「相続や資産に強い税理士」は本当に少ないが・・・
相続で失敗しないためには、ビジネス的なセンスが必要だという点についてはご理解いただけたことと思います。とはいえ、それは勉強したからといって一朝一夕には磨かれません。それに、専門性の高い分野になれば、深くまで理解することに実質的に無理が生じます。そういう時のために、税理士がいると考えてください。
自分が不得意な分野を専門家に補ってもらうことは、とても自然なことだと思います。勉強で困ったことがあったり進路に迷ったりすれば、学校や塾の先生に意見を求めるでしょう。家電を買いに行ったら、店員を呼んで性能や特長、実際の使用感などを説明してもらい、どれがいいか相談に乗ってもらうはずです。そういうことと、資産について税理士に相談することとは、まったく同じことです。
ただし、この連載で繰り返し述べてきたように、相談相手は「相続や資産に強い税理士」でなくてはなりません。不動産に詳しくて、投資的・ビジネス的な視点に長けており、なおかつ顧客の幸せを第一に考えてコンサルティングをしてくれる税理士というのは、本当に数少ないものです。
特に、丁寧なコンサルティングによって、よりよい選択に導いてくれる税理士というのはほんの一握りでしょう。コンサルティング力というのは、税理士が得意とする数字の計算とは異なる能力だからです。
しかし、税務申告ができてもコンサルティングができないという税理士は溢れるほどいても、コンサルティングはできるが税務の計算ができないという税理士はいません。もしいたとしても、それはきっと明らかにインチキな税理士だけです。
ですから、相続にまつわる相談相手として足る税理士を選びたいのであれば、相続のコンサルティングを数多く手がけた経験のある税理士を探してください。
「検索トップに出てきたから信頼できる」とは限らない
今はインターネットで何でも調べられる時代です。しかし、「相続、資産税、税理士」とキーワードで打ち込んで検索のトップに出てきたからといって、それが実力を保証するものではありません。専門の業者に頼めば、特定の税理士事務所を検索のトップに持ってくることくらい朝飯前だからです。
しかし、相続のコンサルティングができる税理士に巡り合うのが難しいからといって諦めてはいけないのです。税理士探しを諦めた時点で、その人は自分の資産を諦めたといえるくらい大きなことだというのは、本連載をここまで読んできてくださった読者のみなさんなら、おわかりいただけると思います。