日本で滅亡に備えた!? 世界で最も古い「未来への手紙」の内容

本記事は、東京大学薬学部卒業で、現在は作家、心理カウンセラー、イラストレーターとして活躍する杉山奈津子氏の著書、『偏差値29からなぜ東大に合格できたのか』の内容の中から一部を抜粋し、未来の自分に任せて今日の自分が動かない悪癖の改善法を取り上げます。

「明日やろうは馬鹿やろう」

人は明日の自分を、「きちんと頑張れる人間」と都合よく考えます。けれども、「明日からダイエットをするから今日は食べ納め」と言いながら、結局は次の日もたくさん食べてしまい、いつまでたってもダイエットが始まらないことがあります。また、時間ができたら歯医者に行こうと思っているのに、ずっと行けないでいることもよくあるでしょう。

 

かく言う私も、明日こそ本棚を廃品回収に出す申し込みをしなくてはと思いつつ、面倒くさくて玄関に置いたままもう1カ月が経ちます。

 

これはサイモンが唱えた「限定合理性」です(※)。いつまでも今現在の欲求を選び、やるべきことを後回しにしてしまうのです。「明日やろうは馬鹿やろう」という言葉がありますが、この「明日やろう」という思考は、人が、将来の自分に過度の期待と信頼をもってしまう性質があるために生じます。

 

※ 将来得られる「より良いもの」を犠牲にすることをわかっていながら、短絡的に目の前の欲求を求めてしまう行為。ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンが唱えた。サイモンいわく、「人間は必ずしも合理的な行動をとるわけではない」。

 

なぜかみんな「明日の自分ならできるはず」という強い自信をもっています。明日の自分は面倒くさがらず、自制心をもって行動する、と信じて疑いません。

 

しかしおかしなことに、明日が今日になり、今日の自分ができなくても、再び「明日の自分ならできるはず」と期待してしまうのです。その連鎖を断ち切らない限り、永遠に目標は達成できません。

 

人は、明日の自分と今の自分を別人のように切り離して捉える傾向があるため、「どちらも同じ自分であり、同じ性格をもっているので、明日も同じように面倒くさがるはず」ということをきちんと頭に入れておきましょう。

「ただ将来のことを考えるだけ」でも後回し癖に効果

後回しにする行為の対策として、ドイツの大学医療機関は「ただ将来のことを考えるだけでも効果がある」ことを提示しました。

 

例えば、タイムカプセルのように将来の自分に向けて手紙やメールを書いてみる、あるいは将来の自分の姿を想像するだけでも、後回しを回避しやすくなるのです。未来で自分は何をしているかを思い浮かべると、そのために自分は今、何をすべきかが明確になります。また、今の自分のせいで将来の自分が何も達成できていない姿が浮かべば、「今の自分が頑張らなくては!」という意欲が出てきます。

 

私は受験期に「合格したらやりたいこと」を紙に書き、それを眺めつつ勉強しました。他にも大学に行ったらこういう髪型をしたい、こういう服を着たいという「将来こうなりたい自分」を絵で描いていました。高校生の頃は地方なのでお店が限られていたり、バイトは禁止なので使えるお金も限られていたり、学校の校則もあったりしたため、やりたいことが叶わないでいました。そのため、東京にいる自分の姿を描くことでストレスを発散していたのですが、今思えば、将来の自分を身近に感じるにはもってこいだったように思います。

 

ちなみに、世界で最も古い「未来への手紙」は日本にあるそうです。仏教では、1052年に世界が滅びるという考えが広まったのですが、数十億年後には弥勒菩薩(みろくぼさつ)が第二の釈迦となって現れ世界を救うとも言われ、当時の人たちが経典などを伝えようと書き写して埋めたのです。

 

これは自分たちがすでにいない未来に対しての行動ですが、それでも将来のことを想像したおかげで、本来なら仏の教えなどどうでもよくなってしまいそうなのに、仏教から離れず、自分たちが今できる精一杯のことを冷静に考えられたのです。マイナスばかりの未来ではない、明るい未来を想像することは、やる気を出す希望につながります。

未来の自分は、今の自分に何と言うだろうか?

一方、今の自分から将来の自分という視点ではなく、将来の自分の位置から今の自分を見てみる方法も効果的です。未来の自分は、果たして今の自分に感謝しているか、それとも怒って情けなく思っているかを考えてみてください。

 

私がかつて受けた心理カウンセリングで、椅子を2つ向かい合わせ、ひとつに自分が座り、もうひとつには将来の自分が座っているとして、「将来のあなたは何て言っている?」と想像するように言われたことがあります。実際に椅子を用意して存在を意識すると、将来の自分がぐっと身近に感じられました。また、将来的な視点から俯瞰して現在の自分を見ることができたので、その後の行動や感情をコントロールしやすくなりました。もし今やるべきことに困ったら、何度でも繰り返すように勧められた方法です。

 

子どもに、将来の自分に手紙を書かせてみたり、椅子に座らせて対話する方法を教えてみるのは、目先の欲求に負けない自己をつくるためにも有効だと思います。

 

経営コンサルタントの神田昌典さんは、「未来から逆算して現在のことを考えるべき」と主張しています。現在の行動から未来がどうなるかを考えるのではなく、将来はこうなりたいという希望を思い浮かべてから現在の行為を考えるべきだ、ということです。

 

私も、予定帳には将来の目標の達成日を書き込んでいます。そこから現在に向かって日割りしてすべきことを埋めていく方が、着実に目標を達成できます。大がかりな何年も後の予定ではなく、1週間以内にやることでも構いません。

 

また、やらざるを得ない状況に追い込むのもひとつの手段です。

 

例えば歯医者に行こうと思ったときに、すぐ電話して日にちを予約してしまえば、後回しが回避できます。いつまでも部屋の片付けができないときは、友人を家に招待する予定を入れておけば、「汚いところは見せられない」と掃除がはかどります。

 

私も以前、TOEIC®を受けてみたいと思いながら、特に必要性も始めるきっかけもなく、申し込む踏ん切りがつかないときがありました。そこで友人を巻き込み、「一番点数が低い人がご飯を奢る」という約束をしたのです。おかげでテストを受けざるを得ない状況になり、かつ真剣に勉強することができました。

 

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静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。作家、イラストレーター。心理カウンセラー。大学卒業後は、執筆活動や講演活動を積極的に行っている。著書に『鬱姫 なっちゃんの闘鬱記』(講談社)、『「うつ」と上手につきあう本』(大和出版)、『偏差値29からの東大合格』(中央公論社)、『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』(KADOKAWA)などがある。

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