クリニックを理解させる「院長ブログ」は集患に有効
現在のクリニックは、ホームページの開設は当たり前、そのような時代に多くのクリニックの中から患者さんに選択してもらうためは、ブログが非常に有効なツールだと考えます。
とはいえ、他のクリニックがやっているから自分のクリニックでもやってみようかな・・・程度のものであれば、患者さんに選択してもらうために有効とは言えません。ただ何となく書くのではなく、目的・・・何のためにブログをするのかをしっかり考えておくことが不可欠です。
私はブログはクリニックのブランドづくりの一つだと思います。ブランドの語源はマーキング、馬につける刻印のことです。この馬は誰の馬であるかを示した刻印がブランドの起源であり、そのオーナーのイメージです。
つまり、ブランドとは、ロゴマークのような視覚的イメージであれ、テーマソングのように聴覚的イメージであれ、その刺激から誰でも反射的にある固有の物が連想できるようなものでなくてはならないと思います。例えば、「スカッと爽やか」とか「Just do it」と聞いたら皆さんは何をイメージされるでしょうか? それがブランド、このようなブランドイメージをつくることがブログの目的であると私は思っているのです。
では、具体的にどのようなブログにしたらブランドイメージとなるのでしょう。私のクリニックでは、現在のクリニックのビジョンを明確に示すことと合わせて、患者さんやクリニックへの就職を希望する方々に私のクリニックのスタッフが生き生きと楽しそうに働く姿を見ていただいて共感していただきたいと思っています。
つまり、ブログの目的は多くの患者さんに来ていただくこととリクルート、良い人材に入職していただくことです。患者さんと採用する人材、どちらもクリニックのブランドに大きく関わっていると思うのです。また、ブログを書き続けることで書いた人のアウトプット力の向上に役立っていますが、それはあくまで副次的なものであり、ブログの目的はあくまで集客とリクルートです。
私のクリニックのブログは院長ブログとスタッフブログの2種類あるのですが、院長ブログは主に集客が目的です。Googleアナリティクスで解析を行うと、多くの皆さんに見ていただいていることが分かります。それは、患者さんはこのクリニックの院長がどういう人間か、どういう想いでクリニックを運営しているのか、またどんな日々を送っている人なのか・・・などという院長の人間性にとても興味を持っていることに他ならないと思うのです。
私も地域に大好きでよく行くイタリアンのお店があるのですが、最初は、そのレストランのシェフのブログを見て、彼の料理に対する想いやイタリア料理に対する考え方にシンパシーを感じて食事に行き、その料理のファンになって行きつけの店になりました。
クリニックだってこれと同じ、どんな人だか想像できない院長がやっているクリニックより、治療に対する考え方や人物像の分かった院長がやっているクリニックへ行こうと思うのが患者さんの心理なのではないでしょうか。この院長ブログは皆さんもどんな感じかイメージできると思いますし、その気にさえなれば開業後すぐにでも開始できると思いますので、是非始めてみてください。
人材のマッチングに力を発揮する「スタッフブログ」
次にリクルート対策として挑戦してほしいのがスタッフのブログです。患者さんに見てもらってスタッフを身近に感じていただくのも一つの目的ですが、なんと言ってもクリニックに相応しい人材採用に繋がると思っています。
クリニックにはどんな業務があるのか、そこで働くスタッフはどのような日常を過ごしているのか、どんな想いで仕事をしているのか、日常の業務以外に特別なイベントなどがあるのか・・・などは、これから就職を考えている方々にとってはとても興味があり参考になると思います。
私のクリニックのスタッフブログはあくまで各スタッフが自然体で思ったままを自由に書くスタイルです。ですから、クリニックの日の仕事内容を見て厳しいそうだ、つらそうだと思ったり、イベントが多すぎると感じたり・・・そういう理由で就職を敬遠される方もいるかもしれません。しかし、私は、これも一つの篩(ふるい)と考えています。仕事の厳しさを敬遠したり、チームの一員としてイベントに参加するのを好まない人材は私のクリニックでは求めていません。
雇用する側とされる側のベストマッチングのためにも、クリニックとって良質な就職希望者の母集団を形成するためにも、スタッフブログが篩となって、スタッフ採用に貢献していると思っています。
そして、スタッフが生き生きと楽しく働いて、明るくポジティブな雰囲気が患者さんに伝わるのが私のクリニックの特長と思っていますので、スタッフブログがクリニックのファン患者さんづくりに一役かっていることとも実感しています。
以上のように集客とリクルートの目的を持つブログですが、気を付けてほしいのが、あまり広告臭が強くならないようにしなければならないことです。人間は強い売り込みには引いてしまう傾向があると思うので、クリニックの日常を自然体で伝える中に、クリニックの想いをさりげなく織り込んでいくくらいがちょうどいいと思います。
なお、このブログですが、クリニックのホームページのページ数を増やして、SEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション:検索順位を上げること)を強化することにも役立ちます。そのためには、アメブロなどの外部のブログではなくて、クリニックのホームページにバナーを貼って連動して掲載する方法をとることをお勧めします。
いずれにしてもブログは、はじめて1か月や2か月で効果が表れるものではありません。継続は力なり・・・広告になるだけでなくクリニックの一つの大きな資産になるとも考えています。
なぜなら、過去のブログを繰ることによってクリニックの歴史を知ることができるのです。後々入ってくるスタッフにクリニックの文化や風土を伝える一つのツールとしても活用できるでしょう。継続するためには最初から大きな風呂敷を広げると失敗します。小さく始めて徐々に大きくしていくという方向性をもって地道にやることをお勧めします。
梅岡 比俊
医療法人梅華会 理事長