本連載は、資金繰り表を活用した経営管理の普及を目指す、株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントの大森雅美氏が、経営者が知っておくべき会社の数字や統計データの読み方を解説します。※本記事は、大森雅美氏のブログ『銀行から融資を受ける前に』に2019年7月26日に掲載されたコラムから抜粋・再編集したものです。

儲かる会社と儲からない会社の「格差」が拡大

景気を読み解き、自分の事業や生活に活かす、という時に各省庁の公表データを調べる時間を持つのも難しいものです。この記事は、日々のビジネスシーンで交わされる「景気はどうなの?」という鉄板の雑談に貢献できるよう、GDPと人口統計資料をもとに情報を発信しています。

 

省庁データの公表指数は、数年前の数値から、数ヵ月前の数値が多いです。GDPと人口統計は集計期間と発表が早いですし、日本の状況と将来を推測する基礎数値として有効的といえるでしょう。筆者は、この2つの指標を、自分とクライアントが今どう動けばいいのかを考える指針の柱にしています。

 

令和元年7月1日現在、概算値人口1億2,622万人、前年同月比▲31万人。15~64歳人口が前年同月比▲50万人。65歳以上が前年同月比38万5千人増。GDP総額は約540兆円で、その推移は実質成長率で2016年度が0.9%、2017年度1.9%、2018年度0.7%です。GDPの成長が1~2%というなかで、働く年齢の人口が減少、貯蓄と社会保障に頼る年齢の人口が増大しているのです。

 

ちょっと古い資料ですが、財務省発表の年次別法人企業統計調査(平成30年9月3日公表)のグラフが視覚的にわかりやすいです。経常利益は右肩上がりでリーマンショック後は急成長したといっていいでしょう。ここでさらに推察できるのが、格差の拡大です。

 

GDP総量があまり変わらない、企業・事業者数が減少しているなかで、経常利益が平均値で右肩上がりということは、儲かる会社と儲からない会社の格差が広がっているからでしょう。個人においても企業においても、格差が広がっているなかで、自分自身の事業や生活を守り、豊かにしていかなければなりません。

 

それには、まずは自分自身のビジネスモデルを再確認して、キャッシュフローを真の意味でプラスにしていくにはどうすべきかを考えることが求められるでしょう。「真の意味」というのは、実際の現預金を前年同月比、前月比で純増させていくという意味です。

 

悲観して嘆いても、不安を自身と周りに増大させても、現状の改善はできません。今できることを最大限やり、ピンチが来てもチャンスに変える視点と思考をもって行動するしかないのです。

参院選の結果、民意は「現政権支持」とされるが…

これから、働き方改革が進むとともに、「起業」が増えていくことでしょう。サラリーマンの勤務形態が変わる、副業が増える。それを見越してレンタルスペースも増加しています。既存企業が新事業を立ち上げ、再チャレンジする資金をミニマムに積算できる環境になっているともいえます。

 

しかし、多くの中小・零細企業の方の肌感覚では、景気が悪いと感じています。現状を憂い、未来に希望を持ちたいから、政策で変えられるところは変えて欲しいと願っています。

 

今回の参議院選挙では、投票率が50%以下にも関わらず、全国民の民意は、現政権支持している、と声高に謳われ、実際に過去最高の景気拡大を成し遂げています。それを国民に理解してもらっているのだ、といわんばかりですが、人々の実感としてどうなのでしょうか。

 

最後に景気動向指数を見てみましょう。基調判断は下止まりを示しています。消費税増税の前にある基調判断としては、「今上げるべきではない」と官僚もわかっているとしか考えられません。一人一人にできるのは、「自分の今」を最大限好転させる行動を実際にとることです。

 

[図表]内閣府景気動向指数 令和元(2019)年5月分(速報)より抜粋
[図表]内閣府景気動向指数 令和元(2019)年5月分(速報)より抜粋

 

 

大森 雅美

株式会社アセットアシストコンサルタント

 

CEO兼統括コンサルタント

 

 

本連載は、株式会社アセットアシストコンサルタントCEO兼統括コンサルタントの大森雅美氏のブログを抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://masami-omori.com/column/

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