実質GDPの成長率は2四半期ぶりのプラス成長だが…
今回は2月14日に発表された2018年(平成30年)10-12月期GDP速報値(1次速報値)をご紹介しながら、肌感覚としての実感を共有し、検証しながら自身の会社経営に活かしてください。
実質GDPの成長率は0.3%(年率1.4%)で2四半期ぶりのプラス成長となったとしています。ちなみに前四半期の7-9月期は災害等(※西日本豪雨等)の影響が大きいとして-0.7%となっています。何が要因で増減しているかと言えば、民間最終消費の増減が大きく影響しています。
会社や個人がお金を使い、また一方で、需要があると考え、会社がモノを生産する量を増やす状態です。昨年を振り返ってみて、皆さんの実感が如何なものでしょうか。残念ながら私や私の周りの中小零細企業の経営者からはGDPの数値の増減を実感できているという人はいませんでした。「デフレ脱却? アベノミクスの成果? 企業業績過去最高? 景気回復?」と疑問の声が経営者の多数の感想です。
そこに勤務する社員も「賃金上昇? 過去最高ボーナス?」と疑問の声が多数で、中には「メディアでそう報道されているし、人手不足とも報道されているから、自分の勤務している会社以外は、きっと好待遇、高給与に違いない」と考え、転職を検討する人もいるようです。
人手不足は働く人の「人数」ではなく「質」の問題か?
「自分の能力を上げて今の会社で実績を出す」という本質的なことを忘れ、他に依存し、待遇アップを期待して転職を繰り返すなどという人も増えています。実はこれが、人手不足や有効求人倍率1.6倍の大きな要因になっていると私は思っています。つまりは定着率の減少です。
働く「人数」の問題が本質ではなく、働く人の「質」の問題ということです。今いる場所で成果が出せないまま、次の環境に移っても結果を出すことは難しいのではないかと思うのです。青い鳥を求めて他に頼りさまよっていても、自分自身に原因があると気づかなければ、幸せは訪れません。どこでも成果が出せる能力があれば、逆にその会社に留まる必要もありませんが、そのような人は極々一部ではないでしょうか。
また、中小零細企業の経営者や、そこに勤める従業員にまで(国内の99%がこの範疇にいます)景気回復の実感が得られるまでは時間がかかるという人がいますが、重長厚大産業や物流インフラ整備が全盛期の時代ではそうであっても、今の社会・産業構造ではそうはなりません。
時間の問題ではないのです。光陰矢のごとく目まぐるしく社会や産業構造が変化する今の時代は、政策で規制を強化したり緩和したりすることよりも、みんなに自由な生き方を選択できるようにすべきなのだと思います。
以下に、GNI(国民総所得)の資料を示してみます。やはり実感とやはり乖離してしまうのは私だけではないでしょう。
[1]GNI(国民総所得)の動向
2018年10-12月期の実質GNI成長率は、季節調整済前期比で 0.3%(年率1.3%)と 2四半期ぶりのプラスとなった[※1]。海外からの実質純所得(寄与度0.1%)がプラス寄与となった一方、交易利得(寄与度▲0.1%)がマイナス寄与となった。名目GNI成長率については、季節調整済前期比で 0.4%(年率1.5%)と 2 四半期ぶりのプラスとなった[※2]。2018年の実質GNI成長率は、前年比 0.0%となった。海外からの実質純所得(寄与度▲0.0%)は概ね横ばいの寄与となった一方、交易利得(寄与度▲0.6%)はマイナス寄与となった。名目GNI成長率は、前年比 0.6%となった。海外からの純所得(寄与度 0.0%)は概ね横ばいの寄与となった。
[2]雇用者報酬の動向
2018年10-12月期の名目雇用者報酬は、前年同期比で 3.2%増、季節調整済前期比で 0.7%増となった。前年同期比については、雇用者数、一人当たり賃金がともに増加に寄与したとみられる。実質雇用者報酬については、前年同期比では 2.5%増、季節調整済前期比では 0.7%増となった[※3]。2018年としては、名目雇用者報酬は前年比3.1%増と6年連続の増加となった。実質雇用者報酬は前年比2.3%増と4年連続の増加となった。