第二次エネルギー革命では、自動車におけるアフターマーケット市場、航空機における旅客業といった様々な産業が生み出された。もちろん第三次エネルギー革命でも、これまでに例を見ない新しいビジネスの誕生が予想される。ここではアイデアの例とともに、その実現に向けて解決すべきコスト面の問題や法整備といった課題についても考察する。本記事は、『第三次エネルギー革命』(株式会社エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、再生可能エネルギーの行方とそこに見えるビジネスチャンスについて、世界最大級のグローバル経営コンサルティング会社、デロイトが解説する。

従来の産業に属さない「新ビジネス誕生」の可能性

新しいエネルギーと、それを活用する新しいモビリティや電源などの製品は、それらを活用した新しいビジネスを創出する機会をも生み出す。自動車にかかるアフターマーケット市場や、航空機による旅客業の登場など、第二次エネルギー革命によって様々な産業が生み出されたのと同様、第三次エネルギー革命が生み出す新ビジネスにも無限のアイデアが考えられる。ここではあくまで例示として、アイデアのいくつかを示したい。

 

アイデア①「燃料電池ドローン配送」

 

物流のラストワンマイルにおいては、交通渋滞の深刻化を防ぎ、ドライバー不足を解消するソリューションとしてドローンに対する期待が高まっている。但し、現状のドローンは数十分程度の飛行が限界であり、ドローン配送の実現は困難と考えられている。

 

一方で前述の通り燃料電池ドローンは、短時間の充填と、長時間の飛行を可能にする。燃料電池ドローンであれば、現在の集配所がカバーする集配エリア内のラストワンマイルをドローン配送で賄うことが期待できる。

 

アイデア②「クリーン水素物流ソリューション」

 

Scope3対応を見据えて、今後、物流プロセスでのCO2排出削減ニーズが高まる可能性がある。トラックやフォークリフトなど、燃料電池を動力源とする物流用モビリティの研究開発・実証から量産化が進められている。物流拠点において、これらの製品を一定ボリューム導入すれば、安定的な水素需要が創出されるため、拠点に水素ステーションを設置しても事業性が成り立つことが期待される。さらに、クリーン水素を積極的に活用すること、トータルで排出されるCO2量を測定することができれば、物流をクリーン化する統合的なソリューションとなることができる。

 

アイデア③「水素を活用した地域エネルギーマネジメント」

 

今後の再生可能エネルギーが拡大する再生可能エネルギー社会においては、水素を活用することで、エネルギーの安定供給と、電気・熱・燃料のクリーン化に貢献できる。

 

そのため、水素バッファリングをエネルギーマネジメントシステムの中に組み入れ、系統安定化を実現するとともに、電気・熱・燃料といった様々な形態で水素を消費し、地域の再生可能エネルギーを無駄なく活用すれば、地域社会のクリーン化とエネルギーの安定供給を実現することができる。

 

また例えば、地域の電力会社が再生可能エネルギー電力から水素を製造し、さらには、その水素からメタンガスなどを製造して販売すれば、グリーン電力供給やエネルギーマネジメントサービスによるマネタイズに加え、水素や水素由来メタン販売によるマネタイズも期待することができる。

 

[図表1]第三次エネルギー革命におけるビジネスモデルの革新例
[図表1]第三次エネルギー革命におけるビジネスモデルの革新例

 

新しいエネルギーと、それを活用する新しいモビリティや電源などの製品は、これまでの世界にはなかった優位性を持っている。その優位性が従来の産業に組み込まれることにより、当該産業において競争力を持つ新たな勢力へと進化することが期待できる。それらは人々の生活の革新をもたらし、『第三次エネルギー革命』の第7章の冒頭で示したような未来予想図へとつながっていくものと考える。

 

さらに、これから数十年の間には、例えば、IoT/AI技術やシェアリングビジネスなど、エネルギー以外の領域での様々な技術・事業上のイノベーションが並行して結実していくと思われる。第三次エネルギー革命と、それらのイノベーションが組み合わせられることにより、これまでのどの産業にも属さない、新たなビジネスが誕生する可能性も十分にある。

 

[図表2]第三次エネルギー革命がもたらす革新の全体像
[図表2]第三次エネルギー革命がもたらす革新の全体像

政府・社会は「経済合理性」実現のサポートを

ここまで、第三次エネルギー革命がもたらすバラ色の未来を説明してきた。但し、その実現には様々な困難がつきまとう。共通する最大の困難は、従来品に対する経済合理性の実現だ。エネルギーやモビリティにまつわる従来の産業は、いずれも高度なシステムとして確立しており、その限界費用は限りなくゼロに近づいている。

 

一方で、水素や燃料電池製品は新参者であり、規模の経済を享受して従来産業に対してコスト競争力を有するには時間を要する。新製品や新産業が成立するための法整備はもちろん、黎明期の経済合理性を成立させるための支援、革新を積極的に育成していくための土壌づくりが政府や社会に求められることになる。

 

 

 

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