福岡銀行などを傘下に置く株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(以下FFG)が、2020年度中のモバイル専門銀行(デジタルネイティブバンク)開業を目指し、「みんなの銀行設立準備株式会社」を設立することをリリースにて公表した。若年層の銀行離れが加速するなか、デジタル時代における顧客のニーズを意識した全く新しい銀行を、従来の枠組みに捉われず設計するという。地方銀行によるネット専業銀行の新設は他に例をみないが、この試みは、想像以上に大きく発展する可能性がある。

FFGの総資産「約20兆円」はメガバンクに次ぐ大きさ

「地銀」と聞くと地域密着型のイメージで、侮ってしまう人もいるかもしれないが、福岡銀行、その親会社であるFFGは、かなり大きい部類である。資産規模で考えれば、一般の企業と比較すると「超大企業」だ。

 

直近2019年3月の決算をみると、FFGの総資産額は20兆円を超えている。これはメガバンクに次ぐ大きさである。ファイナンスに関するインターネットビジネスは、どれだけカネを突っ込めるかで勝負が決まる側面もあるが、そこらのベンチャーがとても太刀打ちできないくらいの基盤がある。

 

今回はあくまで、新銀行開業のための新会社「みんなの銀行設立準備株式会社」の設立発表ということで、「新銀行のコンセプト、具体的なサービス内容、スケジュール等の詳細につきましては、決まり次第、順次お知らせ致します」とのことであったが、もし本気で取り組んできたら、「資本力」という側面で考えるならば、一大勢力となる可能性を十分に秘めている。

決してローカルなビジネスチャレンジではない

それでは、ビジネスモデルについてはどうだろうか? 「決まり次第、順次お知らせ致します」とのことであったが、リリースの参考資料においてFFGは、今回の取組みについて、以下のように述べている。

 

<本来の『銀行』が持つ3大業務(「預金」 「為替」 「貸付(融資)」)と3大機能(「金融仲介」「決済」「信用創造」)に着目し、シンプルかつデジタルで『銀行』そのものを“Re-Design(再デザイン)”、“Re-Define(再定義)”することで、従来の枠組みに捉われることなく、『ゼロベース』から設計する“全く新しい”銀行(=『デジタルネイティブバンク』と定義)の設立に向けた検討・準備を行うものです。>

 

具体策は全くみえてこないが、既存の顧客のネット利用を促すというような構想ではなく、ターゲットを含めて一から立ち上げるネット銀行であることは読み取れる。中長期的なビジネスモデルの行き詰まりがいよいよ顕在化してきた地方銀行の、起死回生の新たな収益モデルの範となるかもしれない。

 

前述のとおり、規模としては超大企業の取り込みであり、「地銀」という言葉だけで地域限定のローカルなビジネスチャレンジだと捉えてはいけないのだ。

 

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