本記事では、親が実践すべき正しい英語教育の方法を見ていきます。

親が英語で語りかけると…?

教育熱心な親御さんが陥りがちな間違いが、自ら英語の読み聞かせをしたり、子どもに英語で話しかけるようにするといった行動です。親が英語が流暢でない場合は、英語による語りかけはかえって逆効果になってしまいます。

 

親のカタカナ英語を子どもに聞かせていると、間違った発音を吸収してしまい、同じようにカタカナの発音で英語を覚えてしまいます。これは親に限らず、英会話スクールの講師がカタカナ英語である場合も当然ながら同じです。

 

英会話スクールに通っていた4歳のお子さんが、講師のカタカナ英語の癖をつけてしまったというケースがあります。発音を直すために週2回ネイティブ講師の発音と接しても、完全にネイティブの発音になることはありませんでした。

 

自宅で親御さんが熱心に英語を話して聞かせていたのでしょうか、やはり接する時間が長い親の発音の影響は強いものです。よほど英語の発音に自信がないかぎり、子どもが5歳になるまでは、英語で話しかけるのは避けたほうがいいでしょう。

英語・日本語、バランスよく接する時間をつくる

下手に親がカタカナ英語で話しかけるよりも、寝る前に絵本を見ながら英語の読み聞かせCDを聞いたり、英語の映画やアニメを親も一緒に見たり聞いたりしてあげるほうが、子どもの英語の吸収力は高まります。

 

英語が苦手な親でも、一度日本語で読んだり見たりしたことのあるお話であれば、内容を推測することができ、おもしろいところで一緒に笑ってあげることができます。親と一緒に楽しんだという記憶を持つことで、子どもの頭の中に、英語の楽しさはよりいっそう強く残るのです。

 

一日中ずっと英語に接していなければいけないということではなく、1日2〜3時間日本語の本や映画・アニメを楽しんだら、2〜3時間は英語の本や映画・アニメの時間を必ず持つようにする。そして、幼稚園や保育園で日本語に接してきたら、同じくらい家庭で英語を浴びせるようにします。

 

英語・日本語どちらかに偏るのではなく、バランスよく接する時間をつくるようにすることが大切です。

 

とはいえ、連休中や長期休暇などの1日に「今日のエンターテインメントはAll English Dayにしよう!」と決めて、丸1日英語漬けにする日をイベントのように設けるのもよいでしょう。

 

子どもの様子を見ながらにはなりますが、私の娘の場合は、アニメのDVDを3話ずつ3セットで見せるとほどよく、飽きずにフレーズを覚える効果がありました。

 

そして、子どもが話を理解できたり、自分で絵本を読めるようになったら、「すごいね」「よくできたね」とほめてあげてください。勉強ではなく、遊びながら英語に親しむことが目的なので、できないからといってしかる必要はありません。

 

ネイティブスピーカーの子どもも、最初からきれいに発音できたり、言葉を間違えずに覚えたりすることができるわけではありません。正確な英語を聞いているうちに、間違いは自然に矯正されていきます。

 

日本語を身につけるのと同様、急に英語で話し始めるようになるというわけではありません。毎日少しずつ、じっくり取り組むことが大切です。

「好きだから見たい、聞きたい」が大切

子どもは同じものを繰り返し見たり読んだりしたがるものです。毎晩日本語の絵本の読み聞かせをしてあげるだけでも大変なことですが、絵本の英語CDをずっと一緒に聞いてあげるというのは、それなりに忍耐を必要とします。

 

物心ついて自分の好きな本やテレビを選べるようになると、「英語のはイヤ」「ほかのがいい」と言い出すこともあるかもしれません。

 

そういったときは無理強いせずに、子どもの興味が自然に戻ってくるのを待ちましょう。親のほうが英語の絵本やアニメを楽しんでいる様子を見せれば、好奇心から関心を示すかもしれません。

 

また、サッカーや野球、おしゃれやクッキングなど、子どもが成長するにつれ興味を示すようになるものが出てきたら、それを題材にした英語の本やアニメなどを見せてあげるという方法もあります。

 

「やらなければならないからやる」のではなく、「好きだから見たい、聞きたい」と思ってもらえるようにするのです。

 

筆者も自分の娘に英語に触れてもらうときは、最初はずっとつきっきりで本を読んだり映画を見たりしていましたが、さすがにこれは疲れるものです。親も自分の好きな本を読んだりして息抜きの時間を持つことが長続きのコツです。

 

子どもはやがて自分から本を選んだりアニメを選んだりするようになります。そのとき、「英語」「日本語」ということを意識せず、「好きだから」という理由で、使われている言葉を意識せずに選べるようになるといいでしょう。

英語圏の子どもが使う幼児語

日本語には「よちよち」「ねんね」など、赤ちゃんに対して使う独特の幼児語があります。「英語圏の子どもが使う本やテレビを見て育つと、英語でそういった言葉を使うようになっていくのでは」と思われるかもしれませんが、英語の幼児語は、日本語ほど目立つものではないので、心配しなくてもよいでしょう。

 

ご参考までに、英語圏の子どもが使う幼児語を、以下の図表で紹介します。子ども向けのテレビ番組などを見ていると、ときどき登場する単語ばかりです。

 

[図表]英語の幼児語の例

 

基本的に単語単位の変化で、日本語のように「・・・でちゅね」「・・・しましぇん」といったような変化はありません。助動詞や動詞は大人と同じように発音するので、子ども言葉が残らないのです。

 

さらに、こういった英語圏の子どもが使う幼児語は、日本の子どもと同様、年齢とともに消失します。日本で育って英語で話している場合も、興味の対象が変わって普段見るテレビや映画が異なっていくにつれ、次第に消えていくでしょう。

 

 

三幣 真理

幼児英語教育研究家

 

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    本連載は、2016年2月25日刊行の書籍『バイリンガルは5歳までにつくられる』から抜粋したものです。本書で紹介している書籍、DVD、アプリ、WEB動画等の各種コンテンツは、2016年2月のものであり、今後予告なく変更することがあります。

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    三幣 真理

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