本記事では、若い夫婦が「貯蓄型保険」に加入するメリットを見ていきます。

人生設計は「自分の希望」を最優先

一体どのようにすれば、自分にぴったりとフィットする保険を作れるのでしょうか。実は、ライフプランを作る際にそれほど細かい金額までご自身で詰める必要はありません。それよりも、優先順位をどうするかといった方向性を明確にするほうが重要です。

 

この基本ラインさえしっかりしておけば、細かいことでブレなくなりますし、AとBどちらを選ぶかといったような場合でも基準が明確なら迷うこともありません。

 

皆さんが考えたライフプランに対して、どれぐらいのお金を準備すればよいか、具体的な金額は保険の営業担当者がアドバイスしてくれるはずです。

 

例えば子どもを幼稚園から大学まで私立に通わせるにはいくらぐらいかかるのか、国公立ならいくら必要なのかといったことはもちろん、余裕のある老後を送るために資金はどれぐらい必要かといったことまで、それぞれの希望に応じて必要金額の算出をしてくれるでしょう。

 

それだけではありません。それらの資金をどのように準備するかを考える、それがライフプランニングです。

 

例えば老後の資金を確保するにあたり、普通は預貯金で準備するという考え方が普通です。ライフプランに沿って「毎月3万円を老後の資金に貯蓄しましょう」と決めたら、保険のプロならではの提案として「そのうち1万円を貯蓄型の保険で積み立ててみたらどうでしょう」という提案ができるのです。

 

リスク分散という考え方があります。よく「生卵を運ぶときに一つのカゴに入れておくと、転んだときにすべて割れてしまう」と例えられます。複数のカゴに生卵を分けて運べば、たとえ転んでもすべてがゼロになるわけではないという話です。

 

老後資金の確保でも、すべてを預貯金で準備するのではなく、一部を貯蓄型保険という形で分けて準備しておく。これもリスク分散の一つと言えます。

「貯蓄型保険」と「掛け捨て医療保険」の違いを知る

生命保険には3つの種類があり、死亡保険、医療保険、そして老後保険・貯蓄型保険があります。

 

保険というのは、実は預貯金や株式などと同様に金融商品です。銀行や証券会社とともに保険会社の監督官庁は金融庁です。ですから、保険商品で資産形成をすることもできるのです。

 

そして、この保険商品を使った資産形成を提案できるのは、私たち保険のプロならではです。

 

銀行の窓口なら定期預金を勧めるでしょうし、証券会社なら株式投資や投資信託の購入を勧めるでしょう。もちろん私が保険ショップを経営しているから保険を勧めるということもありますが、他の金融商品と比べても保険の中には実に貯蓄に適した商品がたくさんあるのです。

 

保険に貯蓄型のものがあるということを知っている人が少ないので、仕方がないことなのかもしれませんが、これは意外に知られていません。

 

ここで初めて具体的な保険の話をします。「低解約型返戻金終身保険」なるものがあります。

 

仮に月に保険料が1万2000円ぐらいの貯蓄型保険があったとします。20歳で加入し、60歳まで40年間、保険料を払い続けると総額で大体600万円を払うことになります。

 

60歳で満期になり、翌月にこの保険を解約すると740万円ぐらいが解約返戻金として戻ってきます。もちろん、大きなリスクもあり、満期前に解約してしまうと、返戻金は払い込んだ保険料を下回るので保険料の設定は細心の注意が必要です。

 

一方、20歳で掛け捨ての医療保険に加入すると、毎月の保険料は3000円くらいです。年間3万6000円、同じく60歳まで40年間払い続けると、総額は144万円になります。

 

もし、貯蓄型保険を満期で解約しなければ、以降、亡くなった場合は死亡保険金が支払われますし、解約した場合は毎月払い込んだ保険料に加え、医療保険の払い込み保険料分が上乗せされるくらいの解約返戻金があるのです。

 

ところが、一部例外はあるものの医療保険の場合はほとんどが掛け捨てなので、治療や入院をしなければ保険料は1円も戻ってきません。

 

貯蓄型保険の解約返戻金の上乗せ分が140万円ですから、掛け捨ての医療保険で支払う保険料の総額とほとんど変わりません。これは貯蓄保険に加入しておけば、140万円の医療保険にタダで加入したようなものです。

貯蓄型保険の保険料は「保険を兼ねた貯金」になる

この貯蓄型保険を、金融商品として見てみましょう。

 

あくまでも満期まで解約しないことを大前提としますが、月々1万2000円の保険料で、年間の総額が14万4000円です。40年で140万円のプラスですから、1年で3万5000円増えたことになります。

 

いまどき、1年で14万4000円を積み立てて3万5000円増えるような金融商品はまずあり得ません。忘れてはいけないのが、死亡保険にも加入していることです。

 

保険料の金額だけを考えるのならば、貯蓄型保険が月に1万2000円、片や掛け捨ての医療保険が月に3000円と、9000円の差が付きます。毎月の保険料だけを見れば、貯蓄型保険は高いと思うかもしれませんが、最終的な支払い金額と保障を考えるのなら、貯蓄型保険のほうが効率的であることが納得できるでしょう。

 

この場合、貯蓄型保険の1万2000円の保険料は、保険を兼ねた貯金であると考えるとわかりやすいはずです。

 

この貯蓄型の保険に、夫婦2人で加入したとします。月々の保険料は2人合わせて2万5000円程度になりますが、夫婦のどちらかに万が一のことがあっても死亡保険金が支払われますから、当面の生活は何とかなります。

 

無事に60歳で満期を迎えたときに解約すれば、おおよそ1500万円ぐらいは戻ってきますから、2人で月々25万円、年間300万円の支出とすれば、1500万円あれば5年間は生活できます。

 

この計算でいけば、年金制度が揺らぐ中、ある程度の期間、保険の解約返戻金で生活をまかなえることになります。

 

20代、30代の夫婦にとって月々2万5000円の保険料は、決して安いとは言えません。しかし、将来的にそのお金がどう生きるかを考えると、高いか安いかの判断はまた変わってくるはずです。

 

「今払える金額は月に○○円です」という考え方からは、このような将来にお金をどう生かすかという発想は出てきません。資産形成というとつい株式や投資信託、外貨預金などをイメージしがちですが、その中に保険という選択肢を加えるという提案ができるのは、保険のプロならではの視点です。

必要なときに必要な補償を得るため、人生設計は綿密に

ただ、何となく加入した保険はたとえ高くても愛着が湧きません。微妙に肩幅がきつかったり、襟の形が気になったりと、少しでもフィットしない部分があるスーツは、せっかく高いお金を払ったとしてもクローゼットにしまいっぱなしになり、気が付いたら虫に食われて役に立たないものになっているかもしれません。

 

保険も同じことです。ライフプランをしっかりと考え、ライフプランニングをして加入した保険は、「自分の保険である」という意識を持ちます。ところが一般論で何となく加入した保険は「自分の保険」という感覚はなかなか持てません。

 

これは高い保険に加入すればよいという話ではなく、たとえ高くても、それが自分に合っていなければ保険として価値がないということです。反対に言えば、自分の描く将来像を現実にしてくれるような、自分に合っている保険ならば、多少高い保険料であっても払い甲斐がありますし、納得できるはずなのです。

 

良い保険、自分にぴったりフィットする保険と表現はさまざまですが、保険の最終的な役割とは、必要なときに、必要な保障が、つまり必要なお金が得られるものであること、この一点がすべてと言っても過言ではありません。

 

そのためには、何が必要かという要望を明確にすることです。そしてその要望に応じて、必要な保障を準備します。これがライフプランを立て、ライフプランニングを行うということです。

 

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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