前回は、顧客を減らさないための「クレーム対応」の留意点について説明しました。今回は、動物病院の顧客満足度を上げるための3つの方法について見ていきます。

「獣医療サービス」を提供するサービス業という意識を

「CS」という言葉はご存じの方は多いと思います。「Customer Satisfaction」の略で、「顧客満足」という意味です。一般にサービス業では、このCSをどれだけ向上できるかが、集客の鍵を握るといわれています。動物病院も、「獣医療サービス」を提供するサービス業である以上、絶えずCS向上に注意を払うことが求められるでしょう。そのようなCS向上に効果がある方法として、

 

①クレジットカードの導入

②ペット保険については「窓口割引型」に対応

③診療や会計の待ち時間を短くする工夫を試みる

 

ことが挙げられます。

クレジットカードの導入は未払い防止にも有効

CS向上に効果があるそれぞれの方法について、具体的に解説していきましょう。

 

まず、クレジットカードの導入については、「カード会社に手数料がとられるから、できれば診察料は現金で払ってもらいたい」と消極的に受け止める人もいるかもしれません。しかし、飼い主の立場からみれば、クレジットカードが利用できるのは非常に便利ですし、またありがたいことです。

 

手術の支払いなどは、どうしても高額になりがちです。クレジット決済が認められないのであれば、「今は十分な現金の持ち合わせがない」というような飼い主は、治療のために手術が必要だとしても即断できず、「どうしよう、親にお金を借りようか・・・」などと金銭の工面を考えたり、あるいは手術をあきらめることになるかもしれません。しかし、クレジットカードが使えるのであれば、少なくともお金の支払いを理由に、手術を受けさせることをあきらめる必要はなくなります。

 

また、クレジットカードの導入はCSの観点からだけでなく、未収金対策という面からも大きな意味があります。

 

ペットの飼い主の中には、会計のときに「お金が足りない」などといって治療費を全額支払わずに、そのまま連絡がとれなくなるような人もいます。会計の際に「クレジットカードでもお支払いが可能ですよ」と応じることができれば、そのような“とりっぱぐれ”も防ぐことができます(もちろん相手が最初から故意に治療費を支払わないつもりの場合には、「カードも持っていない」というような態度を示すかもしれませんが)。

 

なお、患者さんの決済の便宜を図るという点では、クレジットカードだけでなく、PASMO(パスモ)、Suica(スイカ)などのいわゆる電子マネーへの対応も前向きに進めることが望ましいでしょう。

 

次回は、顧客満足度をあげるペット保険の「窓口割引型」、待ち時間を短くする方法について見ていきます。

本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

百瀬 弘之

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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