費用対効果は無限大!? 繁盛クリニック院長の「時間管理術」

多忙なクリニックであっても、適切な時間管理によって「ゆとり」を生み出すことは可能です。繁盛クリニックの院長がどんな時間管理を行っているのか、具体的に見ていきます。※働き方改革といっても、時間がない…何から始めればいいのかわからない…忙しい開業医のために提案する、ドクターのタイムマネジメント。本連載は、医療法人社団梅華会理事長である梅岡比俊氏の著書『ドクターの“働き方改革”28メソッド: 開業医のための最強のタイムマネジメント』より一部を抜粋し、「時間」と「働き方」を最適化する方法を紹介します。

時間の可視化=やるべきことのリストアップと順位付け

時間を可視化するとは、簡単に言うと自分のやるべきことをリストアップして優先順位をつけ、常に目に入る状態にするということです。私は書き出したリストを自宅でもクリニックでも壁に貼り出し、頻繁にそれを眺めるようにしています。

 

書き出したリストを見ていると、これからしなければならないことのイメージ、全体像がつかめます。そして、そのイメージに沿って必要な目標が見えてきて、その目標を達成するためにはどれを優先して、それに対してどのくらいの時間を使えばいいのか、つまり、どのような時間割で生活すればいいのかがわかってきます。あとは、いっさいの妥協なしにその時間割で生活するよう努力しています。

 

また、つくったやるべきことのリストはスタッフにも公開することをお勧めします。なぜなら、そうすることで、そのリストを見たスタッフが、院長の忙しさに気付き、何かを感じ取ってくれるからです。

業務内容を洗い出し、権限委譲の可能性を探る

そして次は、これは院長自身にやってほしい仕事だとか、これなら私たちスタッフでもできる仕事だとか、スタッフに割り出しをしてもらうのです。梅華会のスタッフは、日々忙しそうに動き回っている私を見て、自ら進んでできそうな業務を選んで引き受けてくれています。

 

実際には、スタッフがまだ十分に育ちきっていない成長過程にあるうちは、スタッフにお願いした仕事が、結局できなくてまた戻ってくる可能性もありますが、ここは思い切ってスタッフに任せてみましょう。そして、仮にうまくいかなかった場合は、うまくいかなかった理由を本人によく考えてもらい、どうしたら次はうまくいくのかについても案を出してもらいます。

 

この行程を繰り返し行っていると、スタッフが成長し仕事が戻ってくることが減り、やがてはなくなってきます。将来的には権限委譲が可能となり、院長のやるべき仕事を減らすことに繋がっていくのです。

重要なのは「組織づくり」と「仕組みづくり」の二つ

開業したクリニックを発展させるには、院長一人が頑張るのではなく、スタッフも一緒にチーム一丸となって成長することが必要です。また、ワーク・ライフのバランスについても、院長だけの課題でなく、スタッフも含めた組織全員の課題だと思っています。そして、全員がワーク・ライフのバランスを保った生活が送れるようになるには、組織づくりと仕組みづくりの二つが大切だと思っています。

 

仕組みづくりのなかの一つである「時間管理」に関して有効なのは、何といってもシステムの導入です。システム導入にはコストがかかりますし、全スタッフが使いこなせるよう教育も必要となるなど、短期的にはデメリットが目につきますが、長期的には確実に多くの時間を生み出すことになります。

アプリの活用で効率化!…院長のおすすめ三つ

ここでは、私が使ってみて使い勝手が良いと思うソフトを三つほどご紹介します。

 

一つ目は、「チャットワーク」(ChatWork株式会社)という社内におけるSNSです。一般的に職場での連絡にはメーリングリストを使うことが多いのではないかと思います。しかし、メーリングリストの場合、組織内の様々な情報がごちゃ混ぜになって全員に時系列で流れてくるうえに、スレッドの量が多いと必要な情報が新しいものに押されて下になってしまいます。すると、本当に大事な情報を見逃したり、必要な情報を見つけるのに時間がかかる・・・という事態になりかねません。

 

それに比べてチャットワークは、1対1でやり取りすることもできれば、適宜グループを作成することもできるので、プロジェクトごとにグループを設定すれば、自分の所属しているプロジェクトの情報だけを入手することができます。このグループ分けのカスタマイズができる点がチャットワークをお勧めする大きな理由です。

 

また、このソフトでは音声や画像、動画の添付も可能で、検索機能も付いています。特に午前あるいは午後だけ勤務のパートスタッフがいるクリニックでは、一堂に会して伝達することがむずかしいと思いますので、院内情報のやり取りにはとても便利で有効だと思います。

 

二つ目は、「ジースイート(GSuite)」(グーグル)です。以前、グーグルアップスフォービジネス(Google AppsforBusiness)としてグーグルが出していた商品です。まず、第1の特長は、Gメール、グーグルドライブ、グーグルハングアウト、グーグルカレンダー、グーグルドキュメントなどの一般的によく使用されているグーグルのウェブアプリケーションが含まれているため、互換性が高く使い勝手が良いという点ですが、もう1点、ジースイート内で社内向けのホームページが簡単に作成できるという点も大きな利点だと思います。

 

私の法人では、このホームページに新しいスタッフが入職したときに見てもらう院長のメッセージや動画をアップしてあるほか、スタッフ教育に使うチェックリストなども保存してあり、見たいときに見られるようになっています。スタッフ教育用のチェックリストはグーグルではスプレッドシートと呼んでいますが、皆さんご存知のエクセルのシートのようなイメージです。そのスプレッドシートは教育するスタッフの上長が、どこまで教育できたかを項目ごとに確認できるようになっています。エクセルと違うところは、シートがクラウドのサーバー上に保存されているので、常に同期され、クラウドを共有しているパソコン、タブレット、スマホなら、いつでもどこでも見ることができる点です。

 

また、ミーティングの資料もクラウド上に保存することで、参加するメンバーに事前に確認をしておいてもらえます。すると、ミーティング中に資料を配ったり、参加者に目を通してもらったりしなくて済むので、ミーティングの時間がずいぶん短縮できます。そのほか、院内勉強会の動画、忘年会の動画、電話の対応マニュアル、身だしなみマニュアルなどは、新しく入ったスタッフがいつでも見られるように保存されています。私のクリニックは、ほとんどすべての業務をマニュアル化しているのですが、およそ300ページにも及ぶ大作となっています。このマニュアルもジースイート上に保存することで、検索機能を使って必要な時に必要なページが瞬時に引き出せるようになっており、時間管理に大いに役立っていると思います。

 

さらに、グーグルカレンダーも私のスケジューリングに使い、秘書や幹部に公開しています。このカレンダーの便利な点は、告知する対象を選択できることです。このカレンダーに私が記入することで、電話やメールでお互いのスケジュールを調整する手間が省けます。

 

このほか、私がいいなぁと思っている三つ目のソフトに「ジョートー(Jooto)」(株式会社PR TIMES)があります。タスク管理のためのソフトで、そのタスクをいつまでに誰が責任をもって実行するのか、その進捗状況はどうなのかを色分けして見やすいかたちでメンバーが共有できるというものです。このソフトのおかげで、スタッフの誰かが行うはずの業務が仮に忘れられてしまったとしても、みんなで確認し注意し合えるし、院長である私も進捗状況が把握できるので業務のし残しがなくなります。

 

いずれにしても、このようなソフトを利用するには費用が発生します。しかし、大事な時間の価値を考えれば、その費用対効果には計り知れないものを感じます。これも一つの先行投資と考えます。

 

 

梅岡 比俊

医療法人梅華会 理事長

医療法人梅華会 理事長
医師
開業医コミュニティ(M.A.F主宰)

兵庫県芦屋市出身。奈良県立医科大学を卒業後、勤務医を経て2008年に兵庫県西宮市に梅岡耳鼻咽喉科クリニックを開設。その後耳鼻咽喉科クリニック分院や小児科クリニックを開設し2019年現在、合計8つのクリニックを経営。2016年に開業医がより良いクリニック運営を行うための学びの場としてM.A.F(医療活性化連盟)を発足する。

著者紹介

連載クリニック運営を成功に導く、開業医のための最強のタイムマネジメント

ドクターの“働き方改革”28メソッド:開業医のための最強のタイムマネジメント

ドクターの“働き方改革”28メソッド:開業医のための最強のタイムマネジメント

梅岡 比俊

医学通信社

「仕事、仕事で1年365日疲れ果てている・・・」 「日々の仕事をこなすためだけに時間を使い果たし、自分のために使う時間、家族との時間はほとんど残っていない・・・」 「医師には患者を救う使命があるが、自らが心身ともに…

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