ベトナム株は戻り歩調
堅調な景気動向を評価
■ベトナム株式市場は、4月上旬に高値を付けた後、米中貿易摩擦や米ドル高に伴う新興国市場からの資金流出懸念などを嫌気し、大きく調整しましたが、7月中旬に底入れしました。ベトナムの代表的な株式指数のベトナムVN指数は、その後6週連続で上昇するなど、戻り歩調にあります。
■7月の鉱工業生産の前年同月比が+14.3%となるなど国内景気が堅調なことに加え、経済面で依存度の高い中国が、2018年下期に積極的な財政政策で景気を下支えする方針を決定したことも買い安心感につながっています。
ベトナム株式市場とPERの推移
PERの割高感が解消
EPSの増加基調は続く
■ベトナムVN指数の株価収益率(PER、株価÷1株当たり予想利益、12カ月先予想ベース)をみると、過去5年の平均値は13.7倍となっています。株価が直近のピークだった4月上旬にはPERは20倍台と、やや過熱感がみられましたが、その後の調整により平均値程度まで低下したところで反発しました。8月27日時点のPERは15.1倍と、特段の割高感はありません。また、1株当たり予想利益(EPS)は今後も増加が見込まれています。
予想EPSの伸び率(前年比)
堅調な経済を背景に株式市場は回復基調が続く
■足元のベトナム経済は、内外需とも堅調です。直接投資の伸びが高いことや、中間所得層の増加に伴う個人消費の拡大を背景に、中長期的にも高い経済成長が続く見通しです。弊社の予想では、2018年~2019年にかけて+6.8%程度の成長を見込んでいます。
■株式市場の大幅調整を経て、バリュエーション(株価評価)の割高感は概ね解消しているとみられます。企業業績の拡大が予想されるなか、株価はEPSの伸びに沿った価格形成が見込まれます。良好な経済が再評価され、国内外からの資金流入とともに、ベトナム株式市場は回復基調が続くと期待されます。
(2018年08月29日)
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