長期的な資産運用として人気な「不動産投資」だが…
将来の年金不安や実感できない経済成長などを背景に、資産運用や副業で収入源を増やすことに取り組む人が増えています。会社に勤めていても、かつてのように安定的な雇用や昇給が期待できる時代ではありません。会社で活躍し将来が期待されているような人でも、リスクヘッジの観点から給与以外の収入を作ろうとしています。
なかでも、不動産投資に大きな関心が集まるようになってきました。不動産投資は安定的に家賃収入が得られて、なおかつ、投資物件を担保にローンを組み資金調達ができるので、投資のなかでも規模を拡大しやすいというメリットがあります。
しかし、リスクの無い投資は存在しません。不動産投資では、空室リスクや家賃の未払い、近隣住民とのトラブルなどのリスクもあります。そこで、問題のある入居者と契約してしまわないために重要な「入居審査」について考えてみましょう。
問題のある入居者に部屋を貸してしまった場合には、どのような事態が発生してしまうのか、想定できるリスクを見ていきます。一番起こりがちなトラブルは、家賃の未払いです。ローンを組んで物件を購入していた場合、家賃収入で返済するので、入居者の未払いは死活問題です。
また、ご近所トラブルを起こすような人物も好ましくありません。トラブルを起こすような人物がいると、他の優良な入居者が離れていってしまいます。また、部屋を大切に使わず、物件を破損させてしまうような入居者も困ったものです。このようなトラブルを起こす入居者には、一刻も早く退去してもらいたいところですが、日本の法律は居住者に有利で、退室してもらうまでにかなりの手間や費用がかかります。そのため、こうした問題を起こすような人物をあらかじめ入居させないように、水際で防ぐことが大切です。
支払い能力、職業、人柄…入居者審査のポイントとは
問題を起こしそうな人を見極め、優良な入居者を集めていくためには、入居審査が重要になります。そのポイントをあげてみます。
① 支払い能力
まず、家賃に関するトラブルをなくすために、支払い能力がある人かどうかを見極めます。現在の職業や収入に加えて、可能であれば預貯金なども確認し、急な失職などの場合でも支払いの継続が可能かどうかを、さまざまな角度から検証するようにしましょう。
② 職業
勤務先や職業の確認は大切です。ただ、これは支払い能力を調べるだけの話ではありません。職業によって、ある程度生活リズムが把握できます。もちろん、社会的立場や社会的責任のある人かどうかもわかるでしょう。なお、正直に職業を申告していない場合もあります。万が一に備えて、勤務先の在籍確認なども行うようにしましょう。
③ 連帯保証人の有無
万が一、家賃トラブルが発生した場合に備え、連帯保証人がいるかどうかも大切です。また、連帯保証人に対しても入居者同様に、支払い能力があるのか、きちんとした職業に就いているのかを見るようにしましょう。
④ クレジットカードなどの滞納歴
クレジットカードなどの滞納歴は、相手の同意のもとに確認が可能です。クレジットカードの滞納歴があるかどうかは大切な参考情報になるので、できる限り取得するようにしてください。
⑤ 人柄
抽象的な項目かもしれませんが、入居者の人柄も大切です。相手の人柄を見抜くのは簡単ではありませんが、他人と接するときの態度がおかしい人、社会常識に欠けているような行動をとる人を断ることができれば、大きくリスクは減らせます。オーナー自身でも直接会ってみたり、管理会社の人に面談をしてもらったりと、人柄を見極めるような機会を作るように心がけましょう。
⑥ 高齢者や生活保護受給者など
上述したようなルールに従い厳密に入居審査を行うと、どうしても高齢者や生活保護受給者の入居を断ることになりがちです。最終的にはオーナーの判断ですが、そうした人たちを一律で断ってしまうのは、もったいないかもしれません。これらの人は年金を受給していたり、自治体が賃料を保証していたりするため、実は家賃の不払いリスクが低いからです。福祉職員や介護職の方と連携することで、トラブルを低く抑えることもできます。少子高齢社会となった今、こうした人たちの入居は、むしろ前向きに検討するべきでしょう。