米国なぜ強い?日本株だけでなく米国株にも分散投資すべきと考える3つの理由

※本記事は、2019年6月11日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

NYダウが反発しても、日経平均・上海総合株価指数の戻りは鈍い

今年に入ってから、NYダウの反発が大きいのに、日経平均・上海総合株価指数の戻りは鈍いままです。

 

NYダウ・日経平均・上海総合株価指数の動き比較:2017年末~2019年6月10日

出所:楽天証券経済研究所が作成。2017年末の値を100として指数化
出所:楽天証券経済研究所が作成。2017年末の値を100として指数化

 

これには、3つの理由があると考えています。

 

【1】貿易戦争のダメージが製造業に集中

 

日本と中国は、ともに製造業王国です。産業構造を見ると製造業の比率が高く、貿易戦争のダメージを受けやすい構造です。

 

米国も製造業だけ見ると、業況悪化が顕著です。ところが、米国では早くから製造業の空洞化が進み、既に製造業への依存は小さくなっています。代わって、構成比が高まっているのが、IT・ヘルスケア・金融などの非製造業。経済構造の違いゆえ、貿易戦争のダメージは日中に重く、米国には比較的軽くなっています。

 

米ISM製造業・非製造業景況指数:2014年1月~2019年5月

出所:米ISM供給公社
出所:米ISM供給公社

 

【2】IT大手の力の差が歴然、米企業が世界のITインフラを支配

 

グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなど世界のITインフラを支配する米IT大手の業績は好調ですが、日本のIT大手の業績は冴えません。米IT大手が世界のITインフラを支配して稼いでいるのに対し、日本のIT大手は世界標準を取ることができず、狭い日本で過当競争に陥り、収益が悪化している例が増えています。

 

中国には、アリババ、テンセント、バイドゥなど、中国市場を支配して巨大化したIT大手があります。中国政府が米IT大手の参入を拒絶したおかげで、中国のIT大手が中国市場を独占的に支配して成長してきました。ただし、米IT大手のように、世界のインフラを支配する力はありません。

 

近年、ITを使ったサービスが世界中に広がり、ネットがリアルを代替する流れが加速しています。こうした環境下、IT産業の力の差が米国と日本、中国の株価パフォーマンスの差につながっています。

 

【3】シェール・オイル&ガス革命の恩恵が米国に大きい

 

米国はかつて、世界最大の原油輸入国でした。ところが、シェール・オイルの増産が続き、今や世界最大の産油国となり、原油を輸出するようになりました。かつて採掘することができなかったシェール層から大量のシェール・オイル、シェール・ガスを産出するようになった効果はとても大きく、米国経済の競争力を高めました。その恩恵が、今も続いています。この大きな変化を、「シェール・オイル&ガス革命」と呼びます。

NYダウは過去30年日経平均を上回るパフォーマンスを実現

NYダウが強く、日経平均が弱いのは、今に始まったことではありません。日経平均が、バブル相場で最高値(3万8,915円)をつけた1989年12月末から比較すると、日米の株価パフォーマンスには以下のように、大きな差がついています。

 

日経平均・NYダウの動き比較:1989年末~2019年6月(10日)

出所:楽天証券経済研究所が作成。1989年末の値を100として指数化
出所:楽天証券経済研究所が作成。1989年末の値を100として指数化

 

上のチャートを見ると、NYダウがバブルのように見えますが、そうではありません。バブル相場では、利益を無視して夢だけで株価が上昇しますが、NYダウは利益を無視して上昇してきたわけではありません。1株当たり利益の増加を反映して、上昇しただけです。

 

株価の割安度をはかる代表的な指標にPER(株価収益率)があります。1株当たり利益の何倍まで株価が買われているかを示すものです。世界各国の主要株価指数は、だいたいPER10~20倍の範囲で評価されてきました。米国株のPERは、だいたい13~20倍の範囲で推移しており、現在は約17倍。米国株に特に割高感はありません。

 

米国では、2010年以降、利益も株価も継続的に上昇してきました。シェール・オイル&ガス革命、世界のITインフラ支配、大型減税などによって、米国企業は利益を拡大させ、それに伴って株価が上昇してきました。

 

米国株には、日本株にない魅力を持つIT企業が多数あることから、中長期的に資産形成をはかる上では、日本株だけでなく米国株にも分散投資をしていった方が良いと考えています。

 

 

窪田真之

楽天証券経済研究所

 

※本記事は、2019年6月11日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

 

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