繁盛クリニックの院長が「スタッフとの一体感」を重視する理由

今回は、クリニックの院長とスタッフ間における経営理念の共有や、スタッフのサービス精神の育成が重要な理由を見ていきます。※近年、独立開業を目指す医師が増加しています。しかし競争は熾烈であり、医師としての腕だけでは勝ち残ることができません。本連載は、医療法人梅華会理事長で、兵庫県を中心に複数のクリニックを経営する梅岡比俊医師の『クリニック開業ロケットスタート戦略 開業3年でその後の開業医人生が決まる』(中外医学社)から一部を抜粋・再編集し、クリニックの開業と安定的な運営のテクニックを紹介します。

ミーティングは、意見の「収束」と「発散」の場

私は、クリニックの順調な運営には自分が理念を持って、働くスタッフと共有することが最重要と思っていますが、そのためには入職時に理念教育をするだけでなく、継続して理念を伝えるさまざまな場を設定する必要があると思っています。そして、その場その場でやり方を使い分ける必要もあると思っています。

 

まず、一般的にもよく行われるミーティングですが、例えば、全体ミーティング、部署ごとのミーティング、幹部によるミーティング・・・というように、小規模のクリニックでも何種類かのミーティングがあるかと思います。

 

私のクリニックにおけるミーティングの位置づけは大きく2つ、1つは私が発すべき内容をメッセージとして伝えると同時にそれに対する意見をスタッフ全員が発する「収束」の場、もう1つは、スタッフからのさまざまな意見を広く集めて皆で話し合う「発散」の場です。ですから、私の一方的な報告や通知は、あくまで文書やメール、院内SNSで発信し、ミーティングでは行いません。

 

ミーティングは「収束」と「発散」なので、私はミーティングではそこを強く意識して話すようにし、言葉の抑揚、伝えたい言葉の強調などに注意を払っています。また、伝える内容を常に現在のクリニックの目的や目標と擦り合わせ、逸脱しない考えを伝えるよう心がけています。トップである私の想いや考えの軸がぶれてしまえば、スタッフに伝わらないばかりか。スタッフは何をどうすればいいのか分からなくなり、現場に混乱が生じるかもしれないからです。あくまでスタッフの行動の基準はクリニックの理念であり、トップの場当たり的な考えではないのです。

 

クリニックの理念を伝え続けることで、理念に沿ってスタッフ自身が考えて主体的に行動でき、たとえ私が不在の時でも支障が出ないクリニックになると考えます。逆に、クリニックの理念に沿って主体的に動けるスタッフが居れば、院長である私は代診を頼んで安心して外へ学びに出掛けられるというわけです。

スタッフ全体にクリニックの将来像を伝え、共有する

院長の想いを伝える場の2つ目として、毎月の給料日に行っている取り組みがあります。それは、これから2~3か月の短期的な計画や、現在のクリニックの動向やお知らせ、トピックなどを600字くらいの文章にまとめて院内のSNSで発信することです。そこには最低限の経済的数字、例えばレセプトの枚数、新患患者の推移などを入れて、スタッフ全員にクリニックの経営状況を把握してもらうようにしています。それプラス、その時その時に伝えたい私の想いを書いています。

 

3つ目はその名も「理事長の想いを伝える会」で、毎年6月に1回行っています。この会のために作成する資料には、法人の中期的事業計画を発表し、これからクリニックとしてどのような運営をしていくのかをスタッフに伝えています。

 

例えば、『クリニック開業ロケットスタート戦略 開業3年でその後の開業医人生が決まる』を執筆していた2016年当時、7年後の2023年には法人全体で20院を展開するという構想を発表しました。そして、そのためには、スタッフとしてどのような人材が必要で、その教育はどのようなものか、また、そのための仕組みはどのようにすればいいのか、そして、それには今どのような準備が必要か・・・と細かいことまで書いています。つまり、これからクリニックがどのような道を進んでいかなければならないのかを分かりやすく伝えることが大事だと思っています。

 

院長は経営者です。最優先して行うべき仕事は、クリニックの将来を考えることです。将来のクリニック像を示すとともに、今後どういったことに挑戦していくのか、どういうクリニックづくりを行うのか・・・などをスタッフに伝えることで、これからの院長の取り組み、行動に対する理解を深めてもらえると思います。

 

また、中期的事業計画とともに、毎年、繰り返し繰り返し伝えていることは、クリニックのミッション・ビジョン・バリューです。根本的な内容は不変のものですが、伝え方や切り口を変えて伝えることで、スタッフへの理念の浸透をさらに深めたい、スタッフのベクトルの方向を統一したいとの想いがあります。

 

毎年の積み重ねが効を奏しているのか、最近では、スタッフが成長して、スタッフ自身がクリニックの理念に対して、自分はどう考えて、どう行動していくかを他のスタッフに伝えることができるようになってきました。私が意図して切り口を変えて伝えなくても、自然に切り口を変えた伝え方が発生し、さらに理念が浸透するという好循環が起こっていると感じます。

一流ホテルでの食事会には、サービス精神を養う狙いも

4つ目の院長の想いを伝える場は「感謝祭」と銘打って行う忘年会です。スタッフ全員への感謝の場として、毎年、ザ・リッツ・カールトン大阪で開催しています。感謝の気持ちとして非日常の贅沢な食事を楽しんでもらうということも少しはありますが、一番の狙いは、カールトンの一流のサービスをスタッフに経験してもらうことで、それに匹敵する精神を養ってもらうとことです。なぜなら、私たちが患者さんに提供しているのは医療というサービスだからです。

 

また、感謝祭は次年度に向かってのマインドセットとして、全スタッフが一堂に会し、和気あいあいと楽しみ、チームとしての統率力を高める場とも位置付けています。そして、スタッフ全員への深い敬意を示すとともに、スタッフ全員の存在を承認するための表彰を行っています。スタッフが持つ長所を認めて、さらに育ってほしいと願っているので、一人ひとりに相応しい表彰状を全員に授与しているのです。

 

 

梅岡 比俊
医療法人梅華会 理事長

医療法人梅華会 理事長
医師
開業医コミュニティ(M.A.F主宰)

兵庫県芦屋市出身。奈良県立医科大学を卒業後、勤務医を経て2008年に兵庫県西宮市に梅岡耳鼻咽喉科クリニックを開設。その後耳鼻咽喉科クリニック分院や小児科クリニックを開設し2019年現在、合計8つのクリニックを経営。2016年に開業医がより良いクリニック運営を行うための学びの場としてM.A.F(医療活性化連盟)を発足する。

著者紹介

連載開院3年が勝負!クリニック経営を成功に導く「ロケットスタート」戦略

クリニック開業ロケットスタート戦略 開業3年でその後の開業医人生が決まる

クリニック開業ロケットスタート戦略 開業3年でその後の開業医人生が決まる

梅岡 比俊

中外医学社

さまざまなことが安定化、習慣化してくる開業3年前後の時期こそ進化のチャンス! 確かな経営マインドを身に着け、ロケットスタートで他院に差をつけるためのノウハウを『経営学を学んでいないドクターのための クリニック成…

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