金価格が高騰している。取引価格(田中貴金属)は今月8日に1グラム=5,572円をつけて以来、5,500円台を割っていない。刷れば出てくる「お金」と違い、有限で希少価値のある「金」は価値が落ちないはず……という考え方もあり、市場のリスクが高まると人気が出る傾向があるが、投資商品としての価値はどう判断すべきか? 様々な角度から検証する。

「金ETF」はリスク時にどうなるのか?

金への投資法として、現物としてコインやのべ棒を購入する以外に、金価格と連動するETF(上場投資信託)に投資する方法がある。金ETFの取扱いがある証券会社で売買することができる。

 

金ETFならば「金」に少額から投資でき、空売りすることも可能だ。現物を売買するより手数料も安い。金投資は手数料の高さがネックとなることが多いが、そのデメリットもカバーできる。

 

ただし、金融破綻くらいの大きなリスクに備えるという意味では、手元に現物があるわけではないので、取引している証券会社が破綻してしまったときに、なんらかの損失を被る恐れはある。とはいえ「金」を現物で所有しておくのが安心かというと、盗難や紛失の恐れもあり、管理の手間を考えると、これもなかなか別の意味でリスクが高いだろう。

 

ちなみに、金ETFの種類によっては、現物交換できる銘柄もあるが、その交換にはやはり手数料がかかる。

金の安全性…「暗号資産(仮想通貨)」との比較

現物である「金」が、取引きや管理に手間がかかる資産であることを考えると、有形ではないということで対照的な「暗号資産」に優位性があるのではないか、と思う人がいるかもしれないが、セキュリティやAMLなどで金以上に取引きや管理に手間がかかっているのが現実だ。実際に暗号資産は売買時のスプレッドが大きすぎて(管理や手間のせいだけではないかもしれないが)、トレードで勝つのは容易ではない。

 

暗号資産の管理の大変さは、自身で保有している人はよく知るところだろう。「オフラインならば絶対に安心だ!」と、ハードウォレットでUSBに保存したり、紙に印刷して保管したり、いろいろと工夫をしているが、側から見ると「何をやってるんだ……」という印象もある。

 

「有事の金」に代わり、国境を超えた資産として「暗号資産」を推す声もあるが、法改正や法整備による制限など、暗号資産自体が抱えるリスクは(盗難や紛失以外にも)小さくなく、歴史的に価値を有している「金」の代替としては、なかなか難しいのではないだろうか。

同じく安全資産である「円の高騰」には注意が必要

「金」は市場のリスクが高まっていると買われやすく、価値が上昇する傾向がある。市場の不安心理が高まると買われやすいのは「日本円」も同じだ。

 

ここで気をつけなければならないのが、金ETFがドル建てとなっている場合である。金価格はドル価格と反対に動く傾向があるが、せっかく金価格が上昇しても、同時に円高ドル安が進むと、為替の影響で利益が薄くなってしまう。なかには為替ヘッジがついている商品もあるので、金ETFに興味があるならば、商品選定の参考にするといいだろう。

「純金積立」という方法もあるが

ここまで触れてこなかったが、「金」に投資するには、他にも「純金積立」という方法がある。毎月一定の金額「金」を買い増していくことができ、少額から始めることも可能だ。ただし、毎月の手数料に関しては、頭に入れておいたほうがいいだろう。

 

金価格はドル価格と逆相関にある?

 

「有事の金」「安全資産」と呼ばれる金は、市況のリスクが高まるとニュースになるほど価格上昇する傾向はある。リスクヘッジのため、ポートフォリオに数%組み入れると良いという説はあるものの、他の金融市場と比べるとマーケットはとても小さい。

 

今後、需要が大きくなれば、もちろん価格はさらに上昇する(小さくなれば下降する)。ただし、金価格は経済が危機的状況に陥るほど上昇しやすいので、たとえ所有していたとしても、それは手放しには喜べない状況かもしれない。

 

 

 

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