日本ではなじみの薄いポートフォリオ作成だが・・・
ここからは、資産を防衛するための「ポートフォリオ」をプランニングする方法を見ていきます。基本的なポートフォリオ組成の要点をまとめるために必要な基礎知識から、今後日本や世界に起こり得る経済のシナリオを考えながら、資産防衛するためのポートフォリオ組成法を見ていきます。
まずは「ポートフォリオを作る」という作業についてですが、日本人にはあまりなじみのない行為かもしれません。日本でも資産運用の相談に乗ってくれる「ファイナンシャル・プランナー」といった専門職がありますが、自分の財産をすべて相手に教えて、相談に乗ってもらうという行為が定着しているとは思えません。
資産家自身が「ポートフォリオ」を学ぶ必要がある
とりわけ富裕層の方々には、警戒感もあり、そう簡単に自分の資産を任せる、相談するといったことはあまり馴染みがないのかもしれません。海外では、「プライベートバンク」といった富裕層をターゲットにした専門のサービス・システムがあり、「コンシェルジュ」と呼ばれる専門家が資産運用をはじめとして様々なサービスを提供してくれる金融機関もあります。
プライベート・バンカーと呼ばれる専門知識を持ったプロが、超富裕層の資産内容をある程度把握して、代々にわたって資産を守ってくれるという仕組みができているのです。
しかしながら、日本ではまだプライベートバンクそのもののシステムが、規制の関係もあって定着していません。自分の資産全体を守るための「ポートフォリオ」を作るとしたら、最終的には自分自身でやるしかないといった現実があるといっても過言ではありません。
そういう意味では、資産家自身がポートフォリオ作成についてきちんと学ばなければなりません。特に、億単位の資産を保有する富裕層は、基礎的な知識から応用技術に至るまで、資産運用のスキルを身に付けておく必要があるのです。
そもそもポートフォリオは、資産運用の「基本設計図」です。基本設計図が間違っているとまともな家が建たないのと同じで、資産全体も脆弱なものになってしまいます。