今回は、投資初心者におすすめのエリアである東京経済圏のなかでも、特に有望なエリアを見ていきましょう。※本連載では、株式会社ファミリーエージェント取締役社長渕淳氏著書、『中古一棟収益物件攻略完全バイブル』の中から一部を抜粋し、不動産投資初心者のために、具体的な物件の購入方法などを紹介していきます。

投資の判断基準は「都心まで鉄道で1時間以内」

では、東京経済圏であればどこでも投資対象になるのかといえば、もちろん、そんなことはありません。東京経済圏でも特に物件価格が下がりにくいエリアを狙うのです。そのエリアは、私の中では次のようなルールで考えています。

 

「東京都内、東京都下、千葉県、埼玉県、神奈川県の電車で1時間以内に都内の主要駅に到着できるエリア」 

 

例えば、千葉県だったら千葉駅周辺までです。神奈川県だったら平塚駅周辺までになります。埼玉県だったら久喜駅周辺までとなります。なぜ電車で一時間以内なのかというと、一時間以内が東京都内に通勤できる範囲だからです。つまり、入居者は東京都内に通勤している人を想定するのです。

 

ただし、投資適格範囲の枠ギリギリのエリアは、あまりお勧めできません。なぜならば、東京経済圏の中でも人口減少が進んでいるところがあるからです。場所によってはよい投資エリアにもなり得ますが、十分に現地調査が必要になるでしょう。 

 

特に注意して調査をしなければいけないのは、投資しようとしているエリアの交通の利便性です。地理的な距離がいくら東京都心に近くても、鉄道の利便性が悪く都心に出るのに時間がかかるとか、近隣にある新しい鉄道の駅の方が利便性が高いなどで入居需要が減ってしまうことがあります。地理的な距離ではなく、鉄道でアクセスして60分以内で都心に出られるエリアへの投資を検討しましょう。 

 

都心から離れれば離れるほど、価格の落ちやすい物件は増えます。まずは都心から30分圏内-で物件を探し、そこから10分刻みでエリアを限定して物件を探す方法がよいかもしれません。 

 

また、繰り返しますが間違ってはいけないのが、工場や大学などによる入居需要で成り立っているようなエリアには投資をしないということです。

 

東京経済圏の外でも、郊外の街で人口が増えているエリアがあります。そうしたエリアは投資対象となるのかどうか、気になるところだと思います。 

 

私は行政政策などで人口が増えている地域に関しては、あまり積極的に投資をしようとは考えていません。なぜならば行政の体制が変わっただけで、人口が減る可能性もあるからです。 

 

基本的にはやはり、埼玉県、千葉県、神奈川県の東京経済圏エリアで、「ちょっと東京に買い物に行こう」と思って、1時間以内で東京に行けるところがよいでしょう。 

 

そういう意味では、最近開発が進んでいる千葉県の西北部などは投資エリアとして考えてもよいと思っています。

 

例えば、千葉県の流山市などです。流山市は子育て環境の設備や女性の創業支援、サテライトオフィスによる職住近接のワークスタイルなど行政と市民が一体となって、生活の利便性を高めている街です。 

 

2003年に新しい市長が就任してからは、少子化対策を積極的に行ってきました。具体的には、子育てをしている共働き世代の定住を促す施策を中心に行ってきたのです。国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、2000年に15万572人だった流山市の人口は、2018年3月現在で18万8040人。つまり、18年間で3万7468人の増加となっています。 

 

人口増加の要因としては、2005年のつくばエクスプレスの開業が大きいでしょう。流山市内に、「流山おおたかの森」「流山セントラルパーク」「南流山」の3つの駅が誕生し、いずれの駅からも30分以内で秋葉原駅に到着することができます。こうしたインフラの要因と行政による子育て支援の明言の結果、多くの人が流山市に流入しました。

 

確かに流山市はインフラも充実していますし、人口を増やすための定住政策を進めているため、投資環境としては一考の価値があります。 

 

ただ、新しく開発された街には築20年を経過した建物の価値がゼロで土地の価格に近い物件がすぐに見つかるかどうかは微妙なところです。急激に人口が増えている街は、そうした状況を加味して物件選定をするようにしましょう。

色々な属性の人がいれば、入居者募集対策が容易になる

いろいろな世代やいろいろな働き方をしている人たちが渾然としている街の方が、投資先としては向いていると考えています。  

 

例えば、子育て世代だけではなく、学生やフリーターがいたり高齢者がいたり、色々なターゲット層があった方が賃貸経営的には強いと思います。理由は入居者募集に関して、さまざまな作戦を取ることができるからです。 

 

例えば、購入する物件の部屋が狭い場合、子育て世代の入居需要が中心のエリアであったら、入居付けは中々難しいということになります。 

 

しかし、街にさまざまな人がいれば、入居需要もさまざまです。仮に部屋が狭くて入居が決まらない場合、部屋を学生やフリーター向けに変えることもできます。このように色々な入居需要があった方が、賃貸の入居者募集対策は立てやすいと思います。 

 

例えば、東京都心から近く、江戸時代から発展している街である船橋などは、さまざまな人口構成によって成り立っている街といえそうです。 

 

船橋市の人口は2018年7月で63万8941人おり、人口20万人以上を擁する中核市としては、2017年3月1日現在で一番常住人口が多い都市とされています。お年寄りから若者まで幅広い人口構成で、外国人も約1万8000人います。 

 

船橋のように、東京都の周辺には色々な人が住んでいるエリアが多いので、そういうところを検討するようにしましょう。

 

中古一棟収益物件 攻略完全バイブル

中古一棟収益物件 攻略完全バイブル

長渕 淳

幻冬舎メディアコンサルティング

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