NZ不動産における「賃貸契約期間」「住環境整備」の基礎知識

ニュージーランドの賃貸経営にまつわる法律のうち、賃貸契約期間に関するものは、日本の法律や日本人の感覚と開きがあるため、しっかり理解・把握しておくことが大切です。本記事では、賃貸契約期間についての法律と、賃貸期間の終了時にしばしば行われる家主とテナントの交渉のほか、ニュージーランド政府が医療費の削減を目的に定めた住環境整備に伴う決定事項について、家主が知っておくべき基本を改めて取り上げます。

「固定契約」だと、家主もテナントも早期解約できない

日本はうだるような暑さと聞いていますが、8月のニュージーランドは冬真っ盛りです。今回は、これまでもたびたび記事のなかで取り上げてきた、賃貸運営における家主の責任の再確認と、その運用実態について、改めて確認したいと思います。

 

まずは、不動産の賃貸契約期間の設定と、その解除に伴う法的な決まりごとと、現地の習慣についてです。

 

<賃貸契約期間の内容>

 

●固定契約:期限を決めた契約。1年固定期間が主流

●ピリオディック契約:期限を決めない契約

 

解約日の取り決めは、下記のとおりです。

 

<家主から>

家を売却した場合で、自らもしくは家族、身内が入居している場合は、42日前までに解約の申し出が必要。90日前までに解約を申し出た場合は理由を告げる必要はない。

 

<テナントから>

21日前までに解約の申し出をすること。

 

<固定契約の場合>

固定契約の場合は、家主・テナントの双方とも、早期解約はできない。どうしても解約したい場合は要相談となる。早期解約を希望するテナントは、家主に家賃支払い保証を約束し、家主に新規テナントを探してもらい、決まれば退去できる。家主の場合は、テナントの新居探しの手伝いや家賃割引など価格交渉を行う。いずれの場合も、お互い穏便に解決することを試みる。

 

賃貸物件の退去について、大きなトラブルとなったケースはあまり聞きません。ただ、テナントの事情による退去で1ヵ月空室となる場合は、テナントが家賃を払ったり、家主側の都合でテナントに退去してもらう場合は賃料を割引するなど、譲歩しあって解決しているようです。

 

日本とは事情が異なり、長期にしろ短期にしろ、家主の計画によって物件の貸し出し期間が決められ、家主は42日前に解約を通告するだけでテナントを退去させられるため、テナントの立場は不安定だといわざるを得ません。

 

逆に家主としても、突然テナントから3週間後の退去を告げられれば、次がすぐ見つかるか不安に思うかもしれません。しかし、空室期間が少しでも短くなるよう、申し出を受けると同時に物件へのアクセスを了解してしてもらい、次のテナントを探す営業活動を開始するといった、空室期間の短縮を図る方法を取ることができます。

 

テナントの退去は決してマイナスではなく、家賃値上げのチャンスでもあります。一気に週50ドルアップで広告を出すということも可能です。もちろん、そのときの相場感と室内の状態によって価格が決まるため、すべて値上げ可能というわけではありませんが…。

 

[図表1]

家主が負う「暖房機・断熱材・火災報知機」の設置義務

雨が多いため、湿度の高い家が多いニュージーランドでは、入居者が健康的な生活を送れるよう、家主は所有物件に「暖房機」「断熱材」「火災報知機」を設置するよう義務付けられています。

 

最近では、冬場の暖房器具としてエアコンが設置されることも多くなってきましたが、まだ薪を使う暖炉も多く利用されています。6月になると、暖炉の煙突掃除等を含めた一斉点検が行われますが、家主にはその費用負担として、1回1万円程度の出費が求められます。断熱材設置費用は、平均的な3LDKの家で約25万円程度です。出費は痛いですが、義務ですので回避できません。

 

火災保険の費用ですが、加入当時はもちろんですが、万一火災になって家が焼けた場合は再建築費を計算し、その保証額をもとに保険料が決めていきます。3年ごとに建築見積計算をしていきますので、最初の計算で不足があれば再計算され、保険料も上昇していきます。上昇率は約10%~15%です。

 

ここ数年、政府の賃貸物件基準の強化があり、不動産賃貸管理会社にもその徹底が義務づけられています。契約書でも、上記で説明した断熱材等を利用した各種規定水準の物件になっているかどうか家主に確認して署名をもらい、管理マネージャーとして現場設定及びテナントとの交渉を試みます。

 

暖かい住宅環境の整備は、国策としての医療費節減を目的としたもので、今回の規定を設けた理由の一つとなっています。

 

ガレージや物置小屋を寝室に改装し、水道管の認可を取ることなくキッチンやシャワールームを設置した、住宅環境の整っていない物件からも、堂々と家賃を取っている家主がまだ存在するようです。環境整備の強化が望まれます。

2019年6月の不動産の国内販売状況

国内平均販売額:対前4.5%上昇、58万5,000NZドル

平均販売日数 :41日、約6週間弱

地域別販売状況:オークランド、ワイカト地区は共に対前、横ばい。南島のオタゴ地区は対前8.2%上昇

 

 

[図表2]
[図表2]

 

オークション売りで売り切れる速度は落ちてきていますが、マーケットに出て6週間後に契約成立という平均値からもわかるように、オークランドの各地で不動産の売買が成立している実態があります。

 

 

一色良子

GooPropertyNZLtd.代表取締役社長

 

Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長

1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。

1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。

現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表としても活躍中。

著者紹介

連載現地スペシャリストがお届け!「ニュージーランド不動産」最新事情

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