日本では「区分所有」「一棟経営」が王道だが…
よく日本のお客さまから聞かれる質問から、アメリカの住宅形式について解説します。
日本の不動産投資では、一戸建てを購入して貸すよりも、一棟もののアパートやマンションを所有して賃貸に回すのが王道ですが、アメリカは少し事情が異なります。
アメリカでは、経験豊富で資金力も潤沢にあり、融資がすぐつく投資家でも、あえて一戸建て一戸建てを何十件と購入するような投資をすることがあります。それには、借りてくれるテナントさんの世帯状況が関係してくるからです。
まず、アメリカの住宅事情を説明しましょう。
アメリカには一戸建てと、いわゆる日本のマンションと同様のアパートメントビルディングや、duplex(デュプレックス)、Triplex(トリプレックス)、Fourplex(フォープレックス)などと呼ばれる集合住宅があります。一戸建てはSingle Family Home(シングル・ファミリー・ホーム)、集合住宅はMultifamily Home(マルチファミリー・ホーム)と呼ばれます。
集合住宅とは、2つ以上の戸数が1つになっている建物です。小規模でいえば2世帯、4世帯程度の複数世帯物件から、1棟に10戸単位が入って合計で数百戸となるような大型のアパートメントコンプレックスのものまで実に様々です。
投資家にとって気になるのは、住宅のつくりよりも、入居者の違いでしょう。きっちり家賃を払ってくれる人かどうか、つまり空室率が高くならないかということです。
「一戸建て」と「集合住宅」の入居者の違いとは?
一戸建てと集合住宅では、入居者に違いがでてきます。
<一戸建ての入居者の特徴>
●平均収入 42,600ドル(集合住宅の平均を31%上回る)
●既婚者 38%
●子持ちの家庭 52%
●35歳から64歳 58%
<集合住宅の入居者の特徴>
●平均収入 32,400ドル
●既婚者 21%
●子持ちの家庭 30%
●35歳から64歳 46%
一戸建ての入居者は、集合住宅の入居者に比べて収入が高く、既婚者子持ちの家庭が多くなります。
一戸建てを借りている人たちは、子供やペットのために、庭がある家、学校区がよい地域、プライバシーを保てる物件を好みます。いつかマイホームを購入したいと考えている人も多いですが、住宅購入の十分な貯金がない、クレジット・ヒストリーが悪い、もしくは将来移動しやすい環境でいたいなどの理由で物件を借りているようです。
狭い島国ゆえ土地代が高い日本では、一戸建てを何件も買うのはあまりよい投資方法とはいえないでしょう。しかし、土地が余っている広大なアメリカでは、少し事情が違うのです。
山崎 美未
Win/Win properties,LLC パートナー マネージング・ディレクター