中小企業なら「商品安売り」なんて絶対にしてはいけないワケ

日本に現存する会社の9割以上は「中小企業」です。小さな会社が生き残り、成長のチャンスをつかむためには、自社の「ブランド」を守ることが求められます。そこで本記事では、『中小企業の経営極意 裏と表とそのあいだ』(幻冬舎MC)の著者・井指好康氏が、中小企業の経営戦略を解説します。

中小企業の成長のカギは「イメージづくり」にある

◆「リーダーが引っ張っていく」のはもう古い

 

弱小企業が大手と張り合って勝ち抜いていくには、社長は言うまでもなく社員全員の力を結集することが不可欠だ。しかし従来のように、だれかがリーダーになって、ほかの社員を引っ張っていくという発想は、もう古い。

 

社員全員が自分のもつ人間力、人間性を発揮して輝き、社内が一体化しているような仕組みづくりをすることだ。ここでいう人間力とは、自主的に考え、行動し、その行動により周囲を感化できる力のことである。さらに人間性とは、どれだけ世のため、人のために尽くせるかという人間の力量、人間の大きさを示す指標である。

 

この人間力と人間性が合体したときにリーダーシップが生まれる。したがってリーダーシップとは特定のだれかが発揮するものではない。だれもが自分の得意な分野でリーダーシップを発揮できるようにすることが肝要だ。

 

最近では社員研修のメニューの中に、初対面の人が集まって1軒の家を建てるというものがある。もちろん参加者には建築関係者はいない。建築とは無縁の人たちが、自分の持っている知識やいままでの自分の経験を持ち寄って話し合い、1軒の家を建てようとするわけだ。そこには新しい時代のリーダーシップの原型が見てとれる。

 

◆ブランドづくりはイメージづくり

 

小さな会社が生き残り、成長のチャンスをつかむためには、常にイメージづくりを意識していないといけない。たとえば会社の案内看板を立てるにしても、単に会社名を表記するだけではだめだ。自社のマークを入れるとか、商品を連想させるものをビジュアル化するなど、常に自社のイメージを具体化する努力をすることだ。

 

たとえばテレビでは携帯電話をめぐって熾烈なCM合戦が日々行われている。各社とも個性の強いキャラクターを打ち出し、世の中のより多くの人が携帯電話という言葉から「ソフトバンク」、あるいは「NTTドコモ」、「au」をイメージしてくれるように、競い合っている。

 

あなたが小さな会社の経営者であったとしても、こうしたイメージ競争を対岸の火事とばかりに、のほほんと見物してはいけない。消費者の嗜好が多様化している中、自社の製品やサービスを多くの人に伝える(告知する)にはどうすればいいかを常に考え、発信する準備をしておかなくてはならないのだ。

 

ブランドとは、こうした不断の努力の上に成り立つものであり、ブランドづくりとは、最終的にはイメージづくりといいかえてもいいのだ。

 

◆安易な値下げがブランド力を壊す

 

しかしながら、このように不断の努力によって、ようやく育ってきたブランド力が、小さな会社にありがちな安易な値下げのために、一夜にして崩壊するのを私は数多く目にしてきた。

 

例を挙げてみよう。たとえば在庫を抱えすぎて倉庫代すら払えなくなった会社がある。そこで「在庫一掃セール」をする。あるいは食品を扱う店が「消費期限」「賞味期限」の切れそうな商品を「値下げセール」する。

 

こうした値下げは、すべて経営の甘さからきている。単に値下げして大量に買ってくれる相手がいて、その結果、利益が出るというのとは、わけが違う。いままで売れ残ったものを「在庫一掃セール」とうたってみても、売れる保証はないのだ。むしろほとんどの商品が売れ残り、「あそこは値下げするんだ」という印象だけを顧客に与え、自社のブランド力を貶める結果だけが残る可能性の方が高い。

 

一度値下げをすると、すべての顧客が値下げ待ちの状態になる。閉店前のスーパーの鮮魚売り場で「半額」のシールが貼られるのを待つ主婦のようなものだ。こうなったら最後、いままでの努力が水泡に帰し、利益が出なくなってしまう。私自身も何度、値下げ販売の誘惑にかられたかしれないが、「痩せても枯れても武士」と我慢をしてきた。

「うちの会社は小さいから」は敗者の言葉

◆会社の大きさにこだわらず何かで一番をめざせ

 

日本で一番高い山は富士山。これはだれでも知っている。では2番目を知っているだろうか。日本で2番目に高い山は南アルプスの主峰・北岳。標高は3193m。ここまでなら知識として知っている人は多い。だが「それは、どこにあるの?」「あそこに見えるのが、そうなの?」と尋ねられても、地元の人か、よほどの登山好きでないかぎり、きちんとこたえることは難しい。

 

商売の世界でも同じだ。売り上げ、品質、サービス、何でもいい。何かで一番をめざすことだ。そうすれば必ず名前を覚えてくれる。

 

世の中にはほんとうにさまざまな商売があるし、さまざまな商品やサービスがある。その中から、だれもやらないような商売をさがし、だれもつくらなかったような製品をつくり、だれも考えつかなかったようなサービスを生み出せば、日本一、いや世界一になれる。そうすれば客の方から「あれが例の会社よ」「日本一なんでしょ」といって、いやでもやってくる。

 

◆世界にたった一人の素晴らしい自分だと思えるか

 

ただし、そのとき間違えてはいけないことがある。それは、会社が大きいとか小さいとかにこだわってはいけない、ということだ。「うちの会社は小さいから」と思ったら最初から負けている。

 

この分野で商売をするヤツは日本はおろか世界にもいない。世界にたった一人の素晴らしい自分だと思えるかどうかで決まってくる。そう思えれば日本一にも、世界一にもなれる。絶対に成功するという信念をもつことが大事なのだ。

昭和22年9月15日、現在の愛知県・豊川市に生まれる。昭和37年愛知県立豊川高校入学。昭和40年3月高校卒業。同年4月(株)磯村時計商会(名古屋)社。昭和44年4月上京。(株)斉藤商店に入社しボランタリーチェーンの実際を学ぶ。東南アジア視察旅行やアメリカ合衆国一周視察旅行で知見を広め、昭和52年(株)お茶の雅設立。社長となる。平成4年若者の集い・雅会を設立。平成7年(株)雅、携帯電話事業に参入。平成15年(有)アイティエヌ設立。開発業、土地・建物の総合プロデュースに進出。

著者紹介

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井指 好康

幻冬舎メディアコンサルティング

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