景気拡大に加え、協調減産が奏功して原油需給が好転

緩やかな上昇基調を辿る原油価格(2018年8月)/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
景気拡大に加え、協調減産が奏功して原油需給が好転

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

価格は堅調に推移

1バレル当たり70ドル近傍で推移

 

■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、 2018年6月29日に当面のピークとなる1バレル当たり74.15ドルをつけました。その後も、同70ドル近傍での堅調な推移となっています。

 

原油価格と北米のリグ稼働基数

(注)データは原油価格が2014年1月3日~2018年8月28日、 リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年8月24日。ともに週次データ。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは原油価格が2014年1月3日~2018年8月28日、
   リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年8月24日。ともに週次データ。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

需給バランスが好転

2018年上半期は小幅な需要超過

 

■堅調な原油価格の背景には、需給バランスの好転があります。「石油輸出国機構(OPEC)月報」の8月号によれば、18年上半期の原油需要は世界全体で日量9,779万バレル、これに対して供給量はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産等が功を奏し、同9,776万バレル(うちOPECの生産量は同3,229万バレル)にとどまりました。差し引き同3万バレルの需要超過となります。

 

■僅かながらも需要超過の状態となるなかで、ベネズエラやイランの供給不安が台頭してきました。ベネズエラでは、17年8月の米国の経済制裁を受け、国営石油会社が資金調達難に陥ったため、原油生産が急減しています。

 

■一方、イランでも、16年1月に解除された米国による経済制裁が18年11月までにすべて復活することから、今後さらなる減産の公算があります。

 

世界の原油需給見通し

(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。 (注2)単位は百万バレル(日量)。 (注3)2017年は実績。2018年と2019年はOPECによる予 想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は全体の 需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。 (注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は 必ずしも全体の供給量と一致しません。 (出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。
(注2)単位は百万バレル(日量)。
(注3)2017年は実績。2018年と2019年はOPECによる予想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。
(注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。
(出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

需給は良好だが、対イラン経済制裁の影響等に注意が必要

 

■需給動向から判断する限り、原油価格は今後も堅調に推移する見通しです。ただし、対イラン経済制裁や、6月下旬のOPEC総会で決定された減産緩和の影響等には注意を払う必要がありそうです。

 

■一方、原油価格の大幅な上昇は、米シェールオイルの増産を誘発する可能性を高めます。これを踏まえると、原油価格が1バレル当たり70ドルを大きく超えて上昇する公算は小さいと見られます。

 

(2018年08月29日)

 

関連マーケットレポート

2018年8月28日 2018年9月の注目イベント 9月は政治日程に注目
2018年8月28日 『ジャクソンホール』会議、漸進的な利上げが妥当

●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友アセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友アセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧