米国雇用統計、低水準の要因は悪天候…雇用市場の基調は維持

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米雇用統計の公表で最初に報道され、注目される傾向がある非農業部門雇用者数が前月比わずか2万人となったことで、当初、景気減速懸念が市場で台頭しました。しかし、低水準の失業率や市場予想を上回った平均時給で市場は落ち着きを取り戻す展開となりました。雇用者数の減少は主に天候要因が背景で、雇用市場の基調は維持されていると見られます。

米国2月雇用統計:非農業部門雇用者数は前月比2万人増と17年9月に並ぶ低水準

米労働省が2019年3月8日に発表した2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比2万人増と、市場予想(18万人増)、前月(31万1000人増と速報値30万4000人増から上方修正)を下回り、17年9月(1万8000人)以来の低水準となりました(図表1参照)。

 

[図表1]米非農業部門雇用者数とU6失業率の推移

月次、2014年2月~2019年2月、非農業部門雇用者数は前月比 ※U6失業率:通常の失業者に経済的理由によるパートタイム等も含め算出 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、2014年2月~2019年2月、非農業部門雇用者数は前月比
※U6失業率:通常の失業者に経済的理由によるパートタイム等も含め算出
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

家計調査に基づく失業率は3.8%と、市場予想(3.9%)、前月(4.0%)を下回り、約50年ぶりの低水準に接近しました。平均時給は前年同月比で3.4%増と、市場予想(3.3%増)、前月(3.1%増)を上回りました。

どこに注目すべきか:雇用者数、U6失業率、悪天候、政府機関閉鎖

米雇用統計の公表で最初に報道され、注目される傾向がある非農業部門雇用者数が前月比わずか2万人増となったことで、当初、景気減速懸念が市場で台頭しました。しかし、低水準の失業率や市場予想を上回った平均時給で市場は落ち着きを取り戻す展開となりました。雇用者数の減少は主に天候要因が背景で、雇用市場の基調は維持されていると見られます。

 

 

今回の雇用統計の注意点は以下の通りです。

 

まず、雇用者数が大幅に市場予想を下回った背景に、悪天候が影響したと見られる点です。例えば、雇用者数の変動をセクター別に見ると建設や娯楽・レジャーなど天候の変動に雇用者数が左右されやすいセクターで雇用者が軒並み大幅減となっています(図表2参照)。米国は1月の気候が温暖で雇用者が伸びたと見られる一方、2月は悪天候続きであったことが影響したと見られます。

 

[図表2]米非農業部門雇用者数変化の主な業種

月次、期間:2019年1月(左)2019年2月(右)、前月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、期間:2019年1月(左)2019年2月(右)、前月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

次に、米国の政府機関閉鎖の影響が考えられます。フルタイム雇用者(恐らく政府職員?)が1月の政府機関閉鎖中にパートタイムとして働き二重カウントされ、2月は元に戻った可能性が考えられます。図表1にあるU6失業率は経済的理由でパートタイム等で働いている人を失業者としてカウントしていますが、1月は8.1%と昨年12月から0.5%急増し、反対に2月は7.3%と0.8%も急落しています。本来U6失業率の変動は小幅で1、2月の変動は特殊要因と見られます。小売や運輸セクターに一時的に従事していたと見られます。

 

また、悪天候などにより週平均労働総時間は市場予想を下回りました。そのため、今回改善が見られた平均時給はその分押し上げられた可能性もある点に注意は必要です。

 

悪天候や政府機関閉鎖の影響が落ち着くまで雇用統計の解釈には注意は必要です。今回のデータの中でこれらの影響が比較的少なく、先行性のあると考えられる専門・支援セクターの改善や、就業者数の増加などから判断して大幅減の雇用者数は、さほど悲観的でない可能性もあります。

 

むしろ気になるのは、雇用統計公表直後一時的に見られた株式市場の下落で、センチメントが弱気に傾いていることです。以前であれば、悪い経済指標の公表には、金融緩和期待で上昇するなど元気な反応が見られることもありましたが、最近は経済指標の悪化に対し素直(?)に景気減速懸念で市場下落で反応する傾向が見られます。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国雇用統計、低水準の要因は悪天候…雇用市場の基調は維持』を参照)。

 

(2019年3月11日)

 

 

梅澤利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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