米国株式市場下落の背景

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

昨日の米国株式市場の下落により、市場センチメントを示唆する参照値のひとつであるVIX指数は目安とされる20を超えました。 下落要因を見ると、悪材料が重なった不運な面もある一方で、市場の弱気を示唆する要因が増えている点に注意も必要です。

NY株式市場大幅続落:情報技術セクターなど が下落を主導、影響は海外にも波及

米国株式市場は2018年11月12日に主要株価指数が軒並み大幅下落しました。S&P500種株価指数は前営業日比2%下げて2726.22。ダウ工業株30種平均は602.12ドル(2.3%)下げました(図表1参照)。ハイテク株を多く含むナスダック総合指数は2.8%下落しました。

 

[図表1]S&P500種株価指数の主なセクターの騰落率

日次、期間:2018年11月9日~ 2018年11月12日、終値
日次、期間:2018年11月9日~ 2018年11月12日、終値
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

米国株式市場の下落は日本など中国を除く、アジアの主要な株式市場に波及し、13日の東京株式市場(前場)では、日経平均株価などが大幅な下落となっています。

どこに注目すべきか: VIX指数、サプライヤー、欧州情勢、ドル高

昨日の米国株式市場の下落により、市場センチメントを示唆する参照値のひとつであるVIX指数は目安とされる20を超えました。下落要因を見ると、悪材料が重なった不運な面もある一方で、市場の弱気を示唆する要因が増えている点に注意も必要です。

 

米国株式市場の下落要因をセクター別に振り返ります。

 

まず、下落の一番大きかった情報技術はアップルの主力商品であるiPhone向けに部品や部材を供給する主要サプライヤーの株価が軒並み下落しました。アップルの決算は既に1日に公表され10-12月期の売上高予想が市場予想を下回るなど失望を誘う内容でした。また、19年度からiPad等の販売台数の公表停止と後味の悪い内容でした。このような中、アップルに部品を供給するサプライヤーの光学製品大手であるルメンタム・ホールディングスが納入の減少を発表したことなどを受け、アップルとルメンタム、他にも半導体関連などが情報技術セクターの下落要因となりました。

 

 

エネルギー・セクターは、原油価格の下落傾向が続く中、石油掘削など設備関連の銘柄が大きく売られました。

 

資本財セクターでは債務水準の引き下げに苦慮しているゼネラル・エレクトリック(GE)の株価下落などが同セクターの軟調な動きに寄与しました。

 

金融セクターではゴールドマン・サックス・グループの株価下落の寄与が大きくなっています。マレーシアの政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)の巨額不正事件がゴールドマンにも飛び火した格好で下落しました。

 

輸出株全般への影響という点では、週末に英国の欧州連合(EU)離脱やイタリア財政の不透明感が高まり、ドル高が悪影響を与えた可能性は考えられます(図表2参照)。

 

[図表2]ドル指数とユーロ(対ドル)の推移

日次、期間:2016年11月11日~ 2018年11月12日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
日次、期間:2016年11月11日~ 2018年11月12日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

個別銘柄の主な下落要因を見ると、たまたま悪材料が重なった面も見受けられます。しかしながら、図表1で市場平均(S&P500)を上回るリターンのセクターを見ると、不動産や、公益事業、生活必需品やヘルスケアといったディフェンシブ・セクターです。金利上昇局面での典型的なグロース株からディフェンシブ株へのシフトが見られると共に、投資家のセンチメントが弱気に傾きかけていることがうかがえます。

 

個別銘柄の悪材料が重なる不運がある一方、米国株式の上昇をけん引してきたグロース株の一角の業績にかげりも見られる点に今後も注目が必要です。

 

※ 記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】もご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場下落の背景』を参照)。

 

(2018年11月13日)  

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は2.11兆円となっています(2018年6月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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