最近は100万円程度からの投資も可能に
ヘッジファンドの変化のひとつに「最低投資金額」の低下があります。最近は、100万円程度からの金額でヘッジファンドへの投資が可能になっており、最低でも2000万円、3000万円が必要だった時代から考えると大きな変化といえます。しかも、徐々に最低投資金額を引き下げているヘッジファンドも増えており、ひとつのトレンドになりつつあります。
こうした現象の背景には、超富裕層の顧客だけではなく、たとえば金融資産1億円程度を保有し、そのうちの数百万円だったら自由に投資できる、といった顧客もターゲットにしつつあるという事情があります。
実際に、オンライン証券会社の一部などでも「ファンド・オブ・ファンズ」という手法を使って、最低100万円程度の投資金額でヘッジファンドに投資ができるようにしているところがあります。ファンド・オブ・ファンズというのは、その名のとおり、複数のファンドをひとつのファンドにパッケージ化して商品とするものであり、一般の公募型投資信託でも販売している商品です。
ファンド・オブ・ファンズのデメリットとは?
ヘッジファンドの場合は、より正確にいうならば「ファンド・オブ・ヘッジファンズ」になるわけですが、複数のヘッジファンドを組み合わせることによって、メリット、デメリットが生じます。具体的には下記になります。
【メリット】
●分散投資
それぞれ投資戦略や投資対象が異なるファンドに分散投資ができるために、より安定した運用が可能になります。
●少額投資
一つひとつのヘッジファンドの最低投資金額は2000万円ですが、ファンド・オブ・ヘッジファンズにすることで、100万円程度の金額から投資が可能になります。
●プロの投資判断
ファンド・オブ・ファンズにどんなファンドを、どんな比率で組み入れればベストなのか。資産運用のプロの目利きが発揮されます。
【デメリット】
●管理費用の負担増
購入するファンド・オブ・ファンズの報酬に加えて、投資先ファンドの報酬もかかってくるので、管理費用のコスト増は避けられないかもしれません。単体でヘッジファンドに投資するよりも、ファンド・オブ・ファンズを組成している会社のコスト分だけ、余計にかかるということです。
●詳細な情報を得にくい
複数のヘッジファンドを集めて組成しているために、運用成績なども含めて、個々のファンドの情報を得ることが難しくなります。ファンド・オブ・ファンズを組成している運用会社がきめ細かな情報提供をしてくれるかどうかは、個々の運用機関にもよりますし、もともと情報提供の少ないヘッジファンドなので、逐次情報を把握するのはやや難しいかもしれません。
●流動性リスクが高い
運用戦略の異なる複数のヘッジファンドを扱っているために、金融に問題が生じたときなどは、すぐに売買できない、簡単に換金できない、といった流動性の問題が生じます。
いずれにしても、投資家からは詳細が見えにくい存在になると考えたほうがいいでしょう。