税務調査の直前対策…「現金実査」と「契約書」関連の確認事項

今回から、税務調査の争点となりやすいことを項目別、ケース別に紹介します。日々の経理業務で税務調査を意識した経理を行うことはもちろんですが、税務調査前の経営者・経理担当者・税理士のミーティングでも再度、確認して直前対策しましょう。本連載は「税務調査を支援する税理士の会」著、株式会社エッサム編集協力、税理士法人クオリティ・ワン代表社員・渡邊勝也税理士監修の『オーナー社長のための税務調査完全対応マニュアル』(あさ出版)から一部を抜粋し、税務調査の連絡を受けた中小企業オーナーの役に立つ対処法等を紹介します。

管理状況を確認される「現金実査」

現金がきっちり合うことが大切

 

まず、税務調査で必ず行われることとして、現金実査があります。税務調査官は、[図表1]のような表を持ってきて、現金実査をしていきます。現金実査で見られるのは、次のようなことです。

 

経営者の現金管理能力

経営者がルーズなのか、きちっとしているのかを現金の管理状況で見られます。特に飲食店等では、現金実査の結果によって心証がかなり変わります。無予告で税務調査に来ても、この現金実査がきっちり合っていると、「この会社はちゃんと管理をしているから大丈夫だ」という前提で進んでいくことが多いです。

 

管理者の確認

申告時に添付する「事業概況書」には、現金を管理する担当者が書いてあります。ここに記載された担当者と実態の管理者が合っているかどうか、整合性を確認されます。

 

簿外預金の可能性

税務調査で金庫を開けたときに、経営者個人の通帳が混在していることがあります。これらの個人通帳の中に売上の一部が入金されていたりすると、簿外預金の可能性があると判断されます。

 

計上漏れの可能性

現金の流れは必ず確認されます。①現金売上の管理(お客様から受け取った現金をどう管理しているか)、②計上時期(いつ、どう帳簿をつけているか)、③閉店後の現金の管理(お店を閉めた後、現金は社長が持って帰るのか、担当者が持って帰るのか、または貸金庫に預けるのか)、⑤銀行に入金するのは誰か、そして⑥直近の管理表と現金がきっちり合っているか、です。

 

[図表1]現金実査の目的
[図表1]現金実査の目的

 

「契約書」のチェック項目とその他の重要書類

契約書を見る税務調査官の視点

 

契約書をチェックする際の税務調査官の視点は、次のようなものです。

 

手書き・パソコン・市販のどれか……最近は、契約書はほとんどパソコンで作成することが多いでしょう。パソコンの場合、同じタイトルのファイルが複数ないか、ゴミ箱に疑わしいファイルがないかなどを確認されます。保存日も確認されます。保存日が税務調査の直前であれば、上書きして代えている可能性があると見られることがあります。

 

対価……契約書に記された対価が、会計上の金額と合っているかどうかを見られます。

 

筆跡……取引相手からもらったはずの契約書の筆跡が、自社の経理担当者のものではないかなど、仮そうされていないかどうかを見られます。

 

契約内容……給与なのか、外注なのか、売上の割戻しなのか、仕入れの割戻しなのかなどです。

 

印鑑……誰が押したものなのか。たとえば、取引相手の名前のところに、自社が持っている印鑑が押されている場合には、仮そうしている可能性があると判断されます。

 

作成者……契約書を作成したのは誰なのかです。

 

日付……直近の日付であれば、仮そうを疑われる可能性があります。

 

紙の状態……契約書に書かれた日付と紙の状態は見合っているか、などです。たとえば5年前の契約書なのに、紙が非常にきれいな状態で保存されていると、「後から作成したのではないか」と見られます。

 

印紙の貼りモレ……契約書にはきちんと印紙が貼られているか。

 

住所……後から作成した場合、当時の住所と整合性が合っていない場合もありますので、チェックされます。

 

その他の確認事項

 

その他、確認すべき契約書・書類、また証拠資料と具体的調査手法については、一覧表[図表2]を確認してください。特に問題になりやすいのは、一覧表で太字にしています。

 

たとえば、売上にかかわる契約書は「取引基本契約書」「売買契約書」「請負契約書」などで、収益の計上時期が問題になります。収益は、原則商品・サービスの提供が終わったとき、もしくは資産の引渡しをしたときです。特にBtoBで仕事をしていて、1個あたりの金額が大きい場合は、収益の計上基準を厳しく見られます。同様に、不動産や機械など、金額が大きい資産についても注意が必要です。

 

[図表2]確認すべき契約書・書類
[図表2]確認すべき契約書・書類

 

[図表3]証拠資料と具体的調査方法
[図表3]証拠資料と具体的調査方法

 

 

【税務調査を支援する税理士の会】

田中 久夫 / 加藤 元弘 / 植﨑 茂 / 藤原 重光 / 後藤 勇輝 / 岩澤 信吾 / 中山 隆太郎 /
永井 孝幸 / 前田 吉彦 / 石垣 貴久 / 笠原 伸哉 / 内芝 公輔 / 南村 博二 / 本田 将智

 

税理士法人クオリティ・ワン代表社員
税理士/税務訴訟補佐人
一般財団法人日本プロスピーカー協会
認定ベーシックプロスピーカー

「税務調査で納税者へ“安心感"と“納得感"を与える」を使命に、税務調査官よりも多く税務調査を行う“税務調査専門"税理士。立会い現場における圧倒的な「実績」と「交渉力」で、社長・経理担当者から絶大な信頼を獲得している。学生援護会(現・パーソナルキャリア)、タナベ経営などを経て、税理士法人TAXGYM(現・税理士法人クオリティ・ワン)を設立。年間100件以上という、税理士業界でもダントツの税務調査実績を誇り、その豊富な経験から使えることを実証した、安心・確実な節税提案にも定評がある。中堅・中小オーナー企業経営者や富裕層から支援依頼が殺到し、お忍びで指導を求めに来る税理士も多い。また、経営コンサルティング会社の経験を活かし日次決算のコンサルティングも行っている。

著者紹介

連載中小企業オーナーのための「税務調査」対応マニュアル

オーナー社長のための税務調査完全対応マニュアル

オーナー社長のための税務調査完全対応マニュアル

渡邊 勝也,田中 久夫,加藤 元弘,植﨑 茂,藤原 重光,後藤 勇輝,岩澤 信吾,中山 隆太郎,永井 孝幸,前田 吉彦,石垣 貴久,笠原 伸哉,内芝 公輔,南村 博二,本田 将智

あさ出版

中小・オーナー企業のための税務調査の対策本が登場。 多くの税務調査を経験してきたからこそわかる最新の税務調査の傾向と対策を完全解説します!事前準備の進め方、調査当日の注意点&ケース別の対応、税理士の活用法、国税…

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