「入居者のクレーム対応」はオーナーの重要な仕事
「将来の年金不安」「増えない賃金」「銀行の低金利」などから、不動産投資へ関心を持つ人が増えています。しかし、いざ不動産投資を行うと決心しても、いろいろと不安を感じることが多く、最初の一歩が踏み出せない人も少なくありません。不動産投資に対する不安は、「本当に入居者が見つかるのか」「物件は値下がりしないのか」「地震などの災害で倒壊しないか」など、さまざまなものがあります。
そうしたなかのひとつに「入居者の人からクレームがつけられたらどうしよう」という不安があります。入居者からのクレームは、オーナーとして経験を積んでいくうちに対処方法が身につきますが、初めのうちは、そう簡単に割り切れないでしょう。そこで、今回は不動産投資の際に入居者からのクレームに対して、どのように向き合えばよいのかを考えてみます。
他の金融商品との違いのひとつは入居者対応
不動産投資は株式や投資信託などの金融商品と大きく異なる特徴があります。たとえば、株式投資の場合、一般的な個人投資家が、投資先企業の経営に対して大きな影響を与えることはありません。しかし、自らが物件オーナーとなる不動産投資の場合、すべての意思決定が自分にゆだねられることになります。責任が大きくなる代わりに、裁量も大きくなるのです。
不動産投資は「投資」と呼ばれていますが、実際には入居を希望する方々に住居を提供する事業経営と捉えたほうが適切でしょう。そのため、オーナーは不動産会社など外部の専門家の力も借りながら、自らの責任で入居者募集やクレームも含めた入居者からの要望に対応しなければなりません。このことは、金融商品への投資と比較すると、確かに面倒かもしれません。
しかし、自らの企画力や思考力、行動力で運用成果が変わるというのは、同時にやりがいももたらしてくれるでしょう。クレームや要望への対応は面倒な面もありますが、適切に対応をすることで、入居者の長期入居につながり、経営を安定させてくれます。
「クレーム対応力」は不動産経営の鍵となる
ありがちなクレームと対応方法
建物や設備に関したトラブルの連絡は多い傾向といえます。たとえば、水漏れ、エアコン・給湯器などの設備の故障です。こうしたトラブルが発生すると、入居者の満足度を著しく下げてしまうので、即時に対応しなければなりません。専門業者を呼んで、故障や破損の発生箇所を特定し、その修理と原因追及を行います。
故障などの原因が老朽化などによる場合は、オーナー負担での修理になりますが、施設賠償責任保険に加入していれば、保険で対応することが可能です。また、その他にも意外と多いトラブルが、住民同士のもめごとです。特に多いのが騒音。騒音は大きく分けて2つです。「上の部屋の足音などがうるさい」という場合と、「隣室からの生活音や騒ぎ声などがうるさい」という場合です。
いずれにしても、騒音の程度や原因を把握することが大切です。最終的には、当事者同士が納得できるような仲立ちを行うことになります。また、建物の構造的に音漏れがひどい場合は、入居者退室などのタイミングで防音シートを設置するなど、対策を検討したほうがよいかもしれません。
クレームを出さないことより適切な対応に注力を
不動産投資の経験がない人は、「クレームが発生したらどうしよう」と悩まれるかもしれませんが、あまり深刻に捉える必要はありません。なぜなら、人間が生活している以上、何かしらのトラブルは必ず発生し、クレームや要望をなくすことは、永遠にできないからです。クレームが発生しないように気を配ることも大事ですが、発生時に適切な対応ができるかどうかが、より大切といえます。
最悪なのは、クレームを放置することです。特に設備トラブルに関するクレームは、一刻を争うような場合が多いため、すぐに対応しなければなりません。もちろん、オーナー自身が24時間365日対応をすることはできませんから、きちんと対応してくれる管理会社を選定、協力して、早急なクレーム処理対応ができる体制を築くことが重要になります。