豪中央銀行、28会合連続で金利据え置き…利下げの可能性も?

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

オーストラリア(豪)中央銀行は16年8月の理事会で政策金利を引き下げてから足元まで28会合連続で据置いています。今後も短期的には据え置きが見込まれます。そして次の豪中銀のアクションは19年後半、もしくは来年に利上げとの見方が支配的でした。しかし、今回の声明や最近の経済指標から、利下げの可能性も選択肢の一つに入れる必要があるのかもしれません。

豪中銀金融政策理事会:28会合連続で据置くも、声明の内容は一部ハト派的

オーストラリア(豪)準備銀行(中央銀行)は2019年3月5日の理事会で、市場予想通り政策金利を1.5%に据え置くと決定しました(図表1参照)。

 

[図表1]豪ドル(対米ドル)と政策金利の推移

日次、2016年1月月初~2019年3月5日  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
日次、2016年1月月初~2019年3月5日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

据え置きは28会合連続です。オーストラリア連邦統計局が3月6日に発表した第3四半期の実質GDP(国内総生産)は前年同期比2.3%と、市場予想(2.6%)、前期(2.7%)を下回りました(図表2参照)。前期比では0.2%にとどまりました。

 

[図表2]豪GDPとCPI(トリム平均)の推移

四半期、2014年1-3月期~2018年10-12月期  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
四半期、2014年1-3月期~2018年10-12月期
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:豪中銀、貿易相手、雇用市場、住宅市場

豪中銀は16年8月の理事会で政策金利を引き下げてから足元まで28会合連続で据置いています。今後も短期的には据え置きが見込まれます。そして次の豪中銀のアクションは19年後半、もしくは来年に利上げとの見方が支配的でした。しかし、今回の声明や最近の経済指標から、利下げの可能性も選択肢に入れる必要があるのかもしれません。

 

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微妙な変化ではありますが、次の点が理由です。

 

まず、声明の全体的なトーンがややハト派(金融緩和を選好)にシフトしたことです。例えば、世界経済の認識について昨年後半から減速というところは、前回(19年2月)の理事会の声明と変化ありません。しかし、前回は「先進国の失業率は低い」という文言を加え、減速感を和らげているのに対し、今回の声明では「19年も減速が続いている」に置き換えられています。

 

次に、(豪)国内経済に対する豪中銀の認識を見ると、GDP成長率やインフレ率の実績が想定を下回っていると見られます。

 

例えば18年10-12月期GDP成長率は前期比で0.2%でしたが、豪中銀は年3%程度の成長を想定(目標?)していることから、前期比で少なくとも0.6%程度を期待していると思われます。実績値と想定する成長率との相違が拡大傾向である点が気がかりです。豪の貿易相手国で最大手は中経済の足かせとなっていると見られます。

 

 

豪の雇用市場は依然堅調との見方を維持しているものの、インフレ率は19年は2%、20年に2.25%になると声明で述べていますが、上昇は以前に予想したより少し長くかかるとも述べており、インフレ懸念もトーンダウンした印象です。

 

なお、ブームの後、調整が進行している住宅市場については、豪中銀のロウ総裁の講演でも見守る姿勢が示唆され概ね前月と同様の方針を維持していると見られますが、住宅ローンに対する需要の減速に懸念を示しています。

 

ただ、金融政策の先行きを示唆する部分については表現を概ね維持しているため、今後のデータ次第ながら、当面、豪中銀は政策金利を据え置くと見ていますが、次の一手の選択肢に利下げも加える必要がありそうです。

 

一方、豪中銀の低金利政策などを背景に、豪ドル(対米ドルで)は下落傾向でした。悪材料をある程度は織り込んだと思われますが、今後利下げ観測に反応しやすい展開も想定されます。豪ドル高に転じにくい展開と思われます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『豪中央銀行、28会合連続で金利据え置き…利下げの可能性も?』を参照)。

 

(2019年3月6日)

 

 

梅澤利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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