立派な庭木や庭石、賞を取った錦鯉などにも注意
前回から引き続き、親の財産を把握するために、相続財産のリストアップであげる内容について見ていきます。
【貴金属、骨董品、美術品など】
宝石や時計などの装飾品、工芸品、古美術、古道具、絵画、古書などで資産的価値のあるものについては、品名/購入先/購入日/購入時の金額/保管場所などが知りたい情報です。
名のある人物の作品や歴史的な価値があるもの、思い入れのある品であれば、由緒や歴史的・芸術的価値についてなど、親には一筆添えておいてもらいます。人に預けてあったり、どこかに寄贈したり、記念館などに展示品として貸し出していたり、あるいは紛失や破損したりで手元に現品がない場合は、その経緯や理由、現在の所在などが分かるようにしておかないと、後で税務調査が入った場合などに困ります。
骨董品や芸術作品は、購入時と現在とで価値が変わっていることが往々にしてあり、古美術商で鑑定してもらうなどして、おおよそでも価格を把握しておくと安心です。立派な庭木や庭石、コンテストで入賞するような錦鯉なども資産とみなされることがあります。たとえば庭木や庭石の場合は、松の木1本いくら、石1ついくらと計算していく方法もありますが、庭全体としていくらと評価することもできます。どういった評価の仕方がふさわしいかは専門家の意見を聞いてください。
相続財産として計上する必要がある貸付金
【貸付金】
親が身内や他人に貸したお金がある場合は、貸した相手の名前・連絡先/貸付金額/返済予定日/返済方法/利子や担保の有無/借用書の有無など。貸付金は返してもらえないケースも多いものですが、それでも相続財産として計上しなくてはなりません。将来的に返ってくる可能性がゼロではないからです。
貸付金額が大きいと、本当は手元にないのに、その分だけ相続財産が膨らむことになってしまうので危険です。貸し付けた相手が自己破産した場合は、債権が消滅するので、相続財産に含める必要はなくなります。貸付金の多くは個人間での貸し借りなので、借用書でも出てこないかぎり子は気づけません。貸した本人にきちんと記録を残しておいてもらうことが大事です。
【借入金やローン】
親が金融機関で借りたりローンを組んだり、カードでキャッシングしたりしたお金の返済がまだ残っている場合、あるいは個人から借りたお金を返せていない場合です。借入先/連絡先/借入額/毎月の返済日/毎月の返済額/返済方法/返済期限/現在の借入残高/借入目的/返済口座銀行名/担保の有無/保証人の有無/保証人の名前や連絡先などが分かるようにしておいてほしいものです。
プラスの財産も重要ですが、親の老後の生活や自分たちが相続する時のことを考えると、むしろマイナスの財産のほうが気をつけなければいけません。借金のために親の老後の生活がままならないと、子らに負担がかかってくることは多いです。また、相続時に負の財産が多く、相続するのが難しい場合、限定承認や相続放棄などを検討します。
次回も、相続財産のリストアップであげる内容について見ていきます。