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税務調査官になるルートは主に2つ
国税局や税務署の各部門で税務調査にあたっている調査官は、税務に関する専門的な教育を受けたエキスパートぞろいです。
この調査官になるルートは主に2つに分けられます。ひとつは高卒者を対象とした、税務職員採用試験を受けて合格する道、もうひとつは国税専門官採用試験を受けて合格する道です。後者は大卒程度を対象とした試験です。
平成23年までは、高卒者向けの国家公務員試験は「国家公務員第Ⅲ種試験」と呼ばれていましたが、学歴の制限がない中で大卒者が多数受験するようになり、高卒者がなかなか合格できなくなってしまいました。
そこで平成24年からは、高卒者の採用枠を守るために学歴制限を設け、試験の名称が改められました。これによって「第Ⅰ種」と呼ばれたキャリア官僚の試験は「総合職採用試験」に、大卒程度を対象とした「第Ⅱ種」は「国税専門官採用試験」に、高卒者を対象とした税務署の採用試験は「税務職員採用試験」とされました。
このうち調査官になるのは、高卒で税務職員採用試験に合格した人たちと、大卒で国税専門官採用試験に合格した人たちです。キャリア官僚は30代前半に税務署長として税務署に赴任することはあっても、現場の調査官になることはありません。
なお、キャリア官僚は財務省や国税庁の採用、その他は国税局の採用と、そもそも採用の枠が異なっているため、地方国税局の職員が国税庁本庁に勤務する場合は、「出向」という形になります。
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税務職員試験に合格後、1年間の厳しい研修を受ける
さて、採用試験をくぐり抜けたとはいえ、この段階ではみな税務に関しては素人です。税務のイロハもわかっていない人たちを、高度な専門性が要求される最前線で働かせようというのですから、まず初めにみっちりとした教育を行う必要があります。
そのための教育機関が国税庁の管轄する税務大学校で、本校のほかに全国に12の地方研修所を設置しています。
税務職員採用試験により採用された人の研修期間は1年と長く、しかも全寮制の合宿生活です。研修科目は、法律・経済などの基礎科目や、税法・簿記会計学等の専門科目、社会人としての良識・公務員としての自覚を身に付けるための班別活動、さらには体育・文化活動なども行われているようです。
研修を終えて税務署に配属ということになるのですが、この段階ではまだ税務調査を担当することはありません。税務署内部の事務を担当することが多いようです。
税務署に少し慣れてきた3年後、彼らは再び税務大学校に送られ、3カ月の「初任者基礎研修」を受けます。この時点でそれぞれ専門の税目を持ち、それを深めるための勉強をします。
一方、国税専門官試験の合格者は、税務大学校で3カ月間の「専門官基礎研修」で税法の基礎と簿記などを学んだ後、税務署に配属されます。そして1年後に再び税務大学校で「専攻税法研修」を受けます。ここで1カ月間、自分の専門となる税法を学んだ後、2年間の現場経験を経て、さらに7カ月間の「専科研修」を受けることが義務付けられています。
服部 誠
税理士法人レガート 代表社員・税理士
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