オーストラリア準備銀行が緩和姿勢を維持すると見る理由

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

豪準備銀行の金融政策について、今日のヘッドライン6月4日号で利下げの背景などを取り上げました。今回、8月の金融政策理事会では、豪準備銀行は据え置きとしました。しかし利下げバイアスは継続しています。その背景を声明などにもとづいて述べます。

豪中銀金融政策理事会:市場予想通り据え置くも、金融緩和姿勢を維持

オーストラリア(豪)の中央銀行である豪準備銀行(RBA)は2019年8月6日、市場予想通り政策金利を1.00%に据え置きました。今回の据え置きは、6、7月に実施した利下げの影響を見極めるスタンスとしています(図表1参照)。

 

日次、期間:2016年8月8日~2019年8月6日  出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]豪政策金利と豪ドル(対米ドル)レートの推移 日次、期間:2016年8月8日~2019年8月6日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

一方、声明では今後について、労働市場を注視し必要であれば金融緩和を実施する姿勢を維持しています。市場は年内追加利下げの可能性を見込んでいるように思われます。

どこに注目すべきか:豪準備銀行、賃金、労働参加率、住宅市場

豪準備銀行の金融政策について、今日のヘッドライン6月4日号で利下げの背景などを取り上げました。今回、8月の金融政策理事会では、豪準備銀行は据え置きとしました。しかし利下げバイアスは継続しています。その背景は声明などにもとづくと以下の通りです。

 

まず、豪準備銀行の雇用市場に対する懸念です。例えば6月の失業率は5.2%と、2月の4%台から小幅ながら上昇しています(図表2参照)。雇用市場に余剰感が残ることが示唆されたと見られます。

 

 

月次、期間:2010年1月~2019年6月、賃金指数は四半期、1-3月期迄 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]豪失業率と賃金指数の推移 月次、期間:2010年1月~2019年6月、賃金指数は四半期、1-3月期迄
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

賃金の伸びも頭打ちです。足元の1-3月期の水準は前年同期比2.3%と、過去水準に比べ低くなっています(図表2参照)。一方、雇用者数は概ね堅調に推移し、労働参加率は過去最高水準での推移となっています。労働者が増えても賃金は抑制された格好で、インフレ率の上昇圧力を懸念するには程遠い状況と思われます。豪準備銀行は声明で、インフレ率が2%を超えるのは、従来より長い時間がかかる見込みであると述べると共に、2%を超える時期は21年と見込んでいます。

 

なお、経済成長率は19年を2.5%と、従来の予想から0.25%引き下げましたが、20年の成長率は2.75%で据え置きました。

 

世界経済について、成長率の下方修正との関連は不明ですが、不確実性が強まったとの表現を付け加えています。

 

豪経済は、中国やアジアなどとの結びつきが強く、外部環境の変化を受けやすいことも懸念の背景と見られます。

 

 

ただ、下落が続いていた住宅市場の基調は緩やかとしながらも、メルボルン、シドニーでの急回復を指摘しています。

 

住宅は金利感応度の高いセクターだけに、金融緩和の効果が現れた可能性が考えられます。ただ、豪家計の債務水準は高く、住宅需要の回復に持続性があるのかを見守る必要があると見ています。

 

市場では、豪準備銀行が年内さらなる利下げを実施すると見込んでいます。隣国のニュージーランドも7日に1.50%から1.00%と、市場予想を上回る0.5%の大幅な利下げを実施したことは豪準備銀行に政策金利の下押し圧力となりそうです。9日に公表予定の金融政策報告書などを確認する必要はあるものの、豪中銀の緩和姿勢維持が見込まれます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『オーストラリア準備銀行が緩和姿勢を維持すると見る理由』を参照)。

 

(2019年8月7日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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