
価格は堅調に推移
1バレル当たり70ドル近傍で推移
■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、 2018年6月29日に当面のピークとなる1バレル当たり74.15ドルをつけました。その後も、同70ドル近傍での堅調な推移となっています。
原油価格と北米のリグ稼働基数

リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年8月24日。ともに週次データ。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

需給バランスが好転
2018年上半期は小幅な需要超過
■堅調な原油価格の背景には、需給バランスの好転があります。「石油輸出国機構(OPEC)月報」の8月号によれば、18年上半期の原油需要は世界全体で日量9,779万バレル、これに対して供給量はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産等が功を奏し、同9,776万バレル(うちOPECの生産量は同3,229万バレル)にとどまりました。差し引き同3万バレルの需要超過となります。
■僅かながらも需要超過の状態となるなかで、ベネズエラやイランの供給不安が台頭してきました。ベネズエラでは、17年8月の米国の経済制裁を受け、国営石油会社が資金調達難に陥ったため、原油生産が急減しています。
■一方、イランでも、16年1月に解除された米国による経済制裁が18年11月までにすべて復活することから、今後さらなる減産の公算があります。
世界の原油需給見通し

(注2)単位は百万バレル(日量)。
(注3)2017年は実績。2018年と2019年はOPECによる予想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。
(注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。
(出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

需給は良好だが、対イラン経済制裁の影響等に注意が必要
■需給動向から判断する限り、原油価格は今後も堅調に推移する見通しです。ただし、対イラン経済制裁や、6月下旬のOPEC総会で決定された減産緩和の影響等には注意を払う必要がありそうです。
■一方、原油価格の大幅な上昇は、米シェールオイルの増産を誘発する可能性を高めます。これを踏まえると、原油価格が1バレル当たり70ドルを大きく超えて上昇する公算は小さいと見られます。
(2018年08月29日)
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