中国PMIに見る、株式市場の勘所

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

19年年初から世界的に株式市場が概ね下落基調となった背景に、米中貿易戦争、議会が対立する米国政治、米国経済や米アップルの業績不安に加え、中国経済の先行きに対する懸念などがあげられます。中国PMI指数を参考に、中国経済の動向と市場への影響を振り返ります。

中国製造業PMI:低下傾向が続き、12月は50を下回る一方、非製造業PMIは底堅く推移

財新伝媒が2019年1月2日に発表した12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と、市場予想(50.2)、前月(50.2)を下回りました。一方、1月4日に発表された財新非製造業PMIは53.9と、市場予想(53.0)、前月(53.8)を上回りました(図表1参照)。PMI指数は50を上回ると景気拡大、50を下回ると縮小を示します。

 

[図表1]中国政府系並びに財新PMIの推移

月次、期間:2016年1月~ 2018年12月、PMIは製造業と非製造業 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、期間:2016年1月~ 2018年12月、PMIは製造業と非製造業
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 なお、中国国家統計局が18年12月31日に発表した12月の製造業PMIは49.4と、市場予想(50.0)、前月(50.0)を下回りました。一方で12月の非製造業(サービス業)PMIは53.8と、市場予想(53.2)、前月(53.4)を上回り、財新PMIと同様に、製造業と非製造業で明暗が分かれました。

どこに注目すべきか:製造業PMI、新規受注、米中貿易戦争

19年年初から世界的に株式市場が概ね下落基調となった背景に、米中貿易戦争、議会が対立する米国政治、米国経済や米アップルの業績不安に加え、中国経済の先行きに対する懸念などがあげられます。中国PMI指数を参考に、中国経済の動向と市場への影響を振り返ります。

 

 

まず、最も気になるのは中国製造業PMIが政府系並びに中小企業の動向を反映しやすい財新PMI共に、景気拡大・縮小の境目を示唆する50を約2年半ぶりに下回ったことです。時期にもよりますが、PMIは経済成長率の動向を示唆する傾向もあることから、仮にこの水準が続けば中国GDP(国内総生産)成長率の減速も想定される数字です。

 

次に、中国製造業PMIを構成項目別に見ると、生産、先行きを示唆する新規受注や新規輸出受注、雇用など主要項目が軒並み前月を下回っています(図表2参照)。特定部門の悪化というより全般に回復が鈍い印象です。また受注関連の悪化から短期的な回復は見込み難い状況です。

 

[図表2]中国PMI(製造業、非製造業)の主な構成指数

月次、時点:2018年11月(左)、12月(右)、非製造業は(非)で表示 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、時点:2018年11月(左)、12月(右)、非製造業は(非)で表示
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

なお中国PMIと直接関連しませんが、米アップルの売上下方修正は中国国内でのiPhone等の販売が想定以上の落ち込みと説明されており、中国PMIの動向と整合的です。

 

もっとも、サービス業、建設業などを含む非製造業PMIは12月は改善しています。非製造業PMIの構成指数を見ると新規受注が小幅ながら50.4と回復しており、中国当局による景気刺激策が効果をもたらした可能性があると共に、引き続き景気対策による下支えの必要性が示唆されています。

 

反対に株式市場へのプラス要因としては、中国経済の先行き懸念を受け、昨年後半に中央経済工作会議で示唆された減税などの景気刺激策の実現が高まったと見られます。また、中国経済の不安は、先の米アップルを例とすれば、米国企業にも悪影響を及ぼし始めた模様です。結果として、米国に恩恵があると説明されてきた米中貿易戦争に緊張緩和を求める圧力が強まる可能性も考えられます。

 

中国の景気先行き懸念等を受け、市場の変動が続く可能性がある中、冷静な判断が求められる状況と見ています。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国PMIに見る、株式市場の勘所』を参照)。

 

記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

 

(2019年1月4日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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