIX YOZEMI GROUP
海外事業開発部長 髙宮信乃氏

 

数年前、長野県にインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)が開校した際、1学年の生徒数が平均80人であると主人から聞き、「多いね!」と思わず反応してしまいました。そして、学年18クラス(800名以上!)の男子校に通い、100名近い部員のいる部活に所属していた主人が「少ない!」とびっくりしていることに驚きました。1学年80人という同一の事実に対して、異なる環境で育った二人が正反対のリアクションをする、このようなちょっとした家庭内異文化コミュニケーションは我が家の日常的な風景です。

 

近年、政治・経済など様々な分野でDiversity(多様性)が注目されています。社会科学者のスコット・ペイジは、『「多様な意見」はなぜ正しいのか』(水谷淳訳、日経BP社、2009年)で「異なる人生経験を持ち異なる訓練を積んだ人々、異なる文化的背景を持つ人々は、世界を違う風に見るものだ。そしてその違い――観点の違い――が、問題解決や予測において役に立つ」と指摘し、特に課題が複雑な成熟社会では多様性は問題解決に大きく貢献すると述べています。

 

教育も例外ではありません。多国籍・多人種の学習環境は、通常4C’sといわれる、4つの学習スキル、Critical Thinking Skills(批判的思考力)、Collaborative Skills(協力的・チーム力)、Creative Thinking Skills(創造力)、そしてCommunication Skills(対話力)の向上をもたらすという研究成果があります。様々な社会的、経済的、身体的な背景を持つ生徒たちが集まる教育現場では、多様なニーズに応える必要があり、それが生徒たちの4C’sの発展を促し、グローバル社会に対する意識を芽生えさせるのです。

共同生活を通じ、生徒の独立心や社会性が育まれる

多様性を重視する教育の具体例として、北米のボーディングスクールをご紹介したいと思います。北米には約350校のボーディングスクールがあり、キャンパス内に寮があるという共通点はあるものの、それぞれバラエティに富んだ教育プログラムを提供しています。

 

一般的に、ボーディングスクールは大学進学準備を目的としたPrep (Preparatory) Schoolと位置付けられ、9年生(中3生)から12年生(高3生)までを対象とした学校が多いのですが、小中生のみを受け入れるジュニアボーディングスクールなど様々な学年レンジの学校があります。

 

寄宿する生徒の割合は1~2割程度から全員までと差がありますが、二人部屋を中心とした共同生活を通じて生徒の独立心や社会性が育まれ、寮は全人教育の一翼を担っています。

 

授業は少人数のディスカッションを中心に組み立てられ、教師は知識を伝えることよりも議論を促す役割を期待されています。寮にはスタディルームと呼ばれる自習室が完備され、毎日2時間程度の学習時間がカリキュラムに組み込まれています。多くの教員がキャンパス内に住んでおり、質問対応など生徒一人ひとりに対するケアが非常に手厚いのも特徴的です。このような環境のなかで、自ら問いを立て、答えを模索し、それらをクラスメートと共有することで本当のアクティブラーニングが営まれています。

 

大学進学のためにAcademics(学問的領域)が充実しているのはもちろんのこと、Athletics(スポーツ)やArts(芸術)も大切なカリキュラムです。新しい分野への挑戦によって、慣れ親しんだ居心地の良いComfort Zoneから、未知な世界に対する、不安を抱えつつもより大きな成長が期待できるLearning Zoneに生徒たちは知らず知らずのうちに導かれていくのです。

 

そして、Learning Zoneに不可欠なのは、Diverse(多種多様)な環境です。生徒たちの出身地である全米各州や各国の旗が掲げられたダイニングルームに行けば、それは一目瞭然です。ボーディングスクールは、現実の世界を凝縮したコミュニティーといえるでしょう。

 

 

SAPIX YOZEMI GROUP 海外事業開発部長
Triple Alpha 副会長
髙宮 信乃

 

 

SAPIX YOZEMI GROUP 経営管理室 海外事業開発部長
学校法人髙宮学園 代々木ゼミナール評議員 

幼少期をパキスタン、香港、インドネシア、米国、スーダン(現・スーダン共和国、通称北スーダン)、オーストラリアで過ごし、1999年米ニューヨーク大学卒業後、MBAを取得。
アーサーアンダーセン税務事務所、リーマンブラザーズ証券会社を経て、2011年からSAPIX YOZEMI GROUPの幼児教室事業に従事し、2014年に海外進学部門のY-SAPIX Global Campus(YGC)を立ち上げ、ゼネラルマネージャーを務めるほか、株式会社ベストティーチャー副社長、Triple Alpha, Inc.副会長などを兼務。7歳の双子の母。

著者紹介

連載SAPIX YOZEMI GROUPの海外事業開発部長が解説!世界の富裕層が我が子を通わせる「北米ボーディングスクール」の魅力

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