なぜ今「海外永住権の取得」を狙う人が増えているのか?

国力の低下、自然災害のリスク…。現在の日本に暮らす人たちのなかに、生産的で快適な仕事環境の取得と、地政学的リスクの分散の観点から、海外永住権の取得を考える人が増えています。本連載は、海外オフショアによる制作サービスや、ベンチャー企業投資等の複数のビジネスを展開する、坂元康宏氏・坂野広通氏が、「デュアルライフ」のメリットと、その実現法をレクチャーします。

仕事の上のメリット、快適な暮らし、健康増進…

永住権の獲得は、これまで海外での就労者や留学生、あるいはリタイア後の暮らしを目指す人々の目標でした。いずれにしろ限られた海外移住希望者が望む対象でした。

 

しかし最近では、新しい市場を求め、ビジネス展開の拠点確保といった目的も生まれています。また多様な文化、風土での自由な暮らし、ノマドライフへの志向も目立ち始めています。

 

このような積極的な海外永住権の活用には、仕事の上でのメリット、暮らしの快適さ、健康増進の効果などが大切なポイントとなります。

日本の人口は2008年以降ピークアウト

日本の人口は2008年の1億2808万人(総務省統計局調べ)以降ピークアウトしています。この人口減に伴い、今後はほとんどの産業分野において市場の縮小は避けられません。そのために、将来の人口増、市場拡大が望めるアジアを主体とした発展途上国が、新たなビジネス市場として注目されています。

 

これらの国において就労ビザで働く人も増えていますが、勤務先との契約が切れれば居住が不可能、いわゆる「不法滞在」の状態になります。自由に仕事を選び起業するには、公的権利以外はその国の人々と同じようにビジネス展開が可能になる永住権の獲得が目標になります。

 

また日本とアジアなどの各国と結んでビジネス展開をするためには、居住地として交通の便が良いことも必要条件です。出入国が容易で利便性の高いハブ空港を持つ国が、永住権獲得の対象として適した国となります。

今後の日本は、さらに税負担増大の可能性も…

将来の仕事や暮らしの設計を考えるとき、永住権の大きなメリット、目標は、日本の重い税金からの解放です。

 

日本の所得税は最高税率45%で、住民税も加えると55%になります。先進国では高いランクとは言えませんが、国民所得に対する租税負担と社会保障負担の合計比率、いわゆる国民負担率は42.5%(平成30年度)です。今後の人口減少の中での高齢者増加を考えると、この負担率は大きく増加していくはずです。

 

所得税の最高税率だけを比較しても、タイが37%、フィリピン32%、インドネシア30%。マレーシア24%、シンガポールは20%、香港17%です。これらの国々は譲渡税も非課税、あるいは日本に比べて低率です。株など投資事業には恵まれた環境です。

 

そして一番大きな差が出るのが相続税です。

 

日本は最高税率が55%と世界的に見ても相続税が高い国です。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを見ても最高税率は30~40%です。さらにカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、その他のアジア各国ではそもそも相続税がない、もしくは相続税が廃止されています。

 

これらの税金の少なさは、これからの生活設計に大きな違い、メリットをもたらします。

 

所得税や法人税を納税し、残った財産に課税されるのが相続税です。相続税率の高さは「取れるところから取る」という政府、税務当局の姿勢が表れているように思えます。

 

また、国内では「高所得の会社員増税」という新税制が2020年1月から適用されることになりました。

 

私も数年前までサラリーマンをしていて、それなりの給与を得てはいましたが、税金が非常に高いと感じていました。記事などを見てみると、一定以上の収入がある者に対しては控除額がありますが、その控除額を低減するという改正です。年収が1000万円の人を例に挙げると、年に10万円程度負担が増えます。

 

私のように自営業や会社経営者などの場合であれば、節税対策を講じる手だてがありますが、一般的なサラリーマンの場合そうしたことができず、基本的には支給された給料からいや応なしに税金が差し引かれるというシステムになっています。

 

国からしてみればサラリーマンからは税金を微収しやすいので、この税金を上げていこうということです。安倍政権は「働き方の多様化に対する柔軟な対応だ」という言い方をしていますが、私はこれを詭弁だと思っています。要するに徴収できるところから取るということで、サラリーマンたちの労働意欲が低下してしまうのではないかと危惧しています。

 

他にも税に関する問題として、海外に資産を持っている方に対する徴税の強化があります。具体的に言いますと、2015年に始まった「国外財産調書」です。一人当たり5000万円以上の資産を海外に持っている人は、国外財産調書を提出することが義務付けられました。しかし、実際には提出する人が非常に少ない状態のため、金融庁や国税局が取り締まりの強化に着手し、対象となると考えられる人に対しては税務署から「お尋ね」という書類が送られるようになりました。

 

それに関連して、「海外口座の多国間情報交換制度」というものが日本では2018年9月から開始されました。簡単に言うと、非居住者、例えば日本に住んでいる人がニュージーランドで口座を作ったという場合、日本に住んでいるのでニュージーランドから見ると非居住者ということになりますが、その人たちの情報(口座情報、名前、住所、マイナンバー、口座残高、入出金、ニュージーランドにお金を預けているなら利息でいくら稼いでいるのか)を国が自動的に入手できるという制度です。この制度により、今までは支払い義務を知らなかった、あるいは納税していなかった人は税務署から書類や連絡が来て納税をすることになります。

 

こういった高い税率や、厳しい所得捕捉、さらなる増税リスクに鑑みるに、日本を脱出して、海外に移住するという選択肢も考えられます。

東南アジア各国の利点は「物価の低さ」

租税負担の軽減について、多くを語ってきましたが、海外移住、そこからの永住権獲得で狙う大きな目標のもう一つは、やはり生活費の安さと気候の良さです。

 

著書、『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』が主要ターゲットとする東南アジア各国の利点は、まずその物価の低さにあります。

 

シンガポールだけは日本より物価が高く、フィリピン、マレーシア、タイなど東南アジア諸国はおおむね日本よりかなり低価格で食料、生活用品が手に入ります。住宅費なども加えた生活費は日本の半分以下といわれています。

 

無論、各国の給与、報酬レベルもそれに対応して少額ですが、それゆえに日本から移住すればヘルパーやお手伝いを雇用することも可能になります。

 

「一年中夏のような気候」というのが東南アジアのイメージです。熱帯雨林、熱帯モンスーン地域で、年間平均気温は内陸部を除き摂氏25度以上です。昼間はきつい日差しが照り付けます。しかし夜になれば日本の熱帯夜のように湿度が高くて寝苦しいということはなく、比較的涼しくてエアコンも不要なところが大半です。

 

また雨季と乾季があり、雨季には特有の雷雨、スコールに見舞われます。ただし長時間続くことはなく、大方は雨宿りして雨が上がるのを待ちます。

 

気温の変化が少ないので、衣服も、夏物と冬物の用意が必要な日本とは異なり、仕事とプライベートの区別を考える程度で、これも気楽です。

 

そして気温変化の少なさは、体調管理をしやすくします。呼吸器疾患、関節の痛みなどを抱える人々が東南アジアでの居住を希望するケースも多く見られます。

 

また花粉症は、そもそも東南アジアではスギやヒノキが育たないために症状が出ません。その他の要因による花粉症もありますが、現地に行くと症状が治まるという日本人が大半です。

 

 

坂野 広通
Hallohallo Inc. Executive Management Group
Director


坂元 康宏
株式会社myコンサルティング
代表取締役

 

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株式会社myコンサルティング 代表取締役

1972年生まれ。埼玉大学教養学部教養学科卒。内装施工会社の本社経理勤務を経て大手投資顧問会社の役員を歴任、2014年4月に独立。日本をベースとして、韓国、ニュージーランド、モンゴル、フィリピンなどでビジネスを展開している。韓国国内外の有望なベンチャー企業に投融資を行なう韓国法人をビジネスパートナーと共同で設立。IPO及びICO案件の発掘、デューデリジェンスを手掛ける。資産家、企業経営者、サラリーマン、主婦に至るまで幅広い層の顧客を持っており、投資顧問会社の役員時代に培った豊富な経験を生かし、お客様一人ひとりのニーズを徹底的に追求したコンサルティングには定評がある。将来の夢は、「自分が関わる企業や人を通じて、ICOまたはIPOを実現し、雇用の創出をすること」である。

著者紹介

Hallohallo Inc. Executive Management Group Director

1973年、福井県生まれ。関西にて20余年ウェブサイト・カタログ・POPなどの商業広告デザインの企画・ディレクションに従事し、多岐にわたる業種案件と事業に携わる。2005年より海外オフショアによる制作サービスを開始、2008年からビジネスの拠点を上海からフィリピンに移す。
現在はフィリピン最大級のウェブコンテンツホルダーに成長し、Hallohallo Inc.(ハロハロ)が展開する様々な事業に関与し、フィリピン特別永住権APRVを取得して、日本とフィリピンを行き来しながら日本との架け橋となるようフィリピンでの事業展開に心血を注いでいる。
ハロハロアライアンス企業としてデザイン制作部門を担う株式会社サーカスのCEOも務める。

著者紹介

連載日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ

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