投資信託の選び方…ダメなアクティブファンド「8つの特徴」

長期資産形成を目指す人々の間で、投資信託に注目が集まっています。独自の銘柄選択や資産配分により株価指数等の動きを上回る投資成果を目標とする「アクティブファンド」は、良質なものを購入すればメリットは大きいものの、不安な商品も混在しており、それらを見極める力が欠かせません。本記事は、セゾン投信・中野晴啓社長の著書『いま選ぶべきアクティブ投信 この8本!』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「アクティブファンド」選択の際に、必ずチェックすべきポイントを解説します。

運用ポリシーが確立されていても「NG」な商品はある

アクティブファンドは「何でもあり」という側面があります。相対リターンを目指すアクティブファンド、絶対リターンを追求するアクティブファンド、トップダウン・アプローチのアクティブファンド、ボトムアップ・アプローチのアクティブファンド、マーケットタイミングを狙って比較的短期の売買を行なうアクティブファンド、長期投資するアクティブファンド・・・など、さまざまな運用ポリシーを持ったものがあります。

 

これらのなかのどれが正しいとも、どれが間違っているともいえません。運用ポリシーがしっかりと確立されているのであれば、いずれのスタイルもありなのです。

 

ただ、運用ポリシーが確立されていることを前提としても、「これはダメ」というものがあります。ざっと挙げると次のようなことになります。

 

①継続的に資金が流出しているアクティブファンド

②絶対的に純資産総額の規模が小さいアクティブファンド

③資金を集め過ぎているアクティブファンド

④新規設定されたばかりのアクティブファンド

⑤テーマ型のアクティブファンド

⑥あまりにも多数の銘柄に分散投資されたアクティブファンド

⑦ファンドマネジャーの顔が見えないアクティブファンド

⑧運用方針に一貫性がないアクティブファンド

 

以上の要素のうち複数が当てはまるものは、買わないほうが無難です。

 

もちろん、これらの要素が含まれているアクティブファンドは絶対に運用成績が上がらないとはいえません。運良く運用成績が上がることもあるでしょう。

 

しかし、私は、数あるアクティブファンドのなかから、わざわざこうした要素がいくつも含まれたものを買う必要はないと考えています。その理由について、次項から具体的に説明していきましょう。

なぜ「継続的に資金が流出している」とダメなのか?

資金の流出入状況は運用成績に影響するというのはアクティブファンドに限った話ではなく、すべての投資信託に当てはまることです。基本的に資金が継続的に流出しているものを買ってはいけません。

 

資金の流出入状況は、ファンドの運用成績の良し悪しを決める、最も大切な要素になります。なぜなら、資金流出が継続しているアクティブファンドは、いくら優秀なファンドマネジャーが運用しても、運用成績がじり貧になる恐れがあるからです。もちろん、投資対象のマーケットが長期的に力強い上昇トレンドであれば、マーケットの上昇によってファンドの運用成績は、少なくともマーケット並みには上昇します。しかし、問題は下降トレンドに入ったときです。

 

通常の投資信託は基本的に買い持ち姿勢ですから、マーケットが下降トレンドに入ると、それまでいかに優秀な運用成績を収めていたアクティブファンドでも、マーケットの下落に圧されて、値下がりせざるを得ません。すると、ファンドの保有者のなかには、「このままもっと下がるんじゃないか」と不安になり、解約に走る人も出てきます。

 

現在、国内で設定・運用されている投資信託の大半は、「追加型」と呼ばれるもので、設定後、いつでも追加購入・解約ができるタイプです。そのため投資信託運用会社には日々、追加購入と解約の注文が入ってきて、その差し引きによって、資金の流出入が生じるという仕組みです。

 

追加購入の額が解約の額を上回れば、資金流入となり、解約の額が追加購入の額を上回れば、資金流出となります。保有者の不安が高まれば高まるほど、解約額が追加購入額を上回るようになり、日々の資金流出額が大きくなっていきます。とくに、下降トレンドのときに資金流出が止まらなくなると、ファンドマネジャーは運用成績を回復させるための手が打てなくなります。

資金不足になり、不本意な運用を強いられることに

なぜ資金流出が止まらなくなると、ファンドの運用成績を回復させるための手立てが限られてしまうのでしょうか。

 

資金流出が続くと、ファンドマネジャーは解約資金をつくるため、ポートフォリオを取り崩し続けるしかありません。たとえ成長性の高い企業を発掘できていたとしても、運用資金がどんどん流出しているのですから、新規資金でこの銘柄を買うことはできません。できるとしたら、すでに組み入れられている他の銘柄を外して、新規で投資したい銘柄を買うくらいでしょう。

 

しかし、すでに組み入れられている銘柄も、きちんとした理由のもとに投資しているわけですから、組み入れる際の前提条件が大きく変わらない限り、本来、ポートフォリオから外したくはないのです。結果として、不本意な運用を強いられることになります。

 

一方、資金流入が続いているファンドであれば、マーケット全体が下がったときでも、株価が安くなったところでむしろ積極的にそれを拾うことができます。すると、ポートフォリオに組み入れる際の平均コストを下げることができるため、マーケットが再び上昇に転じたときに、利益が生じやすくなります。

 

資金が流出し続けているアクティブファンドは、成績が上がりにくくなるというのはこのような理由に基づくのです。

 

そしてもうひとつ、資金流出が続くと大きな問題が生じてきます。それは、繰上償還リスクです。

 

繰上償還とは、たとえば信託期間が10年、あるいは無期限とされているにもかかわらず、途中で償還されてしまうことです。どういうときに繰上償還が行なわれるかについては、個別ファンドの目論見書に記載されています。ちなみにセゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」については、以下の記述が載せられています。

 

●受益権の口数が10億口を下回ることとなった場合

 

●信託期間中において、ファンドを償還させることが受益者のために有利であると認めるとき、またはやむをえない事情が発生したとき

 

もちろん、純資産総額ベースで100億円、200億円規模のファンドの受益権口数が、あっという間に10億口を割り込むようなことになるとは思えませんが、潜在的にはこうしたリスクがあることも頭に入れておく必要があります。繰上償還されたら、せっかく長期投資しようという前提で購入したとしても、不可能になってしまいます。

 

またアクティブファンドの場合、それまで自分が保有してきたファンドが繰上償還されて他のアクティブファンドに乗り換えようと思っても、それまで保有していたファンドとまったく同じコンセプト、同じ組入銘柄、同じ運用手法・・・といったファンドを見つけるのは不可能に近いので、運用の継続性という点で問題が生じてしまいます。ですから、できるだけ資金が安定的に流入しているファンドを選ぶべきなのです。

 

ちなみに、資金の流出入の状況については、モーニングスターのホームページを見ればわかります。

 

 

中野 晴啓

セゾン投信株式会社 代表取締役社長

 

セゾン投信株式会社 代表取締役社長

1987年、明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月から現職。全国各地で行う講演やセミナーを通じ、本物の長期投資を生活者に広める活動を日々続ける。趣味は歌舞伎鑑賞、鉄道。

著者紹介

連載投資信託「ダメなアクティブファンド」の見極め術

本連載は、特定の金融商品の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。また、投資にはリスクがあります。積立による購入は将来の収益を保証したり、基準価額下落時における損失を防止するものではありません。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本実業出版社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

いま選ぶべきアクティブ投信 この8本!

いま選ぶべきアクティブ投信 この8本!

中野 晴啓

日本実業出版社

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