ブラジル、市場動向は依然構造改革次第

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

ブラジルのボルソナロ政権が年金など構造改革に着手する中、改革の難しさにも直面したことからブラジル株式市場の上値は重く、就任後しばらくレアル安が進行する展開でした。ただ、ボルソナロ政権は改革姿勢を継続していることから足元で株価やレアルに回復の兆しも見られます。ブラジル市場は構造改革への姿勢にその動向が左右される展開が当面続くと思われます。

ブラジル構造改革:ボルソナロ政権は改革姿勢を維持するも、現実に直面

ブラジルのボルソナロ大統領(2019年1月就任)が2月後半に年金改革法案を、経済政策を担当するゲジス経済相と共に提出しました。ボルソナロ政権に対する年金など構造改革への期待は高い一方で、一部に反対も聞かれます。

 

市場では、改革には困難も伴うとして、改革法案提出の前後から株式市場の下落や為替市場ではレアル安が進行しました(図表1参照)。

 

[図表1]ブラジルレアル(対ドル)とボベスパ指数の推移 日次:2018年5月29日~2019年5月29日 出所:ブラジル財務省などのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ブラジルレアル(対ドル)とボベスパ指数の推移
日次:2018年5月29日~2019年5月29日
出所:ブラジル財務省などのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:年金改革、歳出上限、デモ、世論調査

ブラジルのボルソナロ政権が年金など構造改革に着手する中、改革の難しさにも直面したことからブラジル株式市場の上値は重く、就任後しばらくレアル安が進行する展開でした。ただ、ボルソナロ政権は改革姿勢を継続していることから足元で株価やレアルに回復の兆しも見られます。ブラジル市場は構造改革への姿勢にその動向が左右される展開が当面続くと思われます。

 

ブラジルの財政は今後悪化が見込まれており、対策を怠れば今後債務が拡大する恐れもあります(図表2参照)。

 

[図表2]ブラジル政府債務残高対GDP比率実績と予想 年次:2007年~2017年(実績)~2026年(予想)予想はブラジル財務省 出所:ブラジル財務省などのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ブラジル政府債務残高対GDP比率実績と予想
年次:2007年~2017年(実績)~2026年(予想)予想はブラジル財務省
出所:ブラジル財務省などのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

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ブラジル政府は歳出を抑制するため、歳出額に上限(前年の歳出水準にインフレ調整した額)を各年設定して、大枠で構造改革をサポートしています。

 

ボルソナロ政権は、個別の構造改革として、発足後既に成果を示したものもあります。例えば、政府のスリム化として省庁を29から22に削減すると共に、職員を2万人削減しています。また、空港や港湾の民営化に向け入札にも着手しています。

 

ただ、市場の反応にもあるように、構造改革路線を維持できるか不安も見られました。例えば、構造改革の目玉である年金改革法案は、「今日のヘッドライン5月9日号」で紹介したように、議会に提出するも審議に入る前の段階の合憲性が認められるのに2ヵ月近くかかりました。支持率が低かったテメル前政権でさえ、ここまで時間はかからなかった点で懸念が高まりました。

 

また、ボルソナロ政権が進める年金以外の改革案にも、市民の反対が見られます。例えば、教育関連の予算削減に対し、5月中旬、ブラジルでデモやストライキなどの抗議行動が起きています。

 

 

5月後半に実施された世論調査ではボルソナロ政権の不支持が、政権発足後、初めて支持率を上回る結果でした。ボルソナロ政権は選挙での支持を背景に改革を進めてきただけに、今後の支持率回復期待はあるものの、痛手です。ブラジルの景気回復が鈍いのも支持率に影響した模様です。

 

幸い、足元レアル高や株式市場に反転の兆しが見られたのは、議会の動向からボルソナロ政権が年金改革姿勢を維持していることが明確となったためで、当面の安心材料となる期待もあります。

 

新興国にはブラジル同様構造改革が求められる国がある中、ブラジルの動向が他の国へ波及する可能性もあり、ブラジルの構造改革の動向を注視しています。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ブラジル、市場動向は依然構造改革次第』を参照)。

 

 

(2019年5月30日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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