今回は、フラットな組織づくりに必要なことについて見ていきます。※現在の日本の製造業界は回復基調にある一方、深刻な人手不足に悩まされています。しかし、旧態依然としたトップダウン型の組織を廃止し、業務の細分化、社員への決裁権の譲渡などを実施することで、業務の効率化を図れるだけでなく、若い世代がすぐに活躍できる職場環境を生み出すことが可能です。本連載では、中小製造業の生き残りを可能にする「組織づくり」を解説します。

「管理者」のいないフラットな組織

現代に置ける組織作りにおいて重要である、上下関係のないフラットな組織とは、具体的にどのような形になるのでしょうか。私の会社をモデルにして紹介しましょう。

 

私の工場には、原則として「班長」「リーダー」とそれ以外の社員しかいません。

 

「班長」「リーダー」は役職というよりは、先輩的な立場を意味します。学校の部活動で先輩が後輩の面倒をみるようなイメージで捉えてもらえばよいでしょう。

 

また、製造部門の「班長」「リーダー」が納期の管理も行っています。

 

“後輩”の人事考課や細かな教育などはさせていません。社員の教育については、別に指導員が5名いて担当することになっています。

 

それから「班長」と「リーダー」は一応、名称は違っていますが、両者の仕事にそれほど大きな相違点はありません。班長は打ち合わせや納期管理などのために皆で集まることがあるのに対して、リーダーはほとんど集まりがないだけの違いです。

 

班長の打ち合わせにしても、「この部品は、○○の形で削ったほうがいいな」などと技術上の事柄について話し合う程度です。

 

なお、ごく一部の年配の社員を「係長」という役職に就けていますが、それは名誉職のようなものに過ぎません。「特別な技術力を認められた係長格」というべき立場であり、社員を管理する義務は課されていません。

 

このように、私の会社にはマネージャー(管理者)と呼ぶべき存在はいません。つまり、マネジメントを個人の誰か、特定の誰かに頼る仕組みにはなっていません。あえていえば、フラットな組織を通じて会社全体でマネジメントを行っているということになるでしょう。

 

今、AI(人工知能)が社会では大きな話題となっています。これから、その技術がさらに進んだとすると、現在多くの会社でマネージャーによって行われている仕事はすべて、機械が行うことになるかもしれません。

 

例えば、マネージャーの細かな役割の一つに「仕事の中身を正しく伝達する」ことがあります。そのような作業も、AIの判断で全員に一斉に通知が送られ、確認の回答もAIがすべて受理するという形で行われることになるでしょう。

 

もしかしたら、未来のビジネスでは、企業がフラットな組織を導入しつつ、同時にAIに任せられることはすべて任せて、管理職にかかるコストを削減し、それによって生じた利益を社員に還元することが当たり前となっているかもしれません。

フラットな組織には「チームワーク」が不可欠

ここまで説明してきたように、フラットな組織づくりの中身そのものは非常にシンプルです。「上司」→「部下」というピラミッド型の組織を廃して、社員の間に上下関係がない仕組みをつくるだけです。

 

このような皆が文字通り平等な職場環境の中では、社員が互いに助け合って自らの日々の業務を遂行していくことが求められます。そのためには、何よりも社員同士が強いチームワークで結ばれていることが大切になります。

 

このチームワークの重要性を、私は自らの体験から深く学んできました。

 

具体的に述べると、私は、若い時代に長くスポーツと深い関係を持った人生を送ってきました。高校時代にハンドボールを始め、卒業後、日本電装株式会社(現・株式会社デンソー)に入社してからも同社の社会人チームでメンバーとして活動を続けました。また、現役引退後には、コーチなどの形で指導者としての役目も果たしてきました。

 

選手であった時も、また指導者であった時も、目指したのは当然「勝つこと」でした。

 

では、勝つために何をしたらいいのか?

 

方法はいろいろあります。

 

肉体面ではパワーをつける、持久力をつける、スピードをつける・・・精神面では、情熱、プライド、考えることも大切になります。

 

肉体的なこと、精神的なこと、いろいろなことに試行錯誤しながら取り組みましたが、望んだ結果を、すなわち勝利という結果を得られたのは、やはりチームのメンバーがそれぞれの役割をしっかりと果たした時でした。

 

「組織の構成員にはそれぞれの役割があり、その役割を皆が果たすことで、組織が求める結果が得られる」

 

そのことを私はスポーツを通じて学びましたが、ビジネスも全く同じだと思っています。

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