株式投資は、ベストパフォーマンスをするために「日々の練習」が必要だと思います。今回は「スポーツ」に例えてお伝えします。
スポーツの世界にも株式投資にも「本番」がある
スポーツの世界では、試合や大会といった「本番」に向けて、選手は日々練習を続けます。それは、本番でベストパフォーマンスを出すためです。
筆者は、このことは株式投資の世界でも同じだと思っています。実は株式投資も「本番」があり、ここでのパフォーマンスが投資成績に大きく左右されるからです。
株式投資の「本番」とは?
株式投資の「本番」とはいつか? 筆者は、ほとんどの銘柄の株価が大きく上昇する、いわゆる「大相場」の時期が株式投資の本番だと思っています。
大相場では、銘柄選択によるパフォーマンスの差は小さいです。その期間に株を保有していることができれば、それだけで大きな利益につながります。
逆に、2013年後半以降の二極化相場や、今のように一握りの銘柄しか高値を更新できていない状況では、銘柄選択を誤ると、全くと言ってよいほど利益が上がらない、というのが現実です。
投資する銘柄を10銘柄ピックアップして実際に投資したところ、そのうちの2つは株価が大きく上昇したものの残り8つは逆に株価が下落……となれば、トータルでの利益は小さいものになってしまいます。トータルで損失となる可能性もあります。
大相場の時期以外でも、株価が大きく上昇する銘柄は確かに存在します。「それを選ぶことができるように銘柄分析力を高めればよい」という声もありますが、プロ投資家でさえ難しいものを個人投資家ができるようになるとは到底思えません。
株式投資では、利益を上げることが容易な局面とそうでない局面とがあります。そして、利益を上げることが容易な局面でしっかりと利益を上げることこそが、パフォーマンスの向上につながるのです。
筆者が25日移動平均線を売買の基準にしている理由は?
筆者は、25日移動平均線を超えたらすぐに買い、割り込んだらすぐに売る、という売買手法をずっと繰り返しています。なぜこれを行っているかといえば、「本番」の大相場が到来したとき、しっかりと利益を得ることができるようにするためです。
このルールに沿って売買をしていると、「大相場にすんなりと乗ることができる」という大きなメリットがあります。大相場になれば、25日移動平均線を株価が上回った状態の中、株価が上昇を続けます。そのため、株価がいくら大きく上昇しても、それに乗り続けることができるのです。
実際、筆者も2012年11月中旬~2013年5月までの間、このルールを貫徹したおかげで多くの利益を得ました。
大相場以外ではこまめに利益確定し大相場では持ち続ければよい?
このようなお話をすると、次のように考える人もいるかもしれません。「今は到底大相場など来ないだろうから、株価が少し上昇したらしっかり利益確定で売っておくべき。大相場が到来したら売らずに持ち続ければよい」と。
確かに、これができれば誰も苦労しません。でも、大相場というものは、後になって振り返ってみて、「あの時は大相場だったね」と気づくものなのです。大相場の最中、特に大相場の入口の時点では、大相場かどうかはまず分かりません。
実際、2012年11月中旬から2013年5月ごろまでの大相場の恩恵にあずかれた個人投資家は多くありませんでした。多くは、株価が少し上昇したところで売ってしまい、その後買い戻す機会もなくさらなる株価上昇を指をくわえて眺めているだけだったのです。
大相場が到来する前は、確かに株価大きく伸びることがなかったので、しっかりと売却して利益確定しておくのがセオリーでした。でも、そうした投資手法をとっていた個人投資家は、大相場が来ても、いつもどおり少しの利益で売ってしまったのです。
実際、当時の専門家・評論家のコメントも、上昇スタート時の日経平均株価が9,000円弱だったにもかかわらず、「日経平均株価が10,000円を超える水準は明らかに買われすぎで近々下落に転じる」という内容のものが多かったと記憶しています。
次の「本番」ではベストパフォーマンスを発揮しよう
大相場は大きな利益を得ることができる絶好の機会ですが、そんなに頻繁に来るものではありません。2012年末~2013年前半の前は、2005年にまでさかのぼります。逆に、この機会を逃してしまうと、他の期間は利益をそれほど上げることができない期間ですから、自ずと株式投資の投資成績は低迷してしまいます。
事前の練習なしに、大相場で大きな利益を上げることはほぼ不可能だと筆者は考えています。「なんとなく買い、なんとなく売る」を繰り返しているようでは、せっかくの機会を逃してしまいます。
だから、売買のルールを決め、それを守ることができるよう、日々の売買で練習しておくことが必要です。いつものルーティンワークを淡々とこなす、その結果「いつの間にか大相場に自然と乗れている」これが理想形です。
すでに2019年に突入し、前回の大相場から6年が経過しました。次の大相場という「本番」で成果を発揮するため、今から売買のルールをしっかりと確立し、それを実行できるように練習しておきましょう。
足立 武志
足立公認会計士事務所
※本記事は、2019年2月14日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。