なぜ「海外のETF」が中心なのか?
これまでは、インデックス投資が推奨される背景にある考え方や、ポートフォリオの現金比率を高めることの重要性について見てきました。この現金比率を大きく高めるということが、「アレンジを加えた」インデックス投資の主たるアレンジ部分になります。
そしてここからは、実際にポートフォリオをどう構築していくのかといったことから、そのアレンジ部分を具体的にどう運用するのかなどといった、ポートフォリオのマネジメントを中心に述べていきたいと思います。
それでは、ポートフォリオの5割は現金とすることが決まったとして、次は残りの5割をどうするかということです。現段階で、投資対象として挙げられるのは、国内外の株式・債券・REIT(不動産投資信託)、商品(コモディティ)ということになります。そして、基本的にはこれら各資産クラスのETFを投資対象とします。
ここでは、その具体的なETFについて、どのようなものがあるかをご紹介していきます。
ご紹介するものは、海外のETFが中心となりますが、それには理由があります。国内のETFにも、それなりに豊富な種類があるにはあるのですが、ETFの純資産残高や出来高が小さいものが多く、償還リスクや流動性リスクがあるのです。
償還リスクというのは、途中で運用を中止しファンドが閉鎖となってしまうリスクのことをいいます。また、流動性リスクというのは、売買の数量(取引量)が少ないために、ETFを換金しようとした際にすぐに売れなかったり、希望通りの価格で売れなかったりするリスクのことです。
こういったリスクを避けるため、純資産残高や出来高が十分に大きいETFを選ぶとなると、必然的に海外のETFが多くなってくるというわけなのです。もちろん、純資産残高や出来高が大きいことに加えて、できるだけ信託報酬(運用管理手数料)が低いものを選びたいところでもあります。
おススメの15のETFのリスト
では早速、そういった基準で選択した、おススメの15のETFを挙げていきます。まずは、15のETFの一覧を示し、リンク先に各ETFについて簡単にコメントを加えていきます。
1.株式
▼世界株式
●バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF(VT)
▼先進国株式
●バンガード・FTSE 先進国市場(除く米国)ETF(VEA)
●バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF(VTI)
●i シェアーズ・コア・S&P 小型株 ETF(IJR)
▼国内株式
●MAXIS トピックス ETF(1348)
▼新興国株式
●バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF(VWO)
2.債券
▼先進国債券
●バンガード・トータル・インターナショナル債券 ETF(米ドルヘッジあり)(BNDX)
●i シェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)
▼新興国債券
●バンガード・米ドル建て新興国政府債券 ETF(VWOB)
3.REIT
▼世界REIT
●SPDR ダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステートETF(RWX)
▼米国REIT
●SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF(RWR)
▼国内REIT
●NEXT FUNDS 東証REIT 指数連動型 ETF(1343)
4.商品
▼農産物
●パワーシェアーズ DB アグリカルチャー(DBA)
▼金
●i シェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
▼原油
●NEXT FUNDS NOMURA 原油インデックス連動型ETF(1699)
では、各ETFについて個別に見ていきます。詳しくは下記のリンク先を参照してください。
これらのETFの値動きをざっと見ていくと、株式とREITはかなり似通った動きをしていることが分かります。
また、債券の各ETF(BNDX・AGG・VWOB)は、総じて価格変動が小さく、緩やかな右肩上がりとなっており、互いに似たような値動きをしています。一方で、商品の各ETF(DBA・IAU・1699)は、主要農産物、金、原油と全く性質の異なるものを対象としているため、その値動きもそれぞれ異なるものとなっています。